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アドルフに漬く
本文と関係あるようなないような枕話。
ウルトラセブンに『怪しい隣人』という話。
隣に住む男の不審な行動に少年が気付き、ウルトラ警備隊が調査に乗り出すと、実は地球侵略を企む宇宙人だったという話。
宇宙人とまではいかずとも、隣に越してきた人物が思わぬ大物、しかも自分が抱えている悲しみの元凶を作った者だったとしたら、という映画を思い出して妄想を膨らませながら、夏向きな漬物を作った記録。
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1960年、第二次世界大戦終結から15年。まだ関係者が多く生存していた頃、アルゼンチンで潜伏していた元ナチスのアイヒマンが逮捕された頃の話。
同じ南米、コロンビアの郊外でひっそりと暮らすユダヤ人のポルスキー。
隣の空き家に住むことになるヘルツォークの代理人、カンテンブルナーという中年女性が訪ねてきたことから、彼の平穏は終わりを告げる。
隣人はドイツ人、更にあの男ではないかとポルスキーは疑い始める。
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胡瓜 2本
人参 1本
唐辛子 1本
ローレル 1枚
酢 150㎖
水 200㎖
白ワイン 100㎖
蜂蜜 大匙1
塩 小匙半分
マスタードシード 小匙半分
黒胡椒粒 一つまみ
ユダヤ人ということでピンとくるかもしれませんが、ポルスキーはホロコーストの生存者。家族を失い、南米に単身で渡り、ひっそりと生きて来た。
彼は昔、チェスの選手権ですれ違った人物と隣人の眼差しがまったく同じと気付き、疑い始める。ヘルツォークはアドルフ・ヒトラーではないか?
死んだことになっているが、アイヒマン同様、実は逃げ延びていた?
イスラエルの大使館に出向いて、自分が抱いた疑惑を必死に訴えるものの、根拠に乏しいとしてなかなか相手にされず。
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決定的な証拠を掴んでやると意気込み、望遠レンズ付きのカメラをセット、ヒトラーに関する本を買いあさり、共通する特徴を必死に探す。
左利き、癇癪持ち、元は画家、灰色がかった靑い瞳等々、あやしいと思うから余計にそう思うのかもしれませんが、疑惑は深まるばかり。
或る日、決定的とも言える場面を目撃。
果たして怪しい隣人の正体は如何に?という物語。
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隣人の生活を覗くスリリングさ、物悲しさの中に混ざるコメディ的な要素。よく出来た映画でした。
共通の趣味であるチェスを通じて行き来をするようになり、奇妙な友情めいたものも芽生え始める。しかし自分が感じた疑惑がどうしても拭えず、葛藤。
この映画の現代は ”My neighbor Adolf” 欧米社会では親しくなるとファーストネームで呼ぶようになる。そういう場面も。又、女性同士の恋愛トークをガールズトークと言うようですが、それに例えるならば、ボーイズトーク?もあり。
二人共、偏屈な老人だったこともあり、寂しさを抱えていたということでしょう。
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ヒトラーが英雄と言えるかはさし置いて、英雄不死伝説というものがあります。
日本では源義経が生き延びてチンギス・ハーンになったとか、西郷隆盛は西南戦争では死なず、ロシアに渡っていたとか。
世界でも同様で、ロシア革命で処刑された皇帝一家の一人、アナスタシアが生き延びていたとか、最近ではマイケルジャクソンは実は生きていて近々、復活するという噂がネット上でまことしやかに流れた。
ヒトラーも南米で生きていたという話があり、この映画はそれを下敷きにしている。
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有名人が亡くなったことを、あなたはどうやって知りますか?
死の現場に立ち会ったとか葬式に参列して遺体を見た?
そんなことはあまりないでしょう。大概は報道で知る。
しかし、テレビや新聞ほ絶対に嘘つかないと言い切れますか?
死んだということにして、本当は生きている有名人っているのではないか?
有名人って結構、窮屈かもしれません。
何処に行っても自分を知っている人がいるので、うっかり鼻クソもほじれない。
歴史的或いは社会的な役割を終えた後は死んだことにして、自分の人生を生きたいと思う人も少なくないのではないか。
死んだと報道されれば、誰かに見られたとしても、テレビが死んだと言っていたんだから、そんな訳ないよで済んでしまう。
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映画で描かれるポルスキーの日常は主に黒い薔薇の栽培とピクルス作り。ということでピクルス製作。黒い薔薇とヘルツォークが飼っている犬を巡る隣人トラブルから対面、そもそもの疑惑が生まれる。
劇中では、二人並んでピクルスを食べる場面もありました。
暑い季節には酸っぱい物が食べたくなるので、今でしょう。
少し煮たのは冷えていく時に味が染み込むから。
酸味に混じる塩味と微かな甘味は正に三位一体。スパイスのピリリ感が味を引き締める。
胡瓜はカリウム豊富で老廃物を排出してくれる。人参からベータカロチンや食物繊維も頂ける。
死んだことになっていても実は生きていると都市伝説や陰謀論で言われている人達の例を以下に挙げると、
暗殺されたのはクローンで、最近まで生きていた本物は老衰で亡くなったジョン・F・ケネディ。
事故で死んだと見せかけて、実は生きているダイアナ妃は男だったとか。
そんな風に生存している人物は相当数いる?
他にも死んだことになっているが、誰も死体を見ていないオサマ・ビン・ラディン、処刑されたのはクローン?とも言われたサダム・フセイン等々、考え出すとキリがない。
逆に現在、生きている人も実は死んでいて、クローンとかゴムマスクを被った人が演じている?
数年前、駅前で射殺されたとされている元首相もそれ以前に死んでいて、用済みのクローンを始末するための芝居?
引退したとされている、やんごとなき御方とか。
疑いだすと、メディアが言っていることがまったく信じられなくなってくる。自分の頭で考えて判断することが大事。
生きている人は実は死んでいる。死んだとされている人は生きているかもしれない。果たしてこの映画『お隣さんはヒトラー?(原題 My neighbor Adolf) 』の結末は如何に?
そんな妄想をしながら、アドルフに漬くをご馳走様でした。