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アリゴ藤又兵衛


アリゴという料理があるのを知る。伸びるマッシュポテトだそうな。
見たことがないが、食べてみたい。というよりも作ってみたくなり、ネットで調べて見よう見まねで自作。


材料

じゃがいも
ピザ用ナチュラルチーズ。
黒胡椒

ブロッコリー

ブロッコリーはついでというか、トッピング的に使えれば、彩りにもなるかと思い、茹でた物を用意。

蒸し器にジャガイモ IN

火を着けて蒸す。必ず水から蒸します。芋類は低温からじっくりと加熱することで甘みや旨味が増します。
蒸し器に蓋をして、後はジャガイモが柔らかく蒸し上がるまで待つ。待っている間、妄想でもするか。
アリゴ、アリご、後、後藤又兵衛。
最近、こんなこじつけばかり。

黒田如水、長政と二代に渡り、黒田家に仕えた豪傑と呼ぶべき武将。
黒田八虎とか黒田二十四騎の一人に数えられる。
主君、黒田長政と反りが合わなかったようで、確執を感じさせる逸話が伝えられています。

豊前の城井上城に籠る城井鎮房を攻めあぐね、退却を余儀なくされた黒田長政、不面目を恥じて頭を丸めました。多くの家臣がそれに追随して坊主頭だらけになりましたが、又兵衛のみは知らん顔。
どうして頭を丸めないのかと問われると、
「戦に負ける度に剃っておっては、髪が伸びる暇もあるまい」
一つの戦の勝ち負けにこだわり過ぎるのは肝が小さいということでしょうか。

又、朝鮮出兵の時、長政は敵将と一騎打ち。あやうく負けそうに。
傍で見ていた又兵衛はまったく加勢せず。
どうにか敵を撃退した長政、
「どうして手を貸さなかった」と問うと
「あの程度の敵に討たれるようでは、我が主たらず」
主の器量を見ていたというよりは、武士の一騎打ちに横から加勢するのは彼の心情が許さなかったのではないか。たとえ主君であろうと、武士の一騎打ちに横槍を入れるのは無粋。そう考えたのではないかと。

こんな当てつけめいた言動ばかりされていては、長政も面白い筈がありません。主従の仲はどんどん険悪に。ついに又兵衛、黒田家を去ることに。


蒸し上がった芋をマッシャーで潰す。

黒田長政、武闘派の武将と言ってもいいのですが、謀略もよく使う。真っ直ぐな行いを好む又兵衛にとっては、それが気に入らなかったのではないかと思うことがあります。
たとえば、先述した城井鎮房についてですが、長政は和睦を持ちかけて、当時の居城、中津城に招きましたが、その席で城井主従を謀殺。
関ケ原の合戦では、徳川方に付いた長政、多くの大名達を東軍に味方するように根回しとか説得、つまり裏工作めいた働きを率先してこなしました。
長政の父、如水は軍師とか策士と呼ぶべき人物。長政もその血を継いでいた或いはそれを真似たということかもしれません。
謀略とか策略が悪いという訳ではありません。戦国乱世、生き残りを図るためにはそれも必要。しかし、それが又兵衛の目には陰湿に見えていたのかも。
その策略、又兵衛にも向きました。
豪傑として知られた後藤又兵衛ですが、他の大名家はどこも彼を召し抱えようとはしませんでした。
長政から奉公構えをかけられたのが原因。
奉公構えとは、当家を退転した後藤又兵衛は不埒な男故、決して召し抱えてはくれるなと、他の大名家に触れ回るという行為。
黒田家は筑前五十二万石という大大名になっていました。その意向を無視してまで、又兵衛を仕官させるということは、どこの大名家でも付き合い上、やりにくい。
こうして行き場を失った又兵衛が行き着いたのは大坂城。


潰した芋が熱い内にチーズを混ぜる。

チーズの分量はジャガイモの1/2強。塩と黒胡椒をお好みの量投入。混ざったら、レンジに入れて500w
3分加熱。

おお、伸びる

大坂城でも五人衆の一人と呼ばれた後藤又兵衛、冬の陣、夏の陣で獅子奮迅の働き。
城に籠れず、野戦となった夏の陣、道明寺の戦いに2800の兵を率いて出陣。しかし十倍以上の敵を相手に、ついに力尽きて討ち死に。

トッピングではなく、ブロッコリーを下敷きにしてみた。

自分が正しいと思うことを言ったりやったりすることは勇気を伴います。
他の人と同じようにすべしという同調圧力とか、いわゆる空気。
理不尽と思いながらも上司には逆らえないという苦渋。
そうしたことから、自身の思いを押し殺して口を噤んだり、行動をセーブしている人は多い。というより大半の人はそうかもしれません。平和な現代ですら、そうですから、生き馬の目を抜く戦国時代では余計にそうだったかと思います。それでも自分が正しいと思う言動を貫いた後藤又兵衛、正に豪傑だったと思います。


黒すり胡麻をトッピングして完成。
アリゴ藤又兵衛

ほくほくしたジャガイモが伸びて、目も楽しめる。これは温かい内に食べるポテトサラダ。チーズの風味、黒胡椒のアクセントも効いている。
芋とチーズでは炭水化物とタンパク質だけなので加えたブロッコリーも正解。ビタミンCやB6も摂取。
後藤又兵衛の肖像画を見ると、白い顔に髭の剃り跡?口や顎周りが青黒い。それをイメージして黒摺り胡麻を散らす。
思いつきだったけど、食物繊維やミネラル、抗酸化作用があるゴマリグナン含有の胡麻も加えたことで栄養も文句なし。

英雄や豪傑にはよくあることですが、後藤又兵衛にも生存伝説があります。
道明寺にて討ち死にとされていますが、奈良の宇陀にて生存していたという説もありますが、大分県の耶馬渓にも又兵衛の墓が残されています。
訪れたことがありますが、今でも鉄道もなくバスの便も悪く、車がないとなかなか辿り着けない山深い場所。
中津からかなり山へと入っていった耶馬渓。豊前はかって黒田家の領地でもあったことから又兵衛とも縁があり、隠棲したとしてもおかしくない?
義刃智光居士という戒名が刻まれた墓石、地元の人が大切に守り伝えてきたであろうことが感じられました。

自分が正しいと思うことを貫いた後藤又兵衛を偲びつつ、こってり系なアリゴ藤又兵衛ですっかり満腹。

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