"DIVIN" Vol.11
『DIVIN』(ダイヴィン)は、国内外の様々な記事や読んだ本、面白いinstagramアカウントなど、生活している中で得た「誰かに教えたい情報」をお伝えするニュースレターです。
ソーシャルメディア界のディズニーランド
SNSにおける人種問題や政治問題に対する発言、そしてそのプラットフォームの取り組み・考えがいま大きく注目されている。
何でも思ったことは言ってしまうドナルド・トランプ大統領のツイートが自動表示されないようにTwitterはある操作をした。
Twitterはその投稿を「暴力を称える内容」がルール違反であると表示。閲覧禁止やアカウントを停止という訳ではなく、公益性があるとしてツイートを閲覧できるようにしている。
大統領のこの攻撃的なツイートを閲覧するには、ユーザーはクリックするというアクションしなければならない。
そしてこの措置により、大統領のツイートへの反応も限定されることになった。ユーザーができるのはコメント付きでのリツイートだけとなり、「いいね」やリプライはできなくなったのだ。
トランプ大統領は以前から主に北朝鮮やイランに対し、Twitterというプラットフォームを使って軍事的な脅しをかけるなど、SNSの公開性・グローバル性を活かし、外交政策の武器として使ってきた。
そしてアメリカ大統領に対するこの措置により、トランプ大統領はTwitter社に対し脅しともとれるは発言を繰り返した。
そんなTwitter社に対し、もう一つのSNS界の巨塔であるFacebook社は異なる対応をとった。
ジョージ・フロイド氏の死後、Facebookはトランプ大統領による抗議者を「間抜け」と呼ぶ投稿や、「略奪が始まると発砲が始まる」といった軍の使用、暴力を示唆する投稿を許可してきた。
Facebook社のCEOザッカーバーグはその理由を「中立性」を保つこと、そして「真偽の決定者」にならないこと(なってはならない)とした。
そんなFacebookの対応を受けて、少しづつだが広告出稿を停止する企業が続出してきている。
ザッカーバーグが何もしなかったことを受けてThe North Face、Patagonia、REI、Talkspaceなどの企業は、対応への抗議とともに広告を停止した。
The North Faceは6月19日にその決定を発表。Facebookが所有する別のサービスであるInstagramでの広告掲載も停止すると述べた。
The North FaceのSteve Lesnard氏は、「我々は、有害で人種差別的なレトリックや間違った情報が、世界を不平等で安全ではないものにしていることを知っている。我々はNAACPや#StopHateforProfitに取り組んでいる他の組織とともにある」と声明で述べた。
このように抗議を行い始めた企業の多くは社会性や公益性に取り組んできた企業が多い。環境問題や人種問題に早くから取り組み、声をあげてきた企業たちだ。
アメリカでこの1〜2ヶ月で起きたこの事象のように、ソーシャルメディアは政治・政治的発言と切っても切れない関係にある。
フィリピンで月間ユーザー数100万人を越えたあるライブストリーミングアプリがある。
Kumuというそのアプリは元々、フィリピン版のLINE、Viberになることを狙い、チャットアプリとして始まった。が、ユーザーのライブストリーミングへの需要に気付き、ピボットした。
つい先日に約5億円の調達に成功したというニュースも世界中で注目を浴びた。
そんな人気を集めるソーシャルメディアが持つポリシーは「政治的発言の禁止」というもの。
『政治的発言はいつも有毒で、分断されたカルチャーを発生させる』とこのアプリのコミュニティマネージャーのJames Rumohr氏は語る。
コミュニティを形成していくにあたり、そのプラットフォームを「ディズニーランド」にいるときのような気持ちにすることを目指したという。
それは誰もが安心感を覚え、民主党支持者や共和党支持者が激しい議論をおこなう場でないと説明する。
『このプラットフォームで行ってほしいと思う政治的議論は、「一番美味しいフライドチキンはマクドナルドなのかジョリビー(フィリピンの人気ファーストフードチェーン)なのか」ぐらい。』
『もし話したいなら、Facebookでやればいい』
と話す。
彼らはこのプラットフォームを拡大し、ビジネスとしてスケールさせることも目標としながらも、”よいコミュニティ”を保ち続けることを重要視している。
彼らの面白い考え方が”一番良いモデレーターは一番良いユーザーだ”というもの。
つまりコミュニティを監視する役目は、コアユーザーであるという考え方。
そのため、彼らは新規ユーザーに対するチェックをより厳しくしている。
匿名でこのプラットフォームを使うことは出来ず、カバーフォトの設定を必ずしなくてはならない。
そして、アイコンに政治的発言を含んでいると運営からDMで連絡が来るのだ。
Politics Freeという新しいポリシーでより良いコミュニティ構築を目指すKumu。ユーザーが増えつつある今、その運営の体制・姿勢も注目を集めている。
植物のためのコンサート
プロ野球やJリーグが無観客で開催となり、国内のフェスやイベントの中止が相次ぐ。
飲食店や映画館が営業を再開する中、大規模に集客を行う大型施設や劇場は今もなおまだ難しい状況だ。
そんな中、スペイン・バルセロナのリセウ大劇場が月曜日に再開。
コロナウイルスを受けての封鎖以来の最初のコンサートをようやく開催。その観客はソーシャル・ディスタンスを心配する必要がない人たちだった。
UceLi Quartetは人の代わりに2,292本もの植物に向けて演奏。なお、このコンサートを”人間も見られるよう”、ライブストリーミングされた。
このイベントは、スペイン人アーティスト、Eugenio Ampudia氏によって考案。パンデミック中にインスピレーションを得たという。
「私はもっと多くの鳥が歌うのを聞きました。そして私の庭や外の植物はより速く成長した。
疑いもなく、私は今、人は自然ともっと親密に関係を築くことができるのではないかと思ったんです」
次のPelotonは誰だ
DIVINでも度々取り上げている大好きなサービス「thingtesting」の記事から。
コロナウイルス感染症を受け、世界中のフィットネススタジオは閉鎖された。日本では多くのジムが緊急事態宣言の明けた6月から徐々に運営を再開。
しかしジムが封鎖されたからと言って、ご存知の通りそれが人々が運動をやめたことを意味するものではない。
3月にYoga With AdrieneのYouTubeチャンネルは50万人の新規チャンネル登録者を獲得。現在は780万人のチャンネル登録数を誇る。
フィットネスアプリStravaのアプリの使用量はこの時期に3倍となり、ウエイトトレーニング機器のオンライン販売は前年比307%も増加した。
ホームトレーニングのマーケットは3月〜4月に掛けて特に伸び(まだ伸びている)、ローンチして間もない若いフィットネス系のテック企業が人気を集めている。
エレクトリックウェイトを使用し、壁に取り付けたスクリーンを介してトレーニングを提供するTonalの売上高は3月の第1週目に200%増加。
売上の伸びとともに、優良なアクティブユーザーも発生。同社はユーザーが月に平均16回のワークアウトを行っていると語る。
エアロバイクと周辺サービスを提供する、フィットネステックで最も成功していると言われるPelotonも同様の売上の増加が見られる。
これらのホームフィットネスブランドたちが異なる点は、ブランディングと同じくらいにコンテンツ開発に力を入れている点。
洗練された製品デザインとスマホやPCでのUI。定期的に更新されるストリーミング可能なコンテンツを使用しユーザーたちを虜にしている。
それは楽しくなく、辛いものでしかなかったダンベルを始めとする従来のホームフィットネスへの考え方を変えた。
Tonalno最高マーケティング責任者のChristopher Stadler氏はこう語る。
「私たちは、ホームフィットネス製品の筋トレに対する2つの大きなハードルがあると思っています。1つ目が”スペース”で、2つ目が知識です。」
Tonalの強みを バーチャルなパーソナルトレーニングと、非常にスマートで家に快適にフィットする機器とし、前述の2つの問題を解決するとしている。
ホームフィットネスブランドの最大の特徴はPelotonやTonalに見られるように「ハイテクな製品×コンテンツ」の組み合わせだ。
今までホームフィットネスの市場は、スポーツショップやAmazonであった。いま、多くのD2Cブランドたちがこの市場に対し、アプローチを掛けている。
そんなブランド・サービスたちを少しご紹介。
P.VOLVE
様々なフィットネス用品とコンテンツを配信。セレブやモデルたちを使ったプロモーションを行い、Instagramのフォロワー数は15万人を越える。
MIRROR
その製品の名の通り、鏡のようなデバイスの前でフィットネスを行う。
その場で動きを確認しながらフィットネスができ、インタラクティブ性と製品のデザイン性で人気を得ている。
こんなデバイス、そりゃ欲しくなる。そしてInstagramの写真がめちゃくちゃ素晴らしい。
WEARABLE X
“振動でフォームの修正を教えてくれるハイテク”ウェアラブルヨガパンツ「Nadi X」を提供するWERABLE X。
ヨガパンツには5つの電気センサーが縫い付けられており、片足のひざ上にバッテリーと器具を取り付ける。Bluetoothを通じてパンツ本体とスマートフォンが連動。
センサーは体の動きを追跡し、フィードバック(バイブレーション)によって、正しいポーズや角度をガイドしてくれる。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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edited by Ayumu Kurashima
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