労働法の社内勉強会(全6回)を開催したら、とても喜ばれた話
こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社というコンサルティング会社で人事の仕事をしています。
ケンブリッジの人事メンバーを対象に、「労働法ゼミ」という社内勉強会を開催したら、思っていた以上に喜ばれました。
私もとても嬉しくなったので、その記録です。
労働法ゼミの概要
2023年9月から12月にかけて、隔週金曜日・各回90分で労働法をテーマにした社内勉強会を全6回開催しました。
メインターゲットは人事メンバーですが、社内にも周知し、コンサルタント数人も参加してくれました。
全部で10人未満のこじんまりとした勉強会。
以下の書籍を指定テキストとし、事前読み込みの宿題を設けました。
各回のアジェンダ構成は、以下のとおりです。
・テキストの解説
・ケンブリッジの社内規程類と照らし合わせた解説
・過去の検討経緯の解説
・手を動かすワークショップ
「労働法ゼミ」を始めた契機
「労働法ゼミ」を始めたのは、2023年8月に新たに1名の人事メンバー(採用担当)を迎え入れたことがきっかけです。
採用担当であっても、最低限の労働法の知識は知っておいてほしい。
でも、都度のレクチャーでは知識体系がどうしても虫食いになってしまう。どこかで体系立ててレクチャーする必要があると感じていました。
加えて、私がこの会社の人事を担当し始めてから6年が経ちました。
その間に、本当にいろいろなことがありました。(遠い目)
就業規則を抜本的に改定したり、採用プロセスや内定の手順も見直しました。いろいろ本を読んだり、弁護士の意見を聞いたりして、今の規程やプロセスに落とし込んでいるのです。
この検討過程を誰かに伝えないと、他の人事メンバーが表面的な理解に留まってしまう。そんな危機感もありました。
労働法ゼミの工夫
課題図書にお堅いテキストを選んだこともあり、一方的に喋っているだけだけだと眠くなってしまいます。
日々の業務につながる勉強会にするため、以下の3つの工夫を取り入れました。
①自分で手を動かす
例えば、労働時間をテーマにした第4回では、サンプル勤務表をもとに法定時間内残業・法定時間外時間・法定休日労働時間をExcelで各自が計算するワークを取り入れました。
普段は勤怠管理システムでサッと集計される時間も、自分で計算すると大変ですよね。本質的な理解力が問われます。
その他にも、サンプル勤務表から残業代を自分で計算したり、給与テーブルをゼロから作るワークも行いました。
このワークの試行錯誤を通じて、少しでも理解を促進したいという意図です。
②自社の規程と照らし合わせる
また、テキストに書いてある法令・判例が、ケンブリッジの規程・社内ルールにどう反映されているかを丁寧に説明しました。
やっぱり身近な事例に落とし込まないと、なかなか理解しづらいテーマです。
加えて、社内規程のうち、法定のもの・自社特有のものを判別するのも大事です。
例えば「労基法の上限は1日8時間なんだけど、ケンブリッジの所定労働時間は7時間30分。だからこの30分は、社内ルール上は残業だけど労基法上は残業には該当しないんだ」といった内容。
「法律上はここが上限。だけど、法律を上回る水準がこの部分」という点を強調して説明しました。
③自社の物語を織り交ぜる
より記憶に定着させるために、過去の物語を交えて話しました。
「この時〇〇さんからこういうリクエストがあって、調べてみたら社内制度の不備が見つかって‥」
「△△さんのケースでは、労基署に問合せしてこういう見解を得たんだけど‥」
こうした物語を織り交ぜて話をされると、記憶に残りやすいと思いませんか。
また、物語ベースで進めると、法律論だけでなく「現実的な落としどころ」も伝えられます。実はこっちの方が大事だったりもしますよね。
参加者の声
「労働法ゼミを始めた契機」の部分で言及した、新人事メンバーが労働法ゼミのことを褒めてくれたので紹介します。
また、上記の人事メンバーが学生に対して内定通知書の説明をした際に、学生からもポジティブなフィードバックがあったそうです。
私も自分のことのように嬉しく感じます。
「採用担当は、キラキラとした言動だけではなく、法律や社内制度に対する深く・正確な説明によっても、応募者を惹きつけられるのだ!」と強く思います。
おわりに
私は人事・労務に関する資格は有していないのですが、こうして褒められていい気になったので、記念にまとめてみました。
また、今回の労働法ゼミの内容は、人事メンバーの頭の中に「目次」をつくったに過ぎません。
人事業務に取り組む中で、「あれ?これって法律的に大丈夫なんだっけ?」「確かここは気をつけた方がいい気がする」「テキストのこのあたりに何か書いてあったような」と立ち止まって考える習慣。
その契機になったなら、労働法ゼミは成功だったと言えるでしょう。
労働法、楽しいですよね。
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