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【心に残るプログラムへの想いを語る】007 樋口新葉選手

今回は、樋口新葉選手の2017-18シーズンFS「007スカイフォール」のご紹介をします。
 


シニアデビュー当初はスピード感と迫力のある演技が印象だった彼女、苦しいシーズンもある中で様々な曲調にチャレンジして、今シーズンの演技を見てより一層表現直豊かな選手になったなと印象を受けます。
惜しくも届かなかった前回の平昌オリンピック、その悔しさを晴らしたかのような世界選手権の演技には涙しました。
わたしは現地ミラノで観戦をしていて、このFSの演技は涙が止まりませんでした。
今回は私にとっても思い出深いプログラムのご紹介なので、是非演技も一緒に見ていただきたいです。
 

キャラクター性のある演技派プログラム

シニアデビュー当初はトップスピードで入るジャンプが強みという印象のある彼女。
いつからかジャンプの強みを持ちながら、演じられる選手に化けたなと思っています。
そしてそれが上手くはまったのがこのスカイフォール、力強くスピード感ある樋口選手にはまり役です。
音を取るのがとても上手で、リズム感も優れていて、どの部分を見ても音楽と演技が一体になっています。
そのうえ音楽の緩急で表情や腕の使い方を変えているからこそ、表現力豊かな個性あるプログラムができる彼女。
どんな演技でも樋口新葉という個性を残しつつ、その音楽のキャラクターになれる彼女、演技派の選手が少ないからこそ、彼女の演技を見るのがとても楽しいです。
 

悔しさをぶつけた渾身のステップシークエンス

このプログラムの中での一番の印象といえば、最後のステップシークエンス。
あと一歩のところで平昌に出場できず、平昌オリンピックは見ていないと話していた彼女。
全日本選手権が終わり3月の世界選手権まで悔しさを感じながら、猛練習したのだと思います。
シーズン前半とこの演技では、同じ演技?と思うほど、技術面はもちろん、表情の作り方、音の取り方、演技の要素全てが洗練されました。
ステップは迫力があり何度見ても感動します、その中でも私は初に行う長いツイズルが大好きです。
簡単そうに見えて、ツイズルは意外と難しいです、しかし彼女のツイズルはスピードが落ちず、軸がぶれることなく長いツイズルを行っています。
これはここまでの努力のたまものだと思います。
 

全ての部分が見せ場、ワカバボンド

このプログラムの好きな部分は?と聞かれたら、全部!と答えたくなるほど全ての演技が見せ場になっています。
ファンからはワカバボンドと呼ばれ、スパイをイメージした振付やスカイフォールの音楽に合わせリンクを大きく使ったスパイラルなど、どのシーンも彼女の見せ場となるプログラムでした。
競技会ということを忘れ、007の世界を見ているかのような4分間です。
 
 
ミラノで樋口選手の姿を見て4年、北京への出場枠をつかみ取った今回の全日本選手権の演技でまたも涙してしまいました。
北京オリンピックでは満足いく演技ができなかったかもしれませんが、躍動感あるライオンキングの演技は女子FSの中で一番印象に残りました。
間違いなくオリンピックシーズンに一番輝くプログラムだと思います、こちらもいつの日かご紹介します。
この先も彼女らしい名作が生まれると思うと、とても楽しみです。

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