情報教育におけるデザインの役割

参考書籍:
[1]東大EMP, 横山禎徳編: 東大エグゼクティブ・マネジメント デザインする思考力, 東京大学出版会, 2014.

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次世代のリーダーに求められていること:

「世界中のどのような場所や場面に直面しても臆することなく、確かな知識に基づいてその場をリードする。相手の多様な文化的背景を十分理解した上で、納得性の高い議論を粘り強く展開し、具体的な問題解決を構築して推進できる。そのための強靭さと迫力を持ち、そして文化の違いを越えて人を引き付ける人間的な魅力さえも持つ。」
(東大エグゼクティブ・マネジメント・プログラムにおける人材育成の目標, [1]はじめに, p.ii)
「デザインする」とはまさにそういう(同じことを繰り返し飽きもせず考える)作業であり、それに耐えていく辛抱強さが本質である。
([1]はじめに, p.vi)
デザインすることがいま、重要な能力になってきている。その理由は、「問題の裏返し」を答えにするという安直な思考方法では、困難かつ複雑な問題に対して優れた解決策を見出すことがもはや出来ない時代だからである。
([1]はじめに, p.vi)

問題の裏返し的発想の例:
「OECD諸国で最も子育て予算が少ないから子ども手当」
「経済が低迷しているから新成長戦略」
「それでもだめだから日本再生戦略」・・・

これらは、

本質を見極めた課題設定ではなく、表面的な現象に着目しただけの「問題の裏返し」([1]はじめに, p.vi)

であり、浅い思考と発想である。
発想の工夫の方法として、著者は3つ挙げている。

①自分の頭が回転する時間帯を活用する
②人の10倍考える
③五感を動員しながら考える

これらの共通点は、「分析する思考」でなく「組み立てる思考」=「デザインする思考」である。

デザインの作業は仮説の設定とその検証を繰り返し行なうことである。ただし、仮説は分析から帰納的または演繹的には出て来ない。どこかでひらめきが必要だ。ひらめきには凄いものと、そうでないものがある。(中略)何度も繰り返し考えているうちに、突如出てくるものである。([1]はじめに, p.ix)

作業としてはまず仮説を作り、その妥当性や有効性を試してみる。
→結果、うまくいかない、気に入らない、ということで捨てざるを得ない。
→また新しい仮説を作り、試してみる
→・・・何度も繰り返す
→最初の仮説が幼稚に見えるくらい練り上げられた、誰もが簡単には思いつかないような仮説にたどり着く

「身体知」的訓練で得た技能を使いながら繰り返す。([1]はじめに, p.x)


仮説と検証の繰り返しは「理科系」の発想…だけではない。「文化系」(哲学など)でも同じである。



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