はじめての北欧 フィンエアーの旅
新婚旅行は、行きたかった国へ行こう
昨年の秋、生まれて初めて北欧を訪れた。
コロナ禍を経て、5年ぶりの海外。
8年隣にいるパートナーとは、初めての海外。
私たちの記念すべき新婚旅行だ。
彼にとっては、日本を出ること自体が初めて。
でも円安の影響で、航空券はどこもかしこも驚くような値段。
もうどうせ高いのならば、本当に行きたいところへ行こう。今しかできない経験をしよう。今、その風を感じたい国は?
私たちは北欧を選んだ。本当に行きたい国、と思うと即決だった。
彼はフィンランド出身のアアルト夫妻と、デンマーク出身のデザイナーたち(アルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ウェグナーなど)にとても惹かれていて、巨匠たちが生きてきた空気を感じたいというのが一番の理由だった。
彼の影響で、私も北欧への憧れは強かった。7年間テキスタイルデザインの仕事をしてきたので、フィンランドのマリメッコやアルテックに憧れていた。北欧のデザイナーたちが永く愛されるデザインを生み出し、それによって永い雇用機会もつくっていることを、尊敬していた。
そしてなんとなく、行ったことのない国へ行きたかった。初めてを2人で共有したかったのだ。
旅程にとても悩んだけれど、今回はスウェーデンとフィンランドへ。デンマークは、また必ず行こう。
途中で船泊を挟む、2泊3日ずつの旅。たった1週間のお休みだけど、きっと特別な旅になる。
金額に悩みながら航空券比較サイトとのにらめっこを続け、旅の1ヶ月前にやっとチケットを取った。仕事を終えた後の平日深夜発、帰りは午後着で翌日には出勤できる、最高のフライト。
旅のはじまり
夜の成田空港は、コンビニしか開いてなくてしんとしていた。
少しだけ換金した方がいいかなと思い閉店間際の両替所に行くと、キャッシュカードが無いとダメとのこと。クレジットカード以外は置いてきてしまった私たち、現地での換金を勧められる。彼はいきなりのトラブルですでに不安いっぱいの表情。彼にとって初めての海外なのに、頼れると思っていた私が換金の仕方さえ忘れているなんて……。
深夜便、空港のラウンジもお店もお休みなので、ベンチに並んでコンビニで買った味噌汁を飲んだ。荷物でバランスを取れず、彼に少しこぼしてしまった。(こうゆう時に限ってドジをする。)私へのイライラと不安で、テンションが明らかに下がっている彼。
ごめんねと謝って仲直りし、ここからは未知の世界で2人、仲良くいこうと話し合った。しんとした成田空港を2人で見下ろしていると、なんだかワクワクしてくる。いよいよ日本を出るんだ。
フィンエアーの旅
彼は初めての海外、私も久々で、乗り換えなどがちょっと不安。それに新婚旅行だし思い切って……と、憧れのフィンエアーを選んだ。JALとの提携だったことと成田空港のあまりの静けさに、なんだか電車に乗るような気軽な気持ちで乗りこんだ。
そうしたらもう、飛行機の中から日本ではなかった!そうだ、忘れていたこの感覚。
フライトの準備を進める、様々な国の人々。フィンエアーのCAさんは、年齢も幅広くてとっても素敵。タッチパネルのデザインもなんだか新鮮で、ITを仕事とする彼も感動している。
生まれて初めて飲むブルーベリージュースも、デザートに出てきた大きなルマンドも、いちいち胸が高鳴ってワクワクした。「フィンエアーの歴史」というショートムービーを観ながら、さらに気持ちを高めていく。
食事の後、彼はあっという間にすやすやと眠りについた。私はというと、もう全然眠れない。ドキドキもあり、緊張もあり。
過去に不眠症に悩んでいたことがあるので、眠ろうとすると逆効果なのも知っていた。なのでできるだけリラックスして、瞳を閉じて過ごした。
北極圏を通るルートだったので、時々ひんやりとした寒気を感じた。頭までかぶった毛布を握りしめながらも、私はやっぱり眠れない。今、空の上を飛んでいる。ついに、ついに、彼と旅に出ているんだ。
次回予告 アスプルンドを訪ねて
ショートムービーのように大切に作ったvlogを、文章に添えさせていただきます。旅の様子を、ともに楽しんでいただけると嬉しいです!
▼スウェーデン① アスプルンドを訪ねて