「へい!俺は、真ん中のやつは『事後』も加工済みのエサを食い続ける方に20ドル賭けるぜ。どっちの檻もだ。」
その研究所には、人間を横に寝かせたくらいに大きな檻があった。檻には3匹のニワトリが入っていて、3羽がいるスペースは透明なアクリル板で仕切られていた。ニワトリにはそれぞれ別の食事が出されており、右端のニワトリには天然のエサが入った皿が、左端には加工済みのエサが入った皿が、真ん中には両方の皿が出されていた。とうぜん加工済みのエサは味が良く、かつ脂肪分が多く作られている。
その研究所には、そんな檻が二つあった。幼体が三羽入った檻と、成体が三羽の檻だ。
「なあ兄弟、そろそろ頃合いじゃねえか?」
「ああそうだな。まったく、この日をどれだけ待ったことか。」
檻を眺める二人のアメリカ人は、認知心理学を専門としていた。
「へい!俺は、真ん中のやつは『事後』も加工済みのエサを食い続ける方に20ドル賭けるぜ。どっちの檻もだ。」
研究のメインフェーズは、人工のエサだけ出されて太ったニワトリ(左端のニワトリ)を、その場で処分するところから始まる。そして最も重要なポイントは、左端が殺されるのを見た後に、真ん中が取る行動だ。
つまり、目の前に置かれる二枚の皿のうち、旨いエサを食べ続けるのか、天然由来のものにスイッチするかだ。
「そんな賭け方で良いのかw?俺は、成体の方は天然のエサにシフトする方に賭ける。成体の方は相当知能が高いだろ。」
研究所の一般職員が二人、檻の中に入っていった。左端以外にはエサを出しながら、食肉包丁で処分を終えた。
「おう!なんて派手に殺すんだ!まるでB級スプラッタ映画だ笑!」
「それはどうでもいいだろw。とにかく真ん中のくちばしをよく見とけ!」
無残に処分された左のニワトリ。いつも通り天然のエサを食べている右のニワトリ。左右にトサカを振った真ん中のニワトリは、最後に下を向き、自分の体がたるんでいることを認識する。ここまでは幼体も成体も同じだ。
「どっちなんだ?」
「どっちの皿にいくんだ?」
幼体の方は加工済みの皿をついばみ、成体の方もまた同様だった。
「ファック!」
「イエス!よお兄弟、今日のランチは贅沢になりそうだなw。」
ラスベガスのような空気に包まれたその部屋では、30分後には、運ばれてきたピザやバーガーでパーティが始まった。