見出し画像

似ている言葉を正しく使い分ける、大人のたしなみ

みなさんは「街と町」の違いを説明できますか?

コミュニケーションとして文字を書く機会は多いと思いますが、似ている言葉の使い分けの意味や語源を知っていて正しく使い分けが出来ると、言葉が相手により伝わりやすくなります。

私がしている映像の仕事では、言葉選びが映像の印象を大きく左右します。ナレーションやテロップで、言葉をどう選ぶか。今回紹介する本が、そのヒントになります。(もちろん普段のコミュニケーションにも役立ちます)

それがこちら「似ていることば」。

冒頭の「街と町」の違いは、商店が並ぶ賑やかなところが「街」、人家が並ぶ静かなところが「町」とのことです。

確かに『懐かしい町並み』と書くと、どこか静かで落ち着いた印象に。『懐かしい街の風景』とすると、人が多く活気のあるイメージが想像できます。
このように言葉は、その使い分けや定義、成り立ちを知るとより伝わりやすいのです。

他にも「サンデーとパフェ」は
アメリカ発祥で日曜の安息日に家族と食べた浅い皿に盛るのが「サンデー」、フランス語の完璧パルフェに由来しヨーロッパから来た高い器に盛るのが「パフェ」。とそのルーツから違うものらしいです。面白いですよね。

その他にも使用と利用、朝顔と昼顔、対称と対照、卵と玉子、特徴と特長、フクロウとミミズク、などなどたっぷり解説とともに38例。

感覚的に普段使い分けているけど言われてみたら他人にうまく説明しにくい似ている言葉を写真と共にわかりやすく整理して載せられています。

本自体が珍しい横長のサイズ感、子供に話しかけるような優しく身近で美しい日本語の文章、美しい対比写真。目と心に優しく、子供にも大人にも(ふりがなはないので幼児は大人と一緒がよろしいかと)おすすめの本でした。

私の仕事でも、例えばナレーションで『使用する』『利用する』のどちらを選ぶかで、視聴者の印象が変わります。
映像は時間軸で順番に展開するものなので、本来は「卵」とするところを「玉子」と書いただけで気になる人は「なぜここで玉子?」と思考停止してしまい、視聴者の理解がおいつかなくなります。
(私は職業病でテレビのテロップミスは目で追ってしまうので余計です)

YouTubeなど簡単な映像ならまだしも、歴史や機械メカニズムを解説し幅広い人が訪れる博物館などの展示映像では「てにおは」はもちろんこのような言葉の使い方は細かく丁寧に精査していきます。

あと細かいことをいうと同じ読みでも言葉によって読みのイントネーションが違ったりするのでナレーションを読んでもらうときは注意が必要です。

このように言葉を大切にする理由がもうひとつ。
こちらの「頭のいい人が話す前に考えていること」(これも名著なのでオススメ)に"話が浅い人"の定義が書かれていますが、話が浅い人と思われずにきちんと相手に意思を伝えるためです。

話が浅い人の特徴
 1.根拠が薄い
 2.言葉の「意味・定義」をよく考えずに使う
 3.成り立ちを知らない

安達裕哉さん著作「頭のいい人が話す前に考えていること」 より

偏見や先入観、固執断定や歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解が強い「根拠が薄い」人、相手が受け取る言葉の意味を想像できず前提となる定義が曖昧だったり齟齬が生まれやすい表現をする「意味や定義をよく考えずに使う」人、よく知らない知識を「成り立ちも知らずに話す」人。

例えば、
1. 根拠が薄い
 A「この商品、めっちゃ売れてるらしいよ!」
 B「へえ、どこ情報?」
 A「なんかSNSでバズってた!」

2. 言葉の「意味・定義」をよく考えずに使う
 A「この映画、マジでエモいよ!」
 B「どうエモいの?」
 A「いや、なんか…感動する感じ?」

3. 成り立ちを知らない
 A「セーラー服といえば昔から女子の学生服だよね!」
 B「もともとは軍服がルーツなんだよ。」
 A「え、そうなの?」

ドラマや映画の脚本で想像するとわかりやすいですが、なんだか薄っぺらい会話に感じませんか? 知識が豊富な人と会話をしていると地雷を踏んでしまいかねません。

映像の例で言うとクライアントに制作する映像を『エモい映像』と言っても言葉だけでは伝わりません。
なぜエモいのか、どのようにエモいのか、ナレーションや映像演出、カメラワークと結びつけて言葉で説明できないとクライアントや代理店、多くの制作スタッフに伝わりません。

映像は視覚だけでなく言葉も大事。テロップの一文字、ナレーションの一言で、視聴者の受け取り方が変わります。だからこそ、この本に限らずたくさん本を読むことで映像のナレーションやテロップの精度を上げることが大切だと思います。私もまだまだ修行中です。多分永遠に。
言葉の使い方にこだわることが、いい映像を作る第一歩になり、ひいては視聴者により伝わる映像表現ができるようになります。

話や思慮が浅い人は、説明に説得力と納得力が弱く、仕事の程度が低いと思われる=仕事が取れなかったり信頼が得られなかったり報酬が低くなって損してしまい、仕事やプライベートの人間関係でもマイナス。

だからこそ、言葉にこだわって豊かな人間関係を育みたいですね。

(まぁ、そんな理屈ばっかり言う大人もつまらないので「すげええ」とかいう感性も大切にしたいところ…)


ここまでお読みいただきありがとうございます。
ご意見コメント楽しみにしています。

毎朝8時にnote投稿中。
内容が良かった時は、スキ、フォロー、お願いします。

#最近の学び #ビジネス書が好き #似ていることば #ジブン株式会社マガジン  #言葉の使い方 #映像ディレクター #ナレーション #テロップ #伝わる表現 #映像制作 #映像編集 #本紹介 #仕事に役立つ本 #言葉の違い

いいなと思ったら応援しよう!

別府 綾/映像ディレクター
記事がお役に立てましたらサポートお願いします🙇‍♀️ いただいたサポートは主に映画館で映画を見たり書籍購入など次の活動や記事に活かされます