新聞放送業界と出版業界って男女比こんなに違うんだ!
昨今なんだかんだ話題の放送業界。
近年、ドラマ「不適切にも程がある」や性接待問題など放送業界は労働環境やジェンダー格差の問題で注目を集めています。
私自身、映像業界に16年以上身を置いていますが、ふと「この業界、女性ってどれくらいいるんだろう?」と気になりました。
そこでデータを調べてみると、想像以上に興味深い結果が…。
内閣府男女共同参画局が作成している平成23年と少し前のデータにはなりますが、薄々女性比率は低そうと予想しましたがそれ以上に色々と興味深い内容だったのでシェアします。(なんとか白書(公的な調査)ってやつですね)
なぜ映像業界では男性が多く、出版業界では女性が多いのか。
これすごく不思議だな〜と思い深掘りしてみます。
最初に断っておきますが、私は映像業界の誰かを批判したいわけではありません。自分自身はテレビ大好きだし、今の映像の仕事も大好きだし、一緒に働く身近な仕事仲間の皆さんも皆好きです。
だからこそ働くひとが働きやすく、風通しがいい場所になるといいな〜と思って現状を知るためにこの記事を書きました。
男女間に能力差はない
近年の研究によると、男女間の脳の構造や機能に顕著な差はなく、能力に違いはないとされています。例えば、数学的能力に関しては、男女の脳の発達や数学的技能を処理する機能に差がないことが報告されています。
また、空間認知能力に関しても、社会的格差が少ない国ほど男女差がないことが示されており、能力の違いではなく、社会的・文化的な要因が影響していることがわかります。
どちらも、社会的経済的な格差が少なくフラットな研究環境では男女差に大きな開きは見られなかったことが近年言われています。
つまり、歴史的に長年男尊女卑の社会を維持すれば維持するほど「有能な女性の才能を無駄にしている」ということ。
女性だから有能ではなく、男女能力は同じなら有能な女性に正しく機会を与えた方がみんなの利益になるのにもったいないなと思うわけです。
映像業界に男性が多い理由
歴史的背景と文化
映像業界は長らく男性中心の文化が根付いており、徒弟制度やピラミッド型の組織構造が特徴的です。そのため、女性がキャリアを積み上げることが難しく、業界内でのセクハラやパワハラの問題も指摘されています。性接待など最たるもの。私の若い頃もプライバシーはズケズケ聞かれるし飲み会で下ネタを言うオッサンもたくさんいたしパワハラの現場も多く見てきました。
(それでも耐えられるひとだけが生き残る→女性が少ないという悪循環)
今では徐々にクライアントにも女性担当者が増えてかなり改善されてきました。
職場環境と働き方
映像業界の制作現場は、長時間労働や不規則な勤務形態が一般的で、どうしても内容によっては撮影や編集は徹夜など遅くなりがち。
今でこそ昔ほど徹夜は減りましたが、それも皆がちゃんと超過分を請求したり「なぁなぁじゃなくなった」「なぁなぁなところが選ばれなくなった」ことが大きいと思います。そして、特に子育てや家庭との両立を図る女性にとってはこの環境がハードルが高く、育休や産休制度が整っていない企業も多いため、女性がキャリアを継続しにくい状況です。子育て中の男性社員は概ね奥さんが専業主婦やパートなど融通が聞く仕事をしがちです。
だって回らないもん!! 私も子育てとの両立が難しく会社を離れました。それでもかなり融通していただいた方の会社なので局の下請け制作会社などの環境はまた違うと推察します。
高価な機材の扱いにくさ
近年、カメラや編集機材の軽量化・簡便化が進み、女性のディレクターやカメラマンも増加しています。
いや〜昔のモニターはジュラルミンケースに入ったブラウン管だし、どでかいカメラにバッテリーに三脚、クレーンやレールなどの特機、照明も白熱球などで機材がだいたい超絶重かった…
それが今は機材を運ぶ人数も減らせて女性技術さんもかなり増えました。
しかし、このような仕事内容の歴史的な背景から依然として男性の割合が高い状況が続いており、根本的な職場環境の改善が求められます。
新聞や放送業界に比べて出版業界に女性が多い理由
女性が参画しやすい職場環境
出版業界では、編集業務を中心に女性が活躍する機会が多く、比較的柔軟な働き方が可能です。また、女性が管理職に就く割合も増加傾向にあり、女性が活躍しやすい職場環境が整っていることがあると思います。
求められるスキルと適性
出版業界の編集業務では、コミュニケーション能力や細やかな気配り、クリエイティブな発想などが重視されます。これらのスキルは、女性が得意とする分野と一致することが多く、女性の参画が進んでいます。
映像制作の制作部も近年女性がすごく増えていて、これは女性のコミュニケーション能力や細やかな気配りが適性があるからだと思います。(もちろん個人差はあり)
実際のデータで見る男女比
先ほどの内閣府調査をさらに詳しく見ると状況がより理解できます。
職種別の男女比
新聞の中でも、出版や文化事業は男女比は半々、また管理部門は女性が多い。しかし実制作や電子メディア営業になると圧倒的に男性が多い。
放送では、管理や編成は女性も多いものの、技術美術、報道や制作は圧倒的に男性が多い。出版は営業がやや男性が多いものの、制作も管理も男女比はほぼ同じむしろ女性の方が多くなっていることと大きな差となっています。
つまりやはり歴史的に仕事内容がハードすぎた仕事は男性が担っていた背景が今も残っていると考えられます。
さらに目に見えて面白いのがこちら。
年代別にみた男女比
私が映像業界に長年いて、肌感で感じる男女比はまさにこんな感じです。
そりゃあ、もし(もしですよ〜)性接待をおじさん達がしていたらだんだん増えてきた若い女性たちがもういい加減に許せなくなってくるというのがよ〜くわかります。
しかも先ほど、女性が育児と仕事の両立が難しい話をしましたがそれを表すさらに見事なデータがこちら。
育児休業取得についての男女比
いや、男性の育児休業取得の低さたるや!! 恐るべし過ぎるやろ。
(ただし厚生労働省「平成 20 年度雇用均等基本調査」によると、平成 19 年度に出産した女性の 育児休業の取得率は 90.6%で、配偶者が出産した男性の育児休業の取得率は 1.23%ということで、そもそも男性の育休取得が少ない問題はある)
というかこの件について答えられるような60代以上の女性がさささ、3人しかいないのである!!!20代以下は5人しかいない!
面白いのが
いや、女の敵は女ーーーー!!!!!
海千山千を生き抜いた女性先輩がまた壁となって立ちはだかるという地獄…
契約社員やフリーランス、アルバイトが多く働く現場、低賃金が常態化している映像業界。本当にこのままでは人材不足が避けられませんぞーーー!!
まとめ
男女間に能力差がないことは科学的に示されていますが、映像業界と出版業界の男女比の違いは、歴史的背景や職場環境、文化的要因など、複合的な要因によるものです。
実はここに上げてませんが日本のテレビ局は全体的に女性役員は相当少ないというデータもありました。上が少ないと男性優位の仕組みになりがち。
悪しき風習や文化なら今から変えればいい。
いや、すでに変わりつつある。
今後、女性の参加を促進するためには、第一に映像業界の働き方の見直しや職場環境の改善、さらに育休・産休制度の充実など、多角的な取り組みが求待ったなしだな〜と思います。(どの業界もですけどね)
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