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映像現場から見たマーケティングの盲点

日本の遊園地といえば、東京ディズニーリゾートと並んで今やUSJも不動の人気を誇ります。しかし、2001年の開業当初は順調だったものの、すぐに経営が悪化。そこからV字回復を遂げた背景には、森岡毅氏(当時USJのCMO)のマーケティング戦略がありました。

彼の著書『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』には、その成功の本質が書かれています。

私は16年以上テレビショッピングなどの映像制作の現場でディレクターとして企画を量産してきました。マーケティングの業務委託で関わる立場だからこそ、この本を読んで気づいた「企業の広報チームが劇的に変えたいのに変えられない」理由について書きたいと思います。


変えたいのに変えられない企業のジレンマとは?

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』では、「マーケティングの目的と目標の違い」「戦略と戦術の違い」「売上のためのマーケティング術」などが、誰にでも理解しやすく書かれています。

その中で「USJを変えたたったひとつの考え方」が「消費者視点(Consumer Driven)」です。しかし、森岡さんは「大企業ほどこれが難しい」と指摘しています。

これはまさに、私自身が企画で一番大切にしていること。本当に消費者がそこに悩んでいたという新しい視点と気づきを与えることです。
そして実際、多くの企業が「消費者視点を持ちたいのに持てない、変えられない」ジレンマを抱えています。
 

なぜ消費者インサイトをつかめないのか?

この本の中で「ほとんどの会社(特に大企業)はマーケティングをしていない」と強い口調で警鐘を鳴らしています。
大きな組織ほど、「個人の利害と会社の利害は一致しない」と。

これは映像制作の経験上、すごくよくわかります。

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