退職の練習⑰池波正太郎の世界 Ⅱ
先日、蕎麦屋で池波正太郎の世界を旨いと思える大人になったと、
投稿したのだが、その傾向は、家の晩酌でも続いている。
今日のあてを探しに、ダンナとあちこちに行く。
それしか連日の確かなシゴトがない我々だが、ケッコウ真剣だ。
先日、ある道の駅に行って買ってきためかぶや、タイの刺身が旨すぎて、素敵なあてになった。八戸は海のある街だけあって、めかぶのフレッシュさが、神がかっている。今までスーパーのめかぶも旨いと思って食べていたけど、けたが違う。タイに至っては、2人暮らしにふさわしい少量パックで、280円の切り身なのだが、味が濃くて、こんなに美味い刺身にはなかなか
めったに出会えないなと思った。それ以来、スーパーでみかけるお刺身を
見ると「きっとあのタイほど旨くないだろうに、この値段は高い!」と思ってしまっている我々だ。
毎日、今日のアテは何にするのかが、うちでは重要事項だ。
今日は、乾麺のそばをゆでる、とダンナ。
じゃあ、アテは、天ぷらかな?と私。
ダンナが、今日はイオンで天ぷら盛りが安い日なんだよ、よく天ぷらって言ったなと喜んでいる。
イオンに言ったら、天ぷら盛りもゲットしたが、美味しそうな鯵刺しも
あったのでそれも買ってきた。ぬか漬けの漬物もゲット。次の日のパンも
買ってきた。近頃、イオンに置いてあるパスコのブラウンなパンや、クルミが入ったパンでサンドイッチを作る(←製作者ダンナ)のがお気に入りだ。
家に帰ってきて、ダンナが蕎麦をゆでる蕎麦で、晩酌の準備。
(まあ、ほぼ、準備するのはダンナ大笑)私はコップとか箸の準備w。
2人で剣客商売のドラマを観ながら、ビールを飲み始め、熱燗に入った。
熱燗登場と同時に、盛りソバや、鯵刺し、漬物、天ぷら盛りが出てくる。
トッピングが無い盛りソバより、刻みのりのかかったざるそばの方が好きだと思っていたけど、海苔をかけると、海苔が勝っちゃうんだな。
蕎麦の香りを楽しむならば、盛りソバが美味しいと、今日、初めて気が付いた。61歳にしてこうなのだから笑。まだまだ人生に知らないことは山ほどある。
それにしても、なんだ?
この、かなり池波正太郎に囲まれた世界は?笑
剣客商売の小兵衛が、妻のおはるの船で出かけたり、息子の大治郎も女剣士の三冬も、互いの恋心に気付かぬまま、剣の練習を二人で、熱く打ち合ったりしているのを見ながら、日本酒の熱燗を飲む。
寺島しのぶの女剣士姿も様になっている。寺島しのぶっていうと「愛の流刑地」でひたすら女っぽい役を演じているイメージがあったので、まさか、女剣士とは!と意外であるが、若くて美しくて凛々しいのであった。
藤田まことって凄い役者だよなあ。
彼が演じた仕掛け人シリーズの同心や、はぐれ刑事純情派といった、彼が血肉の通ったものにした役が次々と思い浮かぶ。
剣の達人で、どんな悪人にも一目置かれ、小金持ちで、いつの間にか若い使用人であるおはるを妻にするナイスガイの小兵衛は、藤田まことにぴったりだ。
私が本の池波正太郎を読んだのは10年ぐらい前のことだ。
雑誌のエッセイで、沢木耕太郎氏(確か?)が、1年に一度、初めから終わりまでじっくり読み返す小説として「剣客商売」をあげていたのだ。
そんな風に、1年に1度、絶対面白いからって、読み返す小説を自分は持っていないと興味が湧いたのだ。
文庫本で全巻持っている。
シリーズ化された小説で面白いなと思うことは、起きた事件のことは細かく忘れてしまっているが、主人公を取り巻く風景が印象深い。
小兵衛がおはるの漕ぐ船で春の柔らかな空気の中を進んでいく風景が好きである。
「清左衛門残実録」という仲代達矢が主人公を演じる時代劇が好きになって、NHKの上質な時代劇を予約録画するようになった。
そんなドラマを観てみると、
オモシロイ時代劇の原作は、
大概、池波正太郎か、
藤沢周平か、
山本周五郎か。
の3人によるものであった。
もしかして、時代劇、三羽烏とかいうのではないか?
時代劇しかり、NHKの連ドラをあまちゃんあたりから、録画してみるようになったけど、あの連ドラの、戦争前の日本にとても惹かれるのは、GHQに思想を統制される前の素敵な等身大の美しい日本を描いているからかもしれないなと思う。
それと同じことで、時代劇を見る楽しみって、なんか、そういう背景にあるのかもしれない。日本人が日本人らしく、暮らしていた時代。
慎ましい暮らしの中の家事や暮らし。
西欧と違う、庶民の幸せ度がとても高い江戸の町。
おはるが小兵衛を船で目的地に連れて行く、水の都の江戸。
鉄道が東京の町を席捲していく前の時代。
なんかいいよなあ。
これ、年を取ったからと言う以外にも理由がある気がするけど
どうなのでしょうか?笑