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「練習なのに失敗が怖いのか」ファイターズ秋季キャンプにみた『失敗してもいい』場所の価値

昨日から始まったファイターズの秋季キャンプの中継をラジオのように流しています。

私の応援するプロ野球チーム、日本ハムファイターズは、秋季キャンプをエスコンフィールドで観客を入れて実施しており、週末には1万人以上のファンが集まるほど人気のイベントです。

シーズン中にも、実況アナウンサーを担っていた土井さんと、ファイターズのOBや縁のある方が解説として入り、今行われている練習を元プロ目線で解説してくれたり、シーズン中、それからこれからのチームや選手について、また、自身が現役だった頃の思い出や、過去コーチ陣が選手だった頃のの話などを交えて話してくれます。

春に沖縄で行われるキャンプについて放送されているんですが、春はすぐそこにあるレギュラーシーズンに向けて少しピリピリした空気の中行われる練習。その一方で、秋のキャンプは、1シーズンを駆け抜けた選手たちが疲れをとりながらも、オフシーズンに向けての課題を確認したり、少し緩い雰囲気で行われます。

コーチ陣もファンサービスを意識してユニークなマイクパフォーマンスなども交えてくれていて思わず笑顔になるシーンも多く、見ていてとっても楽しいので在宅時はついつい中継をつけてしまいます。

そんななか、森本稀哲コーチが選手に投げかけた「練習なのに失敗が怖いのか」という言葉は、練習でこそ失敗を見せ、フィードバックを得られることの大切さを改めて気づかせてくれました。

印象的だった森本コーチによる外野練習

本日の練習中で印象的だったのは、森本稀哲コーチによる外野ノックの練習中。ちょうど、YouTubeにも動画が残っていたので、もし興味があれば見てみてください。

この練習で森本コーチは、ボールに対して、しっかりチャージをかけることを何度も指摘します。

少しずつ軌道を変えて飛んでくるボールに向かって、スピードを緩めずボールに向かっていき、尚且つ、ホームベースを目指す選手をホームでアウトにできるように捕球体制を整えることを意識する。

スピードに乗ったボールを捕るだけでも神経を使います。

実際の試合で、二塁に走者がいる状態で打球を後ろに逸らしてしまうと、1点もしくはそれ以上の点数を取られるかもしれない大事なプレー。

選手も、ボールが近づいてくるとスピードを緩めて確実に捕球できるポジションに就こうとどうしてもしてしまいます。

そんな心理が働く中、ボールに向かってスピードを緩めずに走っていくということはとっても勇気が必要です。

先ほど、森本コーチに厳しい言葉をかけられていた矢沢選手は2022年のドラフト1位で入団した投手で二刀流に挑戦していた選手。

私が2023年にエスコンフィールドで観戦した試合で、打者としてホームランを打った後に、投手としてしっかりイニングを投げ切るという活躍を目の当たりにして、これも何かの縁と思いグッズも購入して応援している選手の一人です。

投手の練習に参加していることも多く、外野はまだまだ荒削りな部分も多いよう。

その強肩で多くの選手をホームでしっかりアウトにしてきた万波選手と比べると、やはり違いは一目瞭然です。

観客の皆さんも、いいプレーには拍手を送ったり、捕球に失敗した時には思わず「あー」と声を漏らしたり、選手が練習に汗を流す姿をしっかり見ています。

「練習なのに失敗が怖いのか」

ファイターズのキャンプ中、森本コーチがなかなか大胆に捕球できずにいる矢澤選手たちに投げかけた「練習なのに失敗が怖いのか」という言葉にハッとさせられました。

練習でこそ失敗を見てもらい、フィードバックを受ける機会がどれだけ大切かを考えさせられたのです。

実際、キャンプにはシーズン中にはお金を払って試合を見に来るファンも訪れ、選手が一つひとつの動作を試行錯誤しながら取り組む姿を間近で応援しています。試合に勝つことを願って応援にくるファンたちが失敗を見守るということは、選手にとっても大きな意味を持っているのかもしれません。

思い返せば、私自身もかつて「失敗は避けるべきもの」と考えていました。自分の成果を見せるだけでなく、失敗や試行錯誤を他人に見てもらうのは少し怖くもありました。

しかし、以前の上司が失敗をも見てもらえる機会をたくさん作ってくれたことで、その考えは大きく変わりました。

上司は失敗を「問題」として取り上げるのではなく、「次の改善点」として見てくれました。実際に与えられた課題に対してトライしてみて、一通り間違えた後に、もっと良くするためのヒントを与えてくれた経験は、今でも大切な学びです。

ファイターズのキャンプを見ながら、プロ選手も同じように、失敗を通して成長しているのだと改めて感じました。失敗を見てもらえる環境や、それを一緒に考えてくれる人がいることが、何よりも成長の糧になるのかもしれません。

挑戦を後押しするための『安心して失敗できる場』

プロスポーツの舞台に立つ選手たちは、いつも完璧なプレーが求められます。

だからこそ「安心して失敗できる場」の存在が、選手たちにとってどれほど大切なものかを今回の森本コーチのひとことで改めて感じました。

失敗が前提とされる場だからこそ、選手は自身の欠点や課題と真剣に向き合うことができる。

そこでの失敗が次の成長につながり、プレッシャーのかかる本番の試合で最大限のパフォーマンスを発揮できるのです。失敗を経験しても「ここで学べばいい」と思える場があるからこそ、失敗が新たな挑戦や成長への一歩になるのだと感じます。

また、周囲もそれを前提として見守ることで、失敗の中で何が良かったか、何が改善点なのかといったポイントをフィードバックしやすくなります。

失敗が「改善すべきところを探すヒント」に変わり、次へのモチベーションが生まれる。ファイターズの練習では、お客さんも一緒にその過程を応援してくれているようで、安心して失敗できる場がいかに貴重で力になるのかを改めて思いました。

ところが、多くの人は社会人になり、特に年齢を重ねるにつれて、失敗をポジティブに捉えることが難しくなってきます。

仕事では、失敗のリスクをできるだけ避けようとすることが当たり前になりがちで、自分が成長する機会を失っているように思うことがありませんか?「失敗しないことが大事」という考えが根付くと、新しいことにチャレンジする意欲も萎んでしまいがちです。

だからこそ、安心して失敗できる場を自分自身に用意することは、実はとても貴重なことだと思います。

たとえば、趣味や副業での新しい挑戦、学びの場など、「失敗してもいいからやってみる」という気持ちで取り組める場所を作ってみてあげるといいのかなと思いました。

私にとって、それはこのnoteでの投稿を考える時間。

安心して失敗できる場所は、自分の中の好奇心や挑戦心を取り戻してくれます。何度でも「次はこうしてみよう」と思える心の余裕を作ってみるのも良いかもしれませんね。

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