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デジタルと現実の間で、身体感覚を取り戻すために:ピラティスインストラクターとしての私の想い
こんにちは。ピラティスインストラクターのあやねです。都内を中心に、関東でピラティスを教えている卵です。
私自身、ゲームやガジェットが好きだったり、IT企業の広報・ユーザーグロースやコンテンツマーケティングに携わっていたこともあり、デジタル大好き人間です。
現代は、スマートフォンなどのデジタルデバイスがあれば、ベッドの上でなんでも完結できる世の中。仕事も買い物も、娯楽も、人との交流も、今ではデジタルデバイスを通してできないことを考えるほうが難しい時代になったと思います。
私自身、自宅ベッドの周りを充実させて、ほとんどのことをベッド上で完結できるように目指していたりしました。
現代社会で私たちのほとんどは、目の前のデジタルデバイスの世界ばかり気にして、今ここにいない時間を過ごしていることが多いのではないでしょうか。
デジタル時代と身体感覚の鈍化
私たちの生活は、ここ数十年で劇的に変わりました。スマートフォンやVR、そしてAIが発展する中で、物理的な体の存在よりも、デジタル世界での活動が日常の大半を占めるようになっています。
私自身、小学生の頃からインターネットやゲームなどのデジタルデバイスに向き合う時間が多く、知り合いのほとんどはオンライン上で繋がった会ったことのない人ばかりです。
朝、目を覚ました時にスマートフォンで時間を確認しては、天気やニュースをチェックする、仕事は自宅でパソコンに向かい、ミーティングのない日は適当に髪を括って、とても外に出られるような格好ではなかったりします。
電車の中でも、スマートフォンを見ている人の多くは、周りにいる人に注意を払うより、目の前のスマートフォンに集中していますし、他人の目など意識していないように感じます。
仕事、趣味、ショッピング、人との交流、すべてが指先一つで完結するこの時代。私たちは自分が今どこにいて、どう動いているのかという「身体感覚」を置き去りにしているのではないでしょうか?
そして、それはこれからの未来、さらに加速すると思っています。異常気象や人口減少、都市部への人口集中などで移動する生活がますます困難になれば、人々は現実世界での「動く生活」よりも、デジタルの中で暮らす時間が長くなる可能性があります。
VR(バーチャルリアリティ)が発展することで、身体を動かさなくても「感じる」体験ができる時代はもう目の前に来ています。実際に、VRChatというVR世界での擬似生活にハマってほとんどの時間をそこで過ごしている人もいますし、FacebookのMeta社では、バーチャルのオフィス空間の開発をずっと行なっています。
仮想空間の中で、PCのようなデバイスに向かい、WordやExcelを操作するという未来はもうすぐそこです。
映画の『マトリックス』など、SF映画ではポッドの中で最低限の生命維持だけを行い、脳に送られる電気刺激によって作られた仮想の世界で生活をするといった描写がたびたび見られますが、こういった時代も来るのではないか、と最近思うようになりました。
身体感覚を取り戻す旅
私自信、デジタルデバイスと共に成長していて、たくさんの人々に機会を与え新たな可能性を広げてきた技術たちにとてもワクワクしていましたし、今でも大好きです。
新しいものやサービスを生活の中にどんどん取り入れて、自宅で過ごす時間もとてつもなく多かったです。
そんな生活をしていた自分でしたが、結婚式に向けて自分の身体を絞ろうとピラティスを始めた際に、あまりにも自分の身体に対して無自覚だったことに気づきました。
日常の中で、体の感覚に目を向けることが少なくなっていたんです。
仕事をしている時のチャットや、SNS上の自分がまともであれば、PCの画面の前に座っている自分が他人にどう見られているかなんてほとんど気にしません。
実際、肩こりや姿勢の悪さが悪化していることに気づいてはいたものの、実際に体を動かすと、もっと深刻な影響があったことに驚かされました。
背骨は、硬くなりほとんど動かなくなっていましたし、胸郭が広がらないので、呼吸もまともにできていない。膝が回旋してしまっていて、走ると痛みが起こりますし、足の指も浮いてしまっていて、踏み込んだりした時の力をうまく伝えられない状態です。
ピラティスは、ただ体を引き締めたり筋力を強化するだけでなく、背骨の動きや体の深部にある筋肉に意識を向けることで、身体感覚を取り戻すためのツールとしても非常に優れています。
実際にピラティスを学んだことで、今現在、PCの前に座っている自分の背骨がどうなっているのか、肩の位置や、視線を下げることへの首への負担など、いろいろなことに意識を向けながらこの記事を書いていたりします。
デジタルと身体感覚:共存する未来へ
私たちが住む世界は、デジタル技術の発展により、物理的な制約を超えて新たな可能性を手に入れています。仮想空間の中で生きるという未来は、決して遠い話ではなく、現実的な選択肢になりつつあります。
そして、そこにはデジタル空間の中で救われる人々も確かに存在します。仮想空間の中では、現実のハンデなどに関係なく、誰もが自由になりたい自分になることができるからです。
なので、現実で身体感覚を失った世界でも、絶対的に悪いわけではないという考えも自分の中にはあります。
ただ、それでも「今ここにいる」自分の体と向き合う感覚も大切にしていきたいと私は考えています。
今後、今では実際に行わないと体験できなかったことを仮想空間上でリアルにV体感できるようになると思っています。体を使ったアクティビティなど、そういった経験もできるようになっていくでしょう。
『マトリックス』や『.hack//』、『ソードアートオンライン』など、仮想空間の中で死んでしまうと現実でも死んでしまうという設定の物語もありますが、仮想世界と現実世界の身体感覚がリンクするような技術も今後開発されていくと思います。
しかし、現実でなんらかの形で身体感覚として得るためには、今以上に自身の体に対して意識を高めていないと行く必要もあるのではないかと思っています。
デジタル技術の恩恵を存分に受けつつも、身体の声に耳を傾け、心身を整える時間を持つことで、私たちはバランスの取れた生き方を模索できるのではないでしょうか。デジタルと身体感覚が共存する未来。それこそが、私が目指す新しい形の「体」と「心」のつながりだと思います。
私の目指す未来の身体感覚
デジタル世界の中で得られる自由と、現実世界での身体感覚。その両方を大切にしながら生きることが、私がピラティスを通じて伝えたいことです。
ピラティスは、身体の感覚を取り戻すだけでなく、今ここにいる自分自身を感じるための強力なツールです。これからの未来、どれだけデジタル空間が発展しようとも、自分の身体に耳を傾ける時間を忘れないで欲しいと思います。
このnoteでは、私が日々感じていることをはじめ、身体感覚を取り戻すためのヒント、そして「今ここにいる自分」を感じるためのアイデアをシェアしていきます。
もし、私の世界観に共感していただけたら、ぜひ一緒にピラティスを通して自分自身を再発見する旅に出かけませんか?