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ドーナツ、袋詰めの順番問題
どうしてもミスドのドーナツを食べたくなった日があった。
それがバレンタインデー当日だったので、旦那さんのためにチョコレートのドーナツを買いに行くという大義名分を持って、久しぶりに自転車をこいでミスドに行った。
ちなみにわたしは大学の4年間、実家の近くのミスドでアルバイトをしていた。あの頃は毎日ドーナツを眺めて、休憩時間にはいつもドーナツを食べていた。ドーナツだらけの毎日で「もうしばらくはミスドなんていらない」「ドーナツは食べたくない」って思っていたはずなのに、今となってはまたミスドの虜になっているのだから、ドーナツの誘惑は恐ろしい。
わたしが食べたかったのは、エンゼルクリームとポンデリング。旦那さんに頼まれたのはチョコリングとポンデザクショコラ。おやつにドーナツ2つも食べるなんてちょっと罪悪感だけど、それでも食べたい。たまにはいいよね、甘いものも。
ただ、このドーナツの組み合わせでひとつ気がかりがあった。
わたしがエンゼルクリームを頼み、彼がチョコリングを、しかもお持ち帰りで頼むというリスク。これで察することが出来る人はベテランのミスド店員なのだと思う。
ここで問題なのはドーナツを入れる順番。
ミスドのドーナツを詰める時、ちゃんとドーナツ毎に順番があるの、みなさんはご存じだろうか。基本的にはずっしりとした重量のあるドーナツ(オールドファッション系のドーナツやダブルチョコレート、ゴールデンチョコレートなどのチョコレート系のドーナツ)を一番下にして、最後に一番軽いフレンチクルーラーを置く。中間はだいたいその時のドーナツの組み合わせで順番が決まるのだけれど、その中間にどのドーナツを持ってくるか、どんな順番で並べるのかは、店員さんの腕次第。
ちなみに今回の4つであれば、わたしなら大きさ、重さ、上にかかっている粉砂糖とチョコレートコーティングの違いから「チョコリング→ポンデザクショコラ→ポンデリング→エンゼルクリーム」の順番にする。
ここで一番やってはいけないとわたしが思う順番は、チョコリングの次にエンゼルクリームを持ってくること。なぜなら、そのふたつを隣同士にすることで、チョコリングの表面にエンゼルクリームがまとっている粉砂糖ががっつりついてしまうから。これがわたしの思う、この組み合わせのドーナツをお持ち帰りで頼むリスク。
ちなみにわたしは新人だった頃に1度この間違いを犯してしまった。表面がグレーズたっぷりのハニーディップの隣にエンゼルクリームを並べてしまって、せっかくのハニーディップを粉砂糖まみれにしてしまったことがある。わたしの時は隣で見ていた先輩がそっと注意してくれたおかげで事なきを得たのだけれど、やっぱり実際に粉砂糖まみれになったドーナツをこの目で見ないと、まさかそんなことになっているなんて信じられなかったから、あの間違いはとても良い経験になったなぁと今でも思っている。別に日常生活でその知識と経験を生かすところはどこにもないけれど。
とにかく、トレイに4つのドーナツを乗せて、わたしはレジに向かった。もしチョコリングの隣にエンゼルクリームを並べられそうになったら、そっと「それはちょっと…」って言おうって心に誓って。
そして運命のお会計の時。
dポイントカードを提示して、d払いアプリを起動させてお支払いをしよう、あ、そうだ、株主優待券があるんだった!財布財布……としている時に自分の目の前に飛び込んできたのは、ポンデザクショコラとポンデリングしか残っていないトレイ。すでにチョコリングとエンゼルクリームは袋の中。ということは…つまり…。
まさかと思い店員さんの名札を見たら、そこには「研修中」の文字が。
やられてしまった。この人はかつて新人だった頃のわたしのように、まだチョコリング(もしくはハニーディップ)の隣にエンゼルクリーム(もしくはカスタードクリーム)を並べるとどんなことが起きるのかを知らないんだ。
でも、当該ドーナツはすでに袋の中。もう手遅れだった。
そっと笑顔で渡されたしっかり袋詰めされたドーナツをもらい、帰路についた。
ちらっと袋の中を見てみると、チョコリングの隣には、しっかりとエンゼルクリームの姿があった。
わたしは悲しかった。ドーナツを買う前から、この組み合わせのリスクを心の中でずっと危惧していた。もしあの順番で袋に入れられそうになったらちゃんと言おうって心の中で誓っていた。でも、出来なかった。研修中の新人の店員さんにそっと「こうなりますよ…」って教えてあげることも出来たけれど、なんだか出しゃばった客のような気がしてそれも出来なかった。何もできず、危惧していた通りの結果をもたらしてしまった。悲しかった。
自分が食べる分なら別に良い。でも、今回のチョコリングは、彼へのバレンタインのプレゼントのドーナツなのだ。わたしがエンゼルクリームを一緒に買ってしまったばっかりに粉砂糖だらけにしてしまった。やってしまった…。
しょんぼりしながらお家にたどり着き、粉砂糖まみれになったチョコリングを見せながら事の顛末を旦那さんに話した。
すると彼は言った。
「チョコレートのドーナツにさらに砂糖までかかっててラッキー!」
わたしの悲しい気持ちはなんだったんだと拍子抜けしたと同時に、これは話のネタに出来るなと思った現金な自分がいた。
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