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たませんと油そばに、自分のご機嫌スイッチを気づかせてもらった

自分のご機嫌は自分で取る。よく目にするこのワード。不機嫌よりはご機嫌の方が絶対に良いに決まっているので、わたしも日々意識しながら生きている。

でも、ふと思う。わたしは、何をしたらご機嫌になるのだろうか。どんな時にご機嫌になるのだろうか。自分のことは自分で理解しているつもりだったけれど、具体的なことを考えてみると、果たして何が自分をご機嫌にするのか、あまりよく分からない。

なので、最近「幸せを感じた瞬間」を思い返してみた。娘ちゃんと手を繋いでお散歩したこと、家族みんなで豆まきをしたこと、なんて、微笑ましい光景はいくらでも思い浮かぶ。でも、それ以上に「満たされた」と思えた瞬間があった。それは、1人で門戸厄神に厄除けに行った際、参道でたませんを食べたことだった。

普段なら、「露店で買うのは割高だから」と、あまり手を出さない屋台の食べ物。買ったとしても、夫や娘ちゃんと分け分けして食べるのが常だった。でも、その日のわたしは、割高だと知りつつも「食べたいから」という1点のみで、露店のたませんを買い、それを1人で全部平らげた。満ち足りた気持ちになった。普段なら「これくらいは残してあげた方がいいかな?」と、自分以外の誰かが食べる分を気にするけれど、この日に限ってはそんな気遣いは無用だった。「わたしが食べたいこれ、ぜーんぶ1人で食べちゃっていいの!?」と思いながら食べきったたませんの味は、格別だった。

その時に思った。自分が食べたいと思うものを、誰にも遠慮せずに選んで好きなだけ食べられることは、わたしをかなりご機嫌にする。

思い返せば、昔っからそうだった。学生の頃、「今日はお弁当作られへんかったからこれでなんか買って食べて」と渡された500円を握りしめてコンビニに行くと、いつも必ず最安値のおにぎりをいくつか買って、おつりは全部親に返していた。本当はいくらとか明太子とかネギトロとかの比較的お値段高めのおにぎりが食べたかったはずなのに、低価格ゾーンのツナマヨばかり選んでいた。外食に行った際、自分が本当に食べたい物ではなく、比較的値段がリーズナブルなメニューの中から比較的食べたいと思えるものを探すのが癖だった。別に誰かから「高いものは頼んではダメ」などと言われたことは一度もない。だけど、なんだか頼めなかった。無意識のうちに、安い方しか選んではいけない的な考えになっていた。

だから、割高だと思える露店の食べ物を買ったら「自分1人で食べるのはもったいないから、みんなで分けて食べるべき」という意識を持っていた。でも、先日たませんをひとり占めした時に、自分に許可を出せたような気がした。「わたしは好きなものを選んで食べていい」「値段とか、誰かの分とか、そういうのは気にしなくて、自分が本当に食べたいと思うものを、好きなだけ食べていい」という許可を。

家族でイオンモールに行った。フードコートでご飯を食べようとなったとき、「わたしは自分の食べたい物、自分で買ってくるわ!」と家族に宣言した。いつもなら、「わたしがこれを頼めば娘ちゃんも一緒に食べられるかも」とか「夫と同じお店で一緒に注文した方が時短になるかも」なんて、あらゆることを考えながら自分のお腹を満たせるものを選んでいた。でも、その日は「食べたいものを食べる!」と心に決めていたので、今まで色々考えていたものは全部無視した。
娘ちゃんは自分で食べたいと選んだお子様プレートを注文したし、夫は自分で食べたいものを買いに行った。それなら、わたしだってやってやるぞ。

そう思って選んだのは、油そばだった。普段なら、絶対に選ばないチョイス。娘ちゃんと一緒にシェアもできないし、夫は油そばが好きではない。だから、家族で外食する際に油そばのお店は絶対に入らない。でも、わたしは好きなのだ、油そばが。大学生の時にハマって、何度も何度も食べた油そばを、わたしはもう一度食べたいと思い続けて、ここ数年食べられずにいた。でも、フードコートなら、食べられる。だって、自分が食べたいと思うものを選べるから。

そんなわけで、久しぶりに食べた油そばは、それはそれはおいしかった。味はもちろんなのだけれど、自分が本当に食べたいと思うものを誰の何も気にせずに選び、それを1人で全部食べ切ったことに、とても満たされた気持ちになった。

自分のご機嫌を取るということは、今まで無意識に押さえつけていた自分のあれこれに、許可を出してあげることなのかもしれない。だから、遠慮せずにどんどん許可を出して、わたしのことをご機嫌にし続けたいなと思う。


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あやめし
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