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本当はどうしようもないくらい不安だった

妊娠後期、切迫早産で入院していた頃、ふと読みたくなった本があった。

それが、さくらももこ著『そういうふうにできている』。

この本は、さくらももこさんが妊娠、出産の頃のエッセイがまとめられた本。

わたしがこれを初めて読んだのは、さくらももこのエッセイ本にドはまりして読み漁っていた小学生の頃。あの頃のわたしにはこの本はまだ未来の話すぎてたいして面白いと思わなかったのだけれど、きっと今のわたしだったら面白く読めるはず。

そう思ってネットを調べてみたら、この本、電子書籍としては出版されていないという事実に気が付いた。これが読みたかったのは病室のベッドの上にいた時だったのに、電子書籍がないなんて……。紙の本で購入して自宅に届くようにして、旦那さんに持ってきてもらうという手もあったのだけれど、この本はすでに実家にあるし……。ということで、読むのを断念していた。

ということに、つい昨日思い出した。実家に帰ってきてもう1ヶ月。もうすぐ実家から家に帰るという今のタイミングでやっと思い出して、自分の部屋にある本棚から取り出して、読むことにした。

久しぶりに読むさくらももこさんのエッセイ。相変わらずめちゃくちゃ面白い。便秘の話だけで1章まるまる、17ページも書けるのすごすぎる。もはやこれは天才の所業。わたしのエッセイ好きの原点はここにあるなぁと改めて。
妊娠中のお話だから妊娠中に読みたかったなぁ、なんて思いながら見かけたこの一節に目が留まった。

親になる責任や、出産に対する恐怖や、仕事が続けられるのかという不安が、テスターの判定を見た瞬間から一気に現実に向かって流れだしていった。もう、この現実を止める事はできないのだ。

妊娠検査薬で陽性の反応が出た時、わたしも思っていた漠然とした不安のこの気持ち。見事に言語化されていてびっくりした。わたしもこれと全く同じことを思っていた。不安にはなるけれど、もう止められないって。

自分がちゃんとお母さんになれるのか不安だったし、これから先の未来がどうなっていくのか予想もできなくて、言いようのない感情に苛まれていた。出産だって無事に終えられるかも分からない(もしかしたら死ぬかもしれない)し、自分が健康で元気に妊娠生活を終えられる自信もなかった。

赤ちゃんが無事に産まれても、わたしがちゃんと育児ができるのか、子供を育てる親になれるのか、何もかもが不安だった。

だけど、いざ赤ちゃんが誕生して現実がやってくると、なんとかなるもんだった。まだまだ生まれて1ヶ月しか経っていないし、これからどうなるかなんて分からないけれど、それでも、なんとかなりそうな気がする。

ちゃんとした親になれるかどうかなんて分からないけれど「そもそもちゃんとした親ってなんだよ、わたしはわたしなりに元気に楽しくやってくんだから」って気持ちにはなっている。


色々不安な気持ちになっていたことも「そういえばあの時あんなこと思ってたなぁ」って、懐かしんで笑い飛ばせるような日々がいつか来ればいいな。


そんなわけで、今日もおつかれさまでした。


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あやめし
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