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【読書日記】『菜食主義者』が描き出す「夫婦」という奇妙な関係

10月10日、韓国のハン・ガンがアジア人女性で初となるノーベル文学賞を受賞しました。
 
私は彼女の作品ではまだ『菜食主義者』しか読めていませんが、これがまた非常に奇妙な、常軌を逸したストーリーになっています。
 
主人公はいたって平凡な専業主婦。ところが、ある日突然気味悪い夢を見たという理由から、肉を食べなくなってしまいます。最初は肉を拒絶するだけだったのですが、だんだんと夫とも普通のコミュニケーションが取れなくなり、挙げ句の果てには「木」になろうとします。
 
なんとも強烈なストーリーラインですが、これを読んで本谷由希子の『異類婚姻譚』を思い出しました。こちらも夫婦にまつわる物語ですが、「夫の輪郭が崩れていく」という不思議な現象が起こりはじめます。


『異類婚姻譚』のスペイン語版


 
2作とも夫婦という関係の不気味な側面を描き出しているわけですが、欧米の人からすると日本と韓国における夫婦の理解できない関係(たとえば、『異類婚姻譚』に登場する夫はかなり傍若無人。そして、それを普通に受け入れる妻)も興味を惹かれるようです。

少し大袈裟に描かれているかもしれませんが、たしかに愛情表現もない、平等でもない、そんな関係になってしまったらスペインでは即離婚だろうな……と、そんな視点から読んでも面白いかもしれません。


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Ayaka@Barcelona
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