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10年後の私より今の私を

突然だが、私はデパスが好きだ。
よく眠れるし、なんとなく気分がよくなる気がする。

レンドルミンやデエビゴも服用していたことがあるが、どうも切れが悪かったりして日中会社員の私にはなんとなく不向きな気がしている。
もともと貧血気味で薬効が出やすい体質なのもある気はするが。
 
デパスを初めて処方する時に、主治医が言っていたことがある。

「デパスは切れは悪くないしよく眠れるとは思うけれど、5年後10年後を考えるとあまり出したくありません。依存性が高いのでなるべく服用期間は短くしましょう」

私は短く「はい」と答えた。

それから約1年半が過ぎた。
結論から言えば、今も私はデパスを処方してもらっている。
返事は短かったが、服用期間は短くならなかった。
飲む量も増えている。
耐性がついたのか、効きが悪くなってきているからだ。
とはいえ、量を飲めばよく眠れるし切れも悪くない。
私の今の生活には合っているのだ。

主治医からはいったん薬を変えてみないかと言われている。
理由は最初に処方された時と同じ。
「依存性が高いから、5年後10年後を考えると早めにやめたほうがいい」かららしい。

主治医が言うことは正しい。
アホな私でもわかる。

でもその反面、こうも思う。

私は5年後10年後生きているのだろうかと。
万人をもってして言えることだとは思うが、希死念慮を抱く私は他の人よりはこの世界を卒業している可能性が高い気がする。
そんな先のことを考えるより、今日を生きること、明日仕事に行けることを一番に考えたいのだ。

今この瞬間を眠れずに苦しみながら長く生きることを前提で話すよりも、たとえ短くても今を少しでも楽に生きて生きたいのだ。

成人すれば、働くこと、眠ること、食べることは大体の人が営んでいるだろう。
働くこと、食べることが私に苦しみしか与えないなら、眠ることくらいはせめて私の自由であって欲しいのだ。
私の手のうちだけですべてを決めさせて欲しいのだ。

きっと5年後も10年後も私は死にたいだろう。
5年前も10年前も死にたかったように。

ならば、今この瞬間の眠りだけは私の思う通りにさせてほしいと思う。
私だけの世界で、私が最も楽になれるやり方を選ばせてほしいのである。

そろそろデパスが効いてきました。
震えながら泣きながら目が覚める明日の朝まで、つかの間の自由を。

おやすみなさい。

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