卒業2ヶ月前に大学を辞めた話
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「とりあえず大学は卒業しとけ」
大学への進学率が年々上昇している現代、多くの人はこう言うはずだ。私は小さい時から安定志向で、いわゆる世間体をものすごく気にするタイプだった。
自分の道は自分で決めてきたと思っているが、振り返れば「自分はどうありたいか」という内的な欲求よりも、「自分はどうあるべきか」という外的な要請に従っていたように思う。
でも、「とりあえず」で大学に進学したわけではない。看護師になりたいという夢があった。
実家の経済状況も考えて、全寮制で学費も寮費もかからない、かつ月々手当をもらえる大学を選んだ。自宅で一年浪人してその大学に入学した時「もう安心だ」と心から思ったことも、よく覚えている。
しかし、卒業2ヶ月前に中退した。
あれからまだ3ヶ月しか経ってないけれど、一世一代の決断をしたあの頃の事を思い起こして見ようと思う。
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最初に違和感を感じたのは、大学4年の4月にあったキャリア説明の時である。
10年、20年先まで約束されたキャリア。給料の推移から、階級があがるおおよそのタイミングまでわかった。
安定が大好物の私にはこれ以上いい話はないはず。しかし心のどこかで引っかかるものがあった。
人生にはもっと選択肢があるのではないか?
でも看護の勉強は楽しいし、今更他の選択をして将来を棒にふるわけにはいかない。どこかで自分にストッパーをかけて。
通っていた大学は指定の病院に勤めなければならない決まりがある。そして卒業後そこに勤めない場合は一括で償還金を支払わなければならなかった。
安定志向、現実主義なわたしには、少しの違和感から進路を変える選択肢はなかった。
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違和感が確信に変わったのは12月。自身の結婚式を挙げた時だ。
人生で初めて「涙が出るほど幸せだ」と感じた。本能的に、私もこんな瞬間を作りたいと強く思った。
そして、こんな風に「愛されるブランド」に関わっていきたい、と。
今の窮屈な環境を飛び出そう。誰かの人生にいいきっかけを与えられる人になろうと決心した瞬間だった。
実はすでに結婚式の準備プロセスの中で、人生のヒアリングをした時、生き方、見栄、大事にしたい価値観等、たくさんのものが見えていた。
結婚式で全てが繋がり、確信に変わった。そして結婚式を挙げた会社の採用プロセスにのる選択をとった。
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そこからは辞めるまで実に早かった。
在学中のバイトや就職活動が禁止だった事、同期は国家試験を控えている事もあり、影響を最小限に止めたかった。
年明けから準備を進め、1月中には辞める事が確定した。
同期、教官、後輩、たくさんの人に驚かれ、時には考え直したらと言われ。(笑)
最終的には心よく送り出してくれた。
(同期、後輩からもらった色紙)
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大卒という肩書き以上に大学での経験は濃いものだったし、どこにいってもやっていけると感じいているため、辞めた事への後悔は一切ない。
何より、4年前の私よりも、生きる軸がしっかりある。
正しく頑張り続けるためには、私自身がどこかで幸せを感じていなければならないから。
置かれた場所で咲く選択肢もあったけれど、咲く場所、咲かせる花さえも自分で選択しようと決めた。
そんな今が、人生で一番楽しい。
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