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「探究」と「キャリア教育」の関係を読み解く【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】

学習指導要領の改訂により、
高校の「総合的な学習の時間」が
「総合的な探究の時間」になったことをご存知でしょうか。

名前が変わっただけ?と思われるかもしれませんが、
高校ではこの「探究」がまさに
キャリア教育そのものになっています。

「探究」と「キャリア教育」の関係を読み解くヒントとして、
まず、「総合的な学習の時間」と「総合的な探究の時間」の
何が違うのかについて確認したいと思います。

学習指導要領の解説に「課題と生徒の関係イメージ」として
次のような説明があります。

*****************

総合的な学習の時間では、
課題を設定し、解決していくことで、
自己の生き方を考えていく。

総合的な探究の時間では、
自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題を発見し、
解決していく。

*****************

どちらも「自己の生き方」という言葉が登場していることからも
キャリア教育と密接に関係があるものだということは
わかるのではないかと思います。

では「総合的な探究の時間」となることで何が違うかというと、
「自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題」という点です。
一体的で不可分というのは「切り離せない」という意味。
自分自身の在り方・生き方と
切り離せない課題を設定し解決に取り組むということは、
自分の興味・関心と向き合うことでもあり、
自分が何を学びたいのか、これからどうありたいのかと
向き合うということになります。

高校でのキャリア教育は
「総合的な探究の時間」が主軸になると言われるのは
こうした背景もあるのだと思います。

そもそも探究とは「学習内容」ではなく「学び方」。
学習指導要要領の解説に
「生徒の学習の姿」として
以下のような姿が提示されています。

************

日常生活や社会に目を向け、自ら課題を設定し、
以下の4つの探究の過程を経由し、
(①課題の設定②情報の収集③整理・分析④まとめ・表現)
自らの考えや課題が新たに更新され探究の過程が繰り返される

*************

この学習の姿は
スパイラルの図で表現されているように、
繰り返していくことがとても大事。

大人が自身のキャリアを築いていくプロセスや
生き方・在り方と向き合うプロセスも、
まさに同じものがあると思います。

「探究」と「キャリア教育」の関係は
まさに一体的で不可分とも言えるのではないでしょうか。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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