「下剋上球児」を観ながらモヤっとした話。
先に言っておくと、テレビドラマが大好きである。おそらく毎週15本くらいは常にTVerで追いかけていると思う。役者さんたちも好きだし、何よりも劇伴(音楽)が好きで、すべてのクリエイターのみなさんには本当にリスペクトしかない。毎週15本見ていたとしても、倍速再生なんて絶対あり得ない。
・・・のだが、仕事柄、学園ものに関しては、モヤモヤが止まらなくなるので、「最高の教師」みたいな、よほど仕掛けがおもしろいものでないかぎり、なかなか観ることはない。学園ものは若手の役者さんの活躍の場でもあるので、そういう側面でも楽しみではあるんだけど、どうしても。
で、今日から始まったこちら。
鈴木亮平も黒木華も好きな役者さんだし、制作チームも気になる。というわけで観てみた。この展開、どうなるんだー?という、ドラマとしてのおもしろさはあるので、引き続き観ようかなはと思ってるんだけど、どうしても気になってしまうモヤっとポイント(笑)。もう、これは職業病として仕方がないのか。
自分が果たせなかった夢を他人に託さないでくれ
モヤっとポイントのひとつめは、こちら。繰り返すが、黒木華ちゃんは好きな役者さんである。が、彼女の演じる「野球部を強くしたいと熱心に活動する教師」に、モヤモヤがとまらない。なんでかって、「野球が大好きだったけど女子は野球部に入れなかったから」という、自分が手に入れられなかった夢を高校生という他人に押し付けているから。・・・イタイ。これは、イタすぎる。子どもに関わろうとする大人の中でいちばんヤバいヤツだ。
自分の子ども時代に手に入らなかったいろいろは、他人でなんとかしようとしちゃいかん。いまから女子野球チームを自分でつくったっていいんだから。自分の穴埋めは自分でするんだよ。これは声を大にして言いたい。
こうして部活顧問になっている先生も、少なからずいるんだろうなぁ・・・。ドラマの中で彼女自身の問題は解決していくのだろうか。
部活の教育的効果の問題
モヤっとポイントのふたつめは、鈴木亮平ふんする先生が新入生に「部活には入れよ。クラス以外の人間関係ができる大事な場だから。」みたいなことを伝えるシーン。これ、わかりすぎるくらいわかる。私自身がどっぷり部活にハマった高校生活を送ってきていて、社会の縮図のような環境から学んだことは授業以上に大きかったと思っているから。
だが、現実の世界では、これが教員の働き方改革や「部活動の地域移行」を考える上で、けっこう大事な論点につながるように思う。
部活動に重要な教育的効果があり、教育の場として重要だと考えられているから、教員が部活動を担当し指導し(管理責任もあるのだろうが)、でもその結果として労働時間が異常に長くなってしまっているという現状がある。そうした問題への対策として「地域移行」が議論されてきているのだけれど、地域移行された場合、「教育的側面」はどうなるのだろうか?そもそも「教育的側面」を地域に求めるのか?(個人的には求めるべきではないと思っているんだが。)
野球はポピュラーなスポーツだし、高校野球はドラマになる題材でもある。夏になれば甲子園を楽しみにしている人も多い。ニュース番組で取り上げられて大盛り上がりしている一方で、同じ番組で「教員の長時間労働問題」が報じられ、憤る人たちがいたりする。この2つの話題、同じ直線上に並んで存在していることは、どれだけの大人が想像できているだろうか?外野で騒いでいる大人もけっこうな問題なんだよなと思う。
・・・みたいなことがグルグルしはじめて、たぶんこの先も、モヤモヤしながら観るのであろう予感が濃厚に・・・
繰り返しにはなるが、テレビドラマは大好きである。
鈴木亮平も黒木華も好きな役者さんである。