マガジンのカバー画像

映画note

13
CERCLE CINEMANEという映画のZINEを発行しています。主に高崎のZINPHONYに出展しています。よろしくです。https://twitter.com/nyanto…
運営しているクリエイター

2019年4月の記事一覧

燃え尽きたアイデンティティ 映画「バーニング 劇場版」によせて

燃え尽きたアイデンティティ 映画「バーニング 劇場版」によせて

STAFF
監督:イ・チャンドン
脚本:オ・ジョンミ、イ・チャンドン
撮影:ホン・ギョンピョ
照明:キム・チャンホ
衣装:イ・チュンヨン
音楽:Mowg

CAST
ユ・アイン(イ・ジョンス)
スティーブン・ユァン(ベン)
チョン・ジョンソ(シン・ヘミ)

いまにも眠りに落ちそうな表情を浮かべながら、半分だけ開いた眼でこの世の不条理や不可解というものをどこまでも見つめようとする強い眼差し。不運な境

もっとみる
歴史は夜つくられる 映画「サンセット」によせて

歴史は夜つくられる 映画「サンセット」によせて

多文化共生がうたわれながら、その反発とも向き合わなければならない時代に、20世紀初頭のブタペストを参照するというのは、意味深く現代的な視点だと言える。『サウルの息子』(2015)でアウシュビッツ強制収容所の過酷な現実をひとりの男の視点から、その独特な映像スタイルとともに描き出したネメシュ・ラースロー監督の長編第二作目である『サンセット』は、まさにその時代、第一次世界大戦の開戦前夜のオーストリア=ハ

もっとみる
熱海での祝祭。映画『小さな声で囁いて』に寄せて

熱海での祝祭。映画『小さな声で囁いて』に寄せて

言葉にならないような感情を、心の内からそっと引き出し、はじめからそれを思い出したかったのだと、そう膝を打つような作品が良い映画の条件だと勝手ながらに思っている。名も知れぬ感情を発見する喜びだ。

それはメロドラマでもサスペンスでも起こり得る。
若き映画作家である山本英は、それを観光というモチーフのなかで見事に描き出した。
山本英は東京藝術大学大学院の映像研究科映画専攻にて、黒沢清や諏訪敦彦など作

もっとみる
北緯17度線を越境する、ベトナム映画の優雅な誘惑 『漂うがごとく』に寄せて

北緯17度線を越境する、ベトナム映画の優雅な誘惑 『漂うがごとく』に寄せて

無知を承知で告白するが、ベトナム映画はどうやらニューウェーブ期を迎えているらしい。既存の体制を解体し、新たなる運動のもとに先鋭的な映画をつくる流れは、先進国を顕著にはるか昔からあるわけだが、それが近年ベトナムでも起きているのだという。では、その新しき潮流とは何か。

STAFF
監督:ブイ・タク・チュエン
脚本:ファン・ダン・ジー
撮影:リー・タイ・ズン
音楽:ホアン・ゴク・ダイ

CAST

もっとみる