オランダからのまなざし −教育武者修行を終えた平山さんに聞く オランダ社会のこと、教育のこと−
オランダでの3年間の教育武者修行を終えた平山直樹(ひらやまなおき)さんにお話を伺いました。オランダ社会のこと、教育のこと、平山さんのこれからのことを6回に分けてお届けしています。
(2回目以降はインタビュー掲載サイトにてご紹介しています。)
インタビュー全体の目次
#1「学びたい!」日本を飛び出してオランダへ
#2 オランダで学んだこと① オランダ人の「まなざし」
#3 オランダで学んだこと② オランダ人が「育むもの」
#4 オランダで学んだこと③ オランダ人の「楽しむ力」
#5 コーヒーブレイク オランダの哲学 ー目的合理主義ー
#6 イエナプランを一緒に探究して、もっともっと学びを好きになりたい
#1 「学びたい!」日本を飛び出してオランダへ
これはちょっとおかしいぞ、他の国に行って学んでみよう
ー平山さんはなぜオランダに行かれたのですか?
オランダの教育を勉強するためにオランダに行きました。2016年にオランダに行く前は日本で10年間中学校の教員をしていました。その時間はすごく楽しかったし、子どもたちとの忘れられない思い出もたくさんあって教員生活を満喫していました。でも、その一方で教育界が抱えている問題の大きさも痛感した10年間だったんです。
これはちょっとおかしいぞと思ったんです。先生たちが知恵を振り絞って時間も使って、みんな死にそうになりながら一生懸命頑張っているのにどうしようもない問題がいっぱいある。これは、教育界のシステムや考え方に原因ががあるだろうなって思って。それで、僕は冒険好きなので、日本とは全然違う教育先進国に飛び込んで教育について学びたいなと思った。最初はフィンランドに行こうと思ったけど、色々調べていくとオランダの方が面白いって思ったんですよね。だからオランダに行こうと思ってそれで家族で移住して3年間生活しました。
アムステルダムの図書館 妻の由香さんと娘の千里(せんり)ちゃんとともに始まったオランダ暮らし
社会は今なぜこんな状況になっている?オランダにヒントを求めて
ーオランダが面白いと思ったポイントは何だったのでしょうか?
僕は社会科の教員なので社会というものにすごく興味があるんです。社会科の教員として今の世界の流れを見たとき、世界が右傾化しているように見える。一国の大統領が差別発言をしたりとか、日本でも有名な政治家たちがとんでもないことを言ったりしています。そういう部分が自分としては大きな問題だと思っていたんです。それに対して、オランダ人って、寛容で人権意識が高く、ワークシェアリングや同性婚などを世界で最初にシステム化するような国なので、今の世界の右傾化の流れや分断されている状況などに対する大きなヒントを持ってるんじゃないかなと。
オランダは子どもたちの幸福度世界一とも言われて教育がとても評価されているという一般的な評価と、自分の社会科の教員としての興味関心というふたつの理由からオランダを選びました。
平日の昼間に公園で子どもと遊ぶお父さんたち ワークシェアリングが浸透しているからこその光景
教育を下支えする国民性や文化はどうなっているんだろう
ーオランダに行くことを決めた時点で特に期待していたことはどんなことでしたか?
オランダの教育を学ぶ研修会というのがあって、僕もリヒテルズ直子さんの研修会に参加してたくさんのことを学びました。1週間や2週間、長くて3ヶ月オランダに来て学ぶという研修会なのですが、その短い期間では本当に深いところは分からないんだろうなと僕は思っていて、だから実際に住みたいと思いました。教育というものを下支えしているオランダの国民性であるとか文化であるとかそういう社会そのものを肌で感じたいなと。小さい子どもを持っている僕が家族と一緒に生活者として行くということがオランダの教育に対する理解をより強くするだろうというイメージだったんです。生活者としての経験、働く経験、親としての経験を積んで、数週間・数ヶ月では分からない部分を学びたいという思いが強かったです。
オランダで生まれた有(ある)くん 出産を含め、生活者や親としての経験を実際に積むことができた
社会科教員としてもオランダの社会に興味を持ったという平山さんがまずオランダで感じたのはオランダ人の「まなざし」でした。きっかけは、娘さんがスーパーのレジで駄々をこねたこと。そのとき何が起こった!?
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#2 オランダで学んだこと① オランダ人の「まなざし」
#3 オランダで学んだこと② オランダ人が「育むもの」
#4 オランダで学んだこと③ オランダ人の「楽しむ力」
#5 コーヒーブレイク オランダの哲学 ー目的合理主義ー
#6 イエナプランを一緒に探究して、もっともっと学びを好きになりたい
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