大言壮語のドン・キホーテ、吠える! ―カミール・パーリア『セックス、アート、アメリカンカルチャー』―
ある日本人女優さんがいる。この美人女優某氏にはなぜか「レズビアン疑惑」なる噂があった。しかし、彼女は少なくとも二人の男性有名人との不倫疑惑があった。実際の某氏の性的指向は本人にしか分からないだろうが、ここで私は邪推する。
女優某氏の「レズビアン疑惑」とはズバリ、「同性いじめ」の過去を隠蔽するために、彼女の所属事務所がデマを自作自演して広めたのではなかろうか? 芸能界には他にも、同性いじめ疑惑のある女性芸能人は何人もいるよね。もちろん、具体的な名前はあえて挙げないけどね。
さらに、あるフェミニズム系福祉団体がある。この団体には主に経済的な意味での様々なデマが広まっている。さすがにそれらは多分、十中八九ガセネタだろうが、団体の代表である女性の「ある疑惑」が問題である。
ズバリ、彼女の過去に「元いじめっ子」並びに「同性いじめ」疑惑があるらしいのだ。ある人曰く「団体にまつわる疑惑については必死で否定しているが、自らの過去のいじめ疑惑についてはダンマリを決め込んでいる。団体の濡れ衣に対しては必死で否定しているのに対して、自分自身の秘密に対しては何も言わない辺りからして、かえって当人の元いじめっ子疑惑は事実だった可能性が高い」。
もちろん、彼女の「元いじめっ子」並びに「同性いじめ」疑惑が全くのガセネタである可能性はある。しかし、元いじめられっ子よりも元いじめっ子の方がうまく世渡りが出来て出世出来る可能性が高い(だからこそ、元いじめられっ子や元ヤンキーの出世談は「稀に見る例」として話題になるのだ)。それに、いわゆる「女の敵は女」という言葉を必死で否定している「自称フェミニスト」はむしろ、同性いじめの過去を否定しているか、すっかり忘れているかのいずれかである可能性があるのだ。もちろん、全てのフェミニストに当てはまるような事態ではないが、いわゆる「ビジネスフェミニスト」の主張に対しては眉に唾をつけるべきだろう。
アメリカの社会学者である「異色のフェミニスト」カミール・パーリア氏のエッセイ集『セックス、アート、アメリカンカルチャー』(河出書房新社)は、良くも悪くも威勢が良い本である。自らの偏見を芸術の域にまで高めるのは、日本の小説家姫野カオルコ氏のエッセイ集にもある傾向だが、パーリア氏は姫野氏以上の「剛腕」である。若い頃の私はバーバラ・ウォーカー氏の大著『神話・伝承事典』(大修館書店)の悪影響を受けて、必要以上に男性嫌悪に取り憑かれていたが、パーリア氏のこの本によって軌道修正出来た。
《歴史上、残虐行為は次から次へと起こってきたのです。同時に、女を守ってきたのも男です。男は女に日々の糧を与えてきました。男は女を養ってきました。男は女のかわりに国を守って死にました。過去をふりかえって、男が女のためにしてきたことを正当に評価しなければいけません》(『セックス、アート、アメリカンカルチャー』372ページより引用)
そんな男性たちの身代わりが務まるような女性は、一般人にはほとんどいない。フィクションの中の「強い女」たち、例えば『ファイブスター物語』の女性騎士たちや『ウマ娘』シリーズのウマ娘たち(と、ゲームのプレイヤーの分身としての女性トレーナーなどの一部の一般人女性たち)くらいの能力を持つ「スーパーウーマン」の集団でなければ、一時期ツイッター界で話題になった「女性だけの街」の建設や運営は成り立たないだろう。FSSの女性騎士たちや、ウマ娘たちは「強者女性」の隠喩である。
パーリア氏はかなりの自信家であり、大言壮語をする人である。しかし、そんな彼女には弱点がある。ズバリ、ブロンド美女に対する嫉妬心や劣等感である。パーリア氏はバイセクシュアルを公言したが、世間一般の異性愛女性たちの(外見的にも性的にも優位に立つ)同性に対する嫉妬心や劣等感に対して「他者化」している。しかし、当人は今世紀に入ってから、歌手のテイラー・スウィフト氏に対して「ナチスのバービー人形(!)」などと誹謗中傷して、ユダヤ人団体からも批判された。スウィフト氏は、パーリア氏が大嫌いな「ブロンド美女」である。
要するに、パーリア氏は日本人女性にもたまにいる「私の性格は男だから」などと妄言を吐いて他の女性たちに対する優越感を得ようとするシスジェンダー女性と似たような性質を持っているのだ。ズバリ、トランスジェンダー女性には「私の性格は男だから」などと妄言を吐く余裕はない。さもなくば、自称フェミニストのトランスヘイターたちに足元をすくわれてしまう。
とりあえず、まあ。略して、とりま。この本はあくまでも、話半分の読み物として楽しんで読めば良い。この本はあくまでも、カミール・パーリア氏という一個人の独断と偏見のコレクションであり、その「コレクション」を鑑賞して楽しめば良い。それと同じ事は、同氏の西洋文化論集『性のペルソナ』(河出書房新社)にも言える。
【Madonna - Into The Groove】