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ディープインパクトとオルフェーヴルの不定期万冊 第23回 戸梶圭太『燃えよ!刑務所』

 オルフェーヴル「中山美穂さんといい、こちらといい、ネタに出来ませんよ」

高杉晋作「相変わらずえげつないな、オルフェ」

 オルフェーヴル「高杉さん、ディープ先輩。ええもんありまっせ」
 高杉晋作「何だこの本は?」
 ディープインパクト「戸梶圭太さんの小説『燃えよ!刑務所』(双葉文庫)? 表紙の時点でギラギラしてるね」
 オルフェ「やはり、俺には宮城谷昌光さんよりも戸梶圭太さんの作風の方が合ってますよ」
 高杉「確かにな」
 ディープ「そうだね」
 オルフェ「否定しないんですか?」
 高杉「そもそも、明智紫苑の『AIのべりすと怪文書』シリーズ自体が戸梶圭太の影響が強いだろ? 指定暴力団チンチン組の組長珍田珍太郎なんて、この小説の主人公花菱城一郎みたいな男じゃないか」
 オルフェ「…確かに」
 ディープ「それにしても、刑務所の民間経営だなんてすごいアイディアですね」
 高杉「まるで、マーク・トウェインの『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』のパロディーだな」
 オルフェ「トウェインさんのあの小説は、表向きはトマス・マロリーさんの『アーサー王の死』のパロディーですが、本質的にはむしろゲーテ先生の『ファウスト』第二部のパロディーだと思います」
 高杉「そういえば、カミール・パーリアはマーク・トウェインのアンチなんだな」
 ディープ「しかし、明智紫苑さんが初めて読んだトウェインさんの小説は『トム・ソーヤーの冒険』でもなければ『ハックルベリー・フィン』でもなく、『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』なんですね」
 高杉「しかも、初めて読んだ野坂昭如作品は『火垂るの墓』ではなく『エロ事師たち』だったのだな」
 オルフェ「紫苑は迷走してますね」
 高杉「お前が言うな」
 オルフェ「うぐぅ…」
 ディープ「主人公の花菱さんは『どいつもこいつも塩野七生を読んでるしな』と言っていますけど、戸梶さんは塩野さんに対して否定的なのでしょうか?」
 オルフェ「暗に、司馬遼太郎さんのファンの方々に対しても否定的なんでしょうね」
 高杉「坂本龍馬殿は司馬さんによって偶像化されたからなぁ」
 オルフェ「司馬さんや塩野さんはさておき、俺、この小説の終盤に出てくる『一本足野郎』の皆さんが気に入りました。んびー、んびー!」
 ディープ「ああ、いかにも君好みのネタだね」
 オルフェ「先輩、それは一体どういう意味ですか?」

【マキシマム ザ ホルモン - 予襲復讐】

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