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『ベイビーわるきゅーれエブリデイ!』が始まるので、花束みたいな恋をした

今となってはすっかり『水曜日のダウタウン』でイジられキャラと化した布袋寅泰氏。氏が『スリル』を演奏すると笑いが起きてしまうのだとか。
なぜか? お笑い芸人の江頭2:50氏が登場楽曲として使用しているから。
これは最初に使用したフジテレビ関係者の罪だ、罪。
 
さてさて、阪元裕吾監督・脚本の映画『ベイビーわるきゅーれ』。第二弾の『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』。そして第三弾の『ベイビーわるきゅーれエブリデイ!』が9月からテレビ東京系列の深夜ドラマ枠「水ドラ25」にて放送されるということで、Netflixで『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』を視聴。
さすが連ドラになることもあって、第一弾も第二弾も面白い。第三弾にも期待、期待。

メガホンを取ったのは、脚本家の坂元裕二氏にやたらと名前が似ている阪元裕吾氏。『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』内で、やたらと坂元裕二脚本『花束みたいな恋をした』をイジっていたので、遅ればせながらアマプラで視聴。
なぜ大ヒット作を今まで観ていなかったかと言うと、フリーアナウンサーの赤江珠緒氏が「若者の恋愛を見てて恥ずかしくなって、ちょっと……(大意)」的なことをおっしゃっていたから。
ちなみに赤江氏は、『花束みたいな恋をした』内の会話に登場する『菊地成孔の粋な夜電波』に出演したことがある。さらに赤江氏の番組には、『花束みたいな恋をした』内に映り込む小説の作者、長嶋有氏がレギュラー出演をしていた。ただし、ブルボン小林名義で出演。
て言うか、あの本棚、劇中であんまりいい使われ方はしていない。

『花束みたいな恋をした』はかなりキュンキュンさせようとしているし、かなり泣かせようとしているし、かなり多角的な批評的目線で見させようとしている。だからこそ、著名人たちは語らずにいられないのだろう。
とくに、ラップグループのMC宇多丸氏は語る語る、まあ語る。『花束みたいな恋をした』のウィキペディアを引くと、宇多丸氏の論評がほとんどを占めているち言っても過言ではない。いや、過言だ。
ところが、『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』、『花束みたいな恋をした』という順番で観ると、後者がコメディ化してしまうのだ。あんなに評論家を唸らせた作品を瞬間的にコメディ化させてしまったのだ。なぜなら前者が後者をイジり倒してるから。
私は『花束みたいな恋をした』を観て、冒頭から大爆笑だった。コンバースのジャックパーセルが出てきた時点で大爆笑だった。

これは罪だ、罪。
『ベイビーわるきゅーれ』の二人の女の子、って言うか殺し屋は、恋愛とは無関係の生活を送っていることを表現したいのだろうけど、やはり罪だ。

『花束みたいな恋をした』を視聴した後、再度『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』でのイジりを確認したくなって、何度も見てしまった。
渡辺哲が出た瞬間に笑ってしまう。ゼルダ、パズドラ、ジャックパーセル、『溺れるナイフ』のときのビジュ爆発、紅白のときのメゾン・マルジェラ、天竺鼠、そして……

「じゃあ、結婚しようよ! 結婚しよ! 俺、頑張って稼ぐからさぁ」
「それってプロポーズ? 今プロポーズしてくれたの? 何か、思ってのと違ったなぁ」

このやり取りは、『花束みたいな恋をした』を観ていないと「?」なんだけど、その後『花束みたいな恋をした』を見ると、腹がちぎれるほど面白い。
リスペクトがあるのかないのかさっぱり分からないパロディと言うかオマージュが、これほど笑えるとは。
輪をかけて面白いことに、最近、マルキストの斎藤幸平氏がメゾン・マルジェラの服を着て話題になっているというところ。

ただ、ちょっとだけ文句を言わせてもらうと、『花束みたいな恋をした』で有村架純氏演じる絹がイベント制作会社に転職する。その会社のモットーは「遊びを仕事に、仕事を遊びに」らしいが、イベント制作会社はそんなに甘くはない。むしろブラックなので、あしからず。

最後に付け加えたい。
ウィキペディアには『花束みたいな恋をした』に対する様々な論評が出て来る。その中で、主人公の二人は「サブカルチャー嗜好する」らしいが、映画や演劇や漫画や音楽やラジオ番組やゲームはサブカルではないだろう。そうだとしたら、大体の人はサブカル傾向が強いことになってしまう。
はっきり言って、押井守を知っている程度で特権意識を持ってるだけ。つまり、「彼らがサブカルだと思っている物は、他者と話が合わないといった彼らの生きづらさと同時に、彼らの特権意識や選民意識」を表現したのであって、しかもそれが「わりかし誰でも知っているペラペラなもの」、つまりミーハーという皮肉なんだねえ……多分。だからちょっと上の方で、『あの本棚、あんまりいい使われ方はしていない』と書いたわけ。
ストーリー的には、麦の現実が絹の理想を飲み込んでゆくけど、ファミレスという最終対決現場で絹の理想が麦の現実に打ち勝つ……と思いきや、かつての自分たちのようなカップルがやって来て、絹は「理想=ペラペラな過去」を突きつけられて、麦が勝つんだね。麦はあの頃に戻れないから泣くし、絹はあの頃のペラペラさに気づいたから泣くし。いやあ、すげー適当な解釈しちゃった、あは!
まあ、あれだね、嫌いになって別れるカップルって少数だよね。

つか、サブカルというのはもっと、みうらじゅん氏的な、根本敬氏的な、川勝正幸氏的なものじゃないだろうか? 今やどんどん変遷して、地下アイドルやプロレスを嗜好するオタクを言うんじゃないだろうか? 知らんけど。

てかこれ、『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』の話なんだけどね!

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