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2880時間もの時間をかける1on1- 問題と素晴らしさ

私がこれまでに1on1ミーティングにかけた時間とその結果を比べることはとても心苦しいです。なぜならインプットとそのリターンが等しくならないからです。

リクルーティングビジネスにおいて、1on1というのは販売型組織を成長させるために大変役立ちます。1on1を始めてから15年余りになりますが、1on1にかけた時間とそれに伴う生産性の結果が比率としては釣り合わないと感じるのです。

単純計算すると、

15年×48週×週1の1on1 ×平均4人のメンバー×60分
= 172,800分 または2880時間。

控えめな計算をしても、これはとてつもなく長い時間です。直属の部下を18人も抱えていた時期もあり、また多くの1on1は予定よりも長引いたこともよくありました。ジュニアな部下がいた場合は週2回のペースで行っていたこともあります。

1on1は時間の無駄?


果たしてそれほどの時間をかける価値があったでしょうか?

1on1に代わる方法はないと思いますが、何百時間もかけた割にはほんのわずかのパフォーマンス向上だったり、従業員のエンゲージメントの多少の改善といった成果しかみられませんでした。もちろん方向性や業務内容を明確にしたり、状況確認や指導をすること、タイムリーなフィードバックをしたり責任を持たせること等、全てにおいてプラスの効果はありました。

しかし、マンツーマン形式でなかった場合と比べ、チームや組織の目標達成に繋がるためのより継続的なパフォーマンスには繋がることはなく、メンバーに対する配慮がある程度分かる程度で、より長期的にメンバーを保持することにはできなかった気がするのです。

なぜこのようにマンツーマン形式とパフォーマンスとの相関関係が弱かったのでしょうか。

それは私が個人のモチべーターを把握しきれていなかったからです。いかに自分が優れたマネージャーだと思っていても、どれほどチームメンバーを気にかけていたとしても、彼らの内発的動機を理解していなければ彼らの価値観も分からず最大限に活かすこともできません。

私自身の内発的なモチベーションを元にやる気づけようとしましたが、何年も指導してきたメンバーの一部しか共通するモチベーターを持っていませんでした。残りの部下は皆異なるモチベーターを持っており、彼らの納得いくような充実した環境を作れずにいたのです。

何が人を動機づけるのでしょうか?


通常、12〜18ヶ月ほど試行錯誤してやっと、部下が何にモチベーションを見出すかを理解できます。

しかしその頃までには既に多くのメンバーが退職してしまいます。18ヶ月ももたないメンバーもかなりいます。その18ヶ月というのも比較的単純なモチベーター、例えば「必須」項目が1つか2つしかない人の場合です。

一方、「必須」項目が多い複雑なモチべーターを持つ人は、的確なマネジメントの方法を探し出すのに時間がかかってしまい、時には最後まで気づけない人もいました。

ケース1

何年か前に私の元で働いていた一人の女性がとても印象的でした。その頃Attunedはまだ存在していませんでしたが、彼女のモチベータープロフィールはこのような感じでした。 

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競争性の低いモチベータープロフィール

彼女はやる気十分に入社し、仕事に励みました。しかし1on1では、競争的なアプローチを通して彼女のパフォーマンスを向上させようとしていました。「今週よりも高いKPIにチャレンジしよう」「先週も良かったが、君ならもっとできるはずだ。やってみよう」「新入社員のKPI最高記録更新に挑戦するのはどうだろう?」など。

このような競争性を重要視することが私のモチベーターであったため、それが私にとって自然なアプローチだったのです。

直面する困難

そして間も無く壁にぶつかります。

彼女のパフォーマンスが上がらなくなったのです。彼女自身努力し、仕事やチームに貢献したい意欲もあったにも関わらず、成果は最低ラインでしかありませんでした。決意はあったものの、それを彼女から引き出すことができませんでした。

違うアプローチも試みましたが、彼女のベストなパフォーマンスを引き出せるようなインセンティブや環境を提供することができませんでした。1on1 の負のスパイラルにはまってしまいました。彼女が在籍した18ヶ月の間、週一の1on1を続けました。彼女の全体的なパフォーマンスは「可もなく不可もなし」だったが、チームの成長にはさほど貢献できておらず、彼女に投資した時間や費用分のリターンはなかった。ナンセンスであった。

では採用するべきではなかったのでしょうか?彼女の本当のモチベーターを、採用前に知っていたらあるいはそうかも知れません。それなら早いうちに解雇すれば良かったか。いや、働き者で、頼れる、良い心を持った信頼できる人であったことは間違いなかったのです。しかし1on1に費やした70時間以上の時間は、違う形で有効活用できたかもしれないのは確かです。彼女自身も私と同じくらいのもどかしさを感じていたことでしょう。

ケース2

次に紹介するケースは非常にモチベーションの高い男性です。彼のモチベーションプロフィールはこのようなものでした

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地位

彼は常に好成績を納め、とても熱心に仕事に取り組む人でしたが、何をやる気の源にしていたかさっぱりわかりませんでした。彼との1on1で彼の幾つかのモチベーターに触れることは出来たはずですが、私にとってはさほど重要でなかったモチベーターに関しては、長い間ほとんど掴めていなかったと思います。

異なる言語でのコミュニケーション

ここでも、彼と働いた数年のうち1on1に費やした150時間余りは、不必要または非効率的でした。彼が重要視していることに注意を払わず、共通の言語でのコミュニケーションがとれていなかったのです。

私は人材紹介ビジネスの中で成長しそれを愛するようになりましたが、長続きしない人達も多く採用してきました。直属の部下全員と1on1を通して長い時間を過ごした人達もいます。多くの時間が無駄となりました。

解決策


私は仕事の全ての時間を有効活用しようとは思っていません。良い案や実りある会話というのは、生産性を上げる努力の合間に生まれるものです。

しかし15年のうちの2880時間あまりを費やした1on1の半分も効果はなかったように感じます。これは私の人生の24時間x60日に値し、2ヶ月間ただ、あまり成果のない1on1をやり続けたこととなり、実に気が失せます。

私たちは別のいい方法を模索しました。

あまり効果的ではない1on1に対するもどかしさやそれにかけた時間が、Attunedの誕生するきっかけとなりました。今はAttunedでチームの内発的動機が即座にわかるようになりました。彼らと同じ言語で話ができるのです。彼らのニーズに自分のスタイルを合わせ、彼らにとって意義ある、結果に繋がるインセンティブシステムを作ることができます。

このようなツールが私のキャリアの遅くに登場したのは残念ではありますが、今でも毎週の1on1は行っています。以前とは違い、互いに効率よく密の濃い時間を使えており、これまでになく会社の中心メンバーが同じ方向に向かい、向上心高く取り組んでいます。とても素晴らしいことです!

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Attuned
https://www.attuned.ai/jp/home/


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