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『ワンシーズン売り切り』の呪縛~ファッション業界に示された一つの道標~

 日経電子版の記事【ワークマン、当たるデータ経営 正確な予測と自動発注】は、新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の成功に関するリポートですが、見方を変えると、慢性的な過剰在庫に苦しみ、大量廃棄の社会課題が問われるファッション業界に一石を投じる内容を含んでいるように思います。



 そもそも、衣料を扱う『アパレル業界』(製造・流通)という言葉が、流行というニュアンスを含んだ『ファッション業界』という言葉とほとんど同義で扱われていること自体が、いかに『アパレル業界』がファッション偏重の『ワンシーズン売り切り』のシステム=呪縛に囚われているかの証です

 この『ワンシーズン売り切り』の呪縛と無縁の「ワークマンプラス」の成功事例は、もしかしたら、昨今の『ファッション業界』の進むべき道を示した道標なのかも知れません。

 さっそく、記事などから「ワークマンプラス」の優位性をピックアップしてみると――

▶「ワークマンプラス」から読み解く優位性

(1)『ニーズ』・・・安全・長持ち・機能性などが要求される作業服の専門
  店が作ったアウトドアウエアの『高機能+安い』という商品特性が、
  見事に顧客のニーズを捉え、アウトドアの現場での実際使いという
  ベネフィットを実現
する。そこには、『流行』などよりもはるかに
  上位の現実的・日常的なニーズが存在する


(2)『ライフサイクル』・・・『ワンシーズン売り切り』という不自然な
  ライフサイクルから解放され、長期的な需要予測が成立
する。当然、
  ライフサイクルの変化から、リニューアルのタイミングも検討できる。

(3)『自動発注』・・・正確な需要予測は、自動発注へと繋がり、省力化と
  より創造的な業務(接客・売場作りなど)への人的リソースの再配置

  可能となる。

(4)『善意型SCM(サプライチェーンマネジメント)』・・・自動発注を
  さらに一歩進めて、取引先に納品数を決定させることで、過剰在庫と
  品切れのリスクを回避(最適化)
することに繋がる。

(5)『テストマーケティング』・・・『流行』に左右されない商品は、
  既存店で販売してみて(テストマーケティング)、売れ筋をセレクト
  して、そのイメージで店舗をデザインした新業態
へと繋げることが
  できる。



 『流行』に囚われない、ユーザーの真のニーズを吸い上げた商品のデザイン、開発は、『ワンシーズン売り切り』の呪縛から解き放たれて、PDCAサイクルの軌道に乗り、自動化・最適化・省力化・持続可能性など、『ファッション業界』以外の産業が享受しつつあるデジタル化とコト消費という車の両輪を獲得することになる、と言えそうです。

 「ワークマンプラス」の示す優位性は、ファッション業界に示された一つの道標なのではないでしょうか。



















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