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Noteはじめました。年始の応急診療所で1日働くと、日本の社会課題が見える


ごった返す年末年始の応急診療所

どの自治体にもあると思うんですが、地域のクリニックや病院が休みの日には、行政が運営している診療所が開かれる。「応急診療所」「休日・夜間診療所」などその自治体に応じて、いろんな呼び方があるかもしれませんね。

年末年始は、どこの医療機関もおやすみなので、例年ごった返す。まさに ❝お祭り状態❞ なのです。昨日は1日、応急診療所の当番でした。もちろん薬剤師として。ぼくの地域では、医師会、薬剤師会に所属している医療者が輪番制の即席メンバーで働いてます。

応急診療所は、MAXでも3診の小さな診療所。季節にもよるけど、平時の受診者数は20~50名、多くても6、70名くらいなんですが、昨日だけで150名を超える方が受診された。それだけ、体調不良でお困りの方がいるということ。

当然ながら、診察待ちはエグイ。これだけごった返すと3~4hrの待ち時間が当たり前待合で横たわる大人エンドレスで泣いてる赤ちゃん…カオスな状態。。。

そんななか、即席メンバーながらも現場の医療者ができることは、とにかく迅速かつミスなく薬と安心を届けること。これに尽きる。

現場の医療者の奮闘と限界

とはいえ、いくらこちら医療者サイドが頑張っても、
「まだですか?」
「なんでこんなに遅いんだよ」
おせーんだよ!早くしろ!!!
と患者さんからオコな発言をもらったり、罵声を浴びせられることもある。

内心では、
「そんなこと言わないでよ…今やってんだから。。。」とか
ファッ!?!?!?!」とか
「じゃあ、来んなよ?!」とか
思ってしまうことは正直ある。だって人間だもの。

そして、患者さんサイドも限界はあり、耐えかねて途中で帰っちゃう方は少なからずいらっしゃる。申し訳なさを感じながらも、今、待っている患者さんのために、仕方ないと割り切って淡々と仕事をするしかない。

患者さんからの言葉に対して、ムカッとすることはある。とはいえ、❝ツラくて感情のコントロールすらままならないんだな…❞と我に立ち返り、「ごめんなさいね、もう少々お待ちください」と優しく一言つたえる。

医療サイドの仕事は、
医療事務:鳴りやまない電話の対応、医師が記載したカルテの情報を入力、
     会計、書類管理などバックオフィス
医 師:ひたすら診察&検査
看護師:受付、診察・検査補助、患者さんの誘導
薬剤師:薬の調剤&説明、医薬品在庫管理、電話相談対応
こんな感じです。

当り前のことを当たり前にやるだけなんですが、なんせ❝アナログが多い
効率わるい!!!デジタル、カモーーーンッ!!!!」と叫びたくなる。
みんな頑張ってるんだけど、いくらやっても追いつかない…

燃え尽きたぜ真っ白にな。

終わってみれば灰

受け入れキャパの足りなさ

もちろんデジタル化したところで、医療者サイドの受け入れキャパには限界はあるだろうけどね。少なくとももっと効率は高まると思う。年末年始の応急診療所に入るとめちゃくちゃと感じるよ。ホント。。。

医療者を増やせば良いのかというと、そう単純な話ではないような気もする。箱(診療所)に収まらないからね。ハード面ですでにアッパーが決まってる。

結局のところ、ぼくの地域にある応急診療所は、年末年始については関しては ❝1か所では足らない❞ ということだろう。

せめてもう1か所は診てくれる診療所があったら良いんじゃないかな。施設を建設するのではなく、既存のクリニックや診療所に応援を求めるとか、検査だけできる仮設診療所を一時的に開いてオンライン診療をするとか工夫はいろいろありそう。

診察を希望される患者さんは、ごった返している状況なんてわからず、「助けて」「怖い」「不安」という想いを胸に受診される。

少しでもこの不の感情を取り除いてあげられる体制ができたら良いなって感じる。

応急診療所で感じるこれからの日本の社会課題

年末年始の応急診療所で起こったこの ❝ごった返しの状況❞ ってね、これからの超少子高齢・多死社会においても同じことが言えると思うわけです。

日本は、超高齢化に関して世界のなかでもぶっちぎっています。
支える人口が減る中で、支えなければならない人口は爆増する
この状況は待ったなしです。必然です。

高齢化が進むほどに、病気の方は増え、それに対して医療は提供される。正直、生活習慣病に関連する「肥満」「高血圧症」「脂質異常症」「ダイアベティス(糖尿病)」「不眠症」などは薬をなくすことができる病気。てか、薬じゃ病気は治りません。治すのは自分のからだですからね。

脱線気味だけど、
ぼくは、医療を取り巻く社会課題に対して大切だと考えていることがいくつかある。

  1. 予防・健康づくりの推進
    ・支えなければならない人の人口を減らす!
    ・みんな元気で生涯を終えて欲しい!目指せピンピンコロリ!
    ・国民のヘルスリテラシー向上!

  2. 医療DXの推進
    ・健康を支える人&支えなければならない人のサポート!
     (予約システム導入、電子カルテ導入、デジタル化)
    ・オンライン診療どんどんやろうよ!

  3. 抜本的な国民皆保険制度・報酬の改定
    ・世界的にみても優れてるけど、ヘルスリテラシー下げてるのは間違いない。基準を定めて欲しい。フリーアクセスは良いけど、高所得者からはちゃんとお金取ろうよ。あと、大変言いづらいけど、、、些細な症状だけなのに、何でもかんでも病院へ来ないで欲しい。まずは自宅で安静にするなり、市販薬つかうなり、何でもかんでも病院という感覚は本当に良くない…発熱もなく、鼻水でたから来ましたはちょっと。。。(もちろん基礎疾患あるなら別ですが)
    ・安い医療費の影響で、医療者の給与は少ない。使命感だけでは食っていけない!!病院で働く医療者が疲弊してバーンアウトしてるから!!

  4. へき地医療への医療サービス拡充
    ・オンライン診療とモビリティを活用した医療支援。東京一極集中はこれからも加速するだろうし、日本のほとんどの地域に、医療が届かない地域が増えるよ。どんどん加速する。こんな状況を解決するために、ぼくも動き始めているけど、一人じゃできない。誰か一緒にやろうよ!!!(別途、note執筆予定)

と、考えていることはいろいろあるけど、身体は一つしかないわけで、人生のなかでできることは限られている。

年始の応急診療所の仕事から、普段考えていたこれからの日本の社会課題について考えさせられるとは思わなかったけど、現実的に起こり得る。2024年も張りきっていきましょう。

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