5月14日 愛知県名古屋市 世界フェアトレードデーリポート
フェアトレードは『公平・公正な貿易』
5月14日、愛知県名古屋市中区丸の内(ヒサヤオオドオリパーク)でフェアトレードデーが開催されました。イベントレポートいたします。
認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンの調査によると、2020年のフェアトレード認証製品推定市場規模は131.3億円(前年比約106%)。ドイツの市場規模と比較すると約18分の1。日本人一人当たりの年間購入額は104円で、スイスと比較すると100分の1以下だそうです。
フェアトレードデーの開幕の挨拶は、世界フェアトレード・デー・なごや実行委員会会長の鈴木日奈子さん。
「フェアトレードを訳すと『公平・公正な貿易』。 あらゆる人と人、国と国が原料や製品を適正な価格で継続的に購入、貿易をすることで、生産者の持続可能な生活と自立を応援する仕組み/理念です。買い物は投票行為と同じで、日常の買い物が社会を変えていく原動力です。今年のイベントでも、全てのお店で決済にフェアトレードコインが利用できるようになっています」(鈴木さん)
イベント開始直前まで曇り空でしたが、開始と同時に会場は晴天に。
会場には音楽家もいて、ギターとアコーディオン演奏で舞踏音楽が楽しめました。
会場には、フェアトレードをしている加盟店が多く所属するフェアトレードコイン、コミュニティマネジャーの中島さんもいらしゃって、会場を案内してもらいました。実際にフェアトレードコインで購入した商品を紹介しながら、店舗と商品をいくつか紹介します。
ファーマーズパッション
まずはファーマーズパッションさん。
気になった商品は『コーラ』でした。コーラといえば、赤と白のロゴに、爽やかのコピーが思いつきますが、コーラという概念は、130年ほど前のアメリカ禁酒法の時代に誕生し、お酒の代わりに飲める清涼飲料水として売られていたもの全般です。
コカコーラ、ペプシコーラなどの大手企業は独自ブレンドで発売をしていますが、小規模工房にてクラフトビールのように、こだわりの原料や製法で作られるクラフトコーラが最近は脚光を浴びています。
『FARMERS PASSION コーラベース』は、コーヒー栽培に使うスパイスも利用して、きび糖、ジュナール(オレンジ)、ジンジャー、ライム、はちみつ、シナモン、ブラックカルダモン、シナモンリーフ、トゥルシー、レモングラス、ティムール、ステビア、そしてコーヒーチェリーの皮、コーヒーピールなどが入った森を丸ごと感じる一品となっております。
見てください。このボトルに沈殿したハーブの存在感を!
会場ではおすすめの飲み方、炭酸4倍希釈で試飲させてもらいました。コーラの概念を覆せます。ハイボール、ジンソーダ、ホットワインなどに加えても美味しいと思われます。農園の個性を感じられるクラフトコーラの世界を知るキッカケになりました。
こちらはオンラインでも買える『FARMERS PASSION コーラベース』のECサイトです。
喫茶ニューポピー
続いて、『喫茶ニューポピー』。会場では東ティモール、ミャンマー、ホンジュラスなどの豆をいただくことができました。
そしてボトルとラベルのデザインが秀逸のリキッドアイス珈琲。こちらは迷わずに購入しました。
喫茶ニューポピーはフェアトレードコインの加盟店でもあります。次の日に本店(名古屋市西区の「円頓寺商店街」近く)にお邪魔してきました。
ロゴやフォントがとても美しいのです。そして、頼んだのは。ジャーン。
『サンデーモーニング』。ラム、バナナスムージー、アイスコーヒーの組み合わせです。メニューの名前はニューヨークのアートロックバンド、ベルヴェットアンダーグラウンドの曲名からとったものでしょう。
ニューポピーに公式投稿にこんな記事が。
そうバナナはあのジャケットのことですね。公式Youtubeがあったので、聞いたことがない方はぜひどうぞ。
中島さんから、ブレンドコーヒーについてお話を伺うことができました。
「『とりあえずブレンド』って頼み方しちゃいますよね。あまり意識せずにブレンドコーヒーを頼んでいる人も多いかと思いますが、ブレンドコーヒは、そのお店の看板なんですよ。豆の炒り方、組み合わせ、比率など配合パターンでお店の個性が出ます。喫茶ニューポピーでは深煎り気味の「ポピーブレンド」と、浅煎り気味の「ニューポピーブレンド」の2種類を選ぶことができます」(中島さん)
一般的には、深煎りは苦味傾向が強くなり、浅煎りは酸味傾向が強くなります。最近、また飲まれるようになってきた浅煎りは、豆の持っている香味特性が強く出ます。最近はフルーティーな風味がでる浅煎りコーヒーの人気も戻ってきているようです。
クラタペッパー
続いて、完熟胡椒のクラタペッパーさん。
クラタペッパーのオーナー倉田さんは、カンボジアの農家に先祖代々伝わる自然農薬・伝統農法を受け継ぎ、1997年よりカルダモン山脈の麓で現地の人々とともに栽培を開始。
イベントでも特に目を引いたのが、赤みが残る完熟胡椒。胡椒はブドウのように房になりますが、一房全ての実が熟すまで置くと木が枯れてしまうため、一房から数粒だけしか完熟の実は収穫できない。それを天日干しでさらに甘みを凝縮して仕上げる。
粗挽きで挽いてみると、香木『伽羅(きゃら)』の様な芳(かぐわ)しさ、レーズンの様なフルーティーな香りが漂ってきます。
中世から、1960年代まで「 世界一おいしい 」と言われていたカンボジアの胡椒。しかし、内戦により生産量は激減。内戦の終結後1990年代の後半から栽培農家がぽつぽつと戻り始め、いま再生の時のようです。
一緒に購入したクラタペッパーのレシピ本を見ると、なんとアイスクリームやチョコレートケーキに振りかけて食べると美味しいと書かれているではないか。後日、新宿御苑にあるガトーショコラ専門店ケンズカフェのガトーショコラとマリアージュしてみました。
ほほほ
続いて、株式会社大醐(だいご)が運営する「ほほほ」さん。「ほほほ」はフェアトレード・コインの加盟店でもあります。
株式会社大醐は、1981年にアパレルメーカーとして創業。ステテコや靴下など、あまり目が向けられない日用品にデザイン性や良質な素材を取り入れてきたそうです。
大醐が大事にしてきたことは三つ。
会場で気になったのはタイのバンコク発の『アップサイクルバッグ』。
外側の生地は生地はセメント袋をビニールハウスなどの素材で防水コーティング、バッグの中はナイロン。イベントの帰りに、コーヒーのボトルなど数本いれて帰りましたが、ぜんぜんヘタレないしめちゃくちゃ丈夫です。ノートPCやiPadも問題なく入ります。
当日は「ほほほ」のイベント店舗にもいた後藤裕一さんは、業界No.1になる一番の方法は、マーケット(市場)自体をつくりだすことだと語っています。2010年には、下着としてしか考えられていなかったステテコを快適なルームウエアとして企画、提案し、ステテコブームを牽引。現在も夏のステテコ利用者は多く、ファンを獲得しました。そして、大醐は世界に視野を広げ、フェアトレード商品の開発始めていると捉えられます。
こちらは後藤さんのインタビュー動画です。
他の店舗も写真で紹介
もちろん、他にも、たくさんの出店があって、すべてを周るには大変でした。いつくか写真で紹介します。
コミュニティマネジャー中島さんからのコメント
今回のイベントは全体を通していかがでしたか?
「前回までは会場が名城公園でしたが、今回はヒサヤオオドオリパーク。会場がコンパクトになった分、参加者がすべての店舗を周りやすかったようです。ワークショップブースは同じエリアに設置しましたので、まとめて体験ができて良かったという声も多かったです。今回の入場者は約2000人程度。会場の広さと入場者数を比較するとちょうどいい感じの空間になっていたと思います。来年はコロナ禍がもう少し落ち着くと思いますので、また違った展開になると思います。今回は会場を手伝ってくれたボランディアの方、約50人の方たちに、500FTCづつ配布しました。また、コーヒー飲み比べチケットを買った人で、学生の人は200FTCバックする仕組みも導入しました。これによってアプリを新規で導入してくださった方も増えました。まずアプリを入れてもらうことが大切ですね。そして、コロナ禍次第とはなりますが、秋には、名古屋市役所を開放して『フェアトレード・コーヒー・ガーデン in名古屋市役所』を開催予定です。こちらも決まりましたら、お知らせいたします」(中島さん)
一日だけでしたが、フェアトレードの世界を少し覗くことができました。各店舗の方たちは、カンボジア、ネパール、アフリカなど、現地に行って、生産者の方たちと、コミュニケーションをとって、流通のところまで、マネジメントしています。小規模でも繋がりをもてば、できることが増えて、『顔の見える関係』を世界中に広げることができます。
フェアトレードが日常になっている人は、すでに多く存在していることを確かめることができました。
フェアトレードコインも使える『共感コミュニティ通貨プラットフォームeumo』はこちらからインストールできます。アプリをインストールしていただければ、ECで買い物ができる店舗も検索可能です。使ってみたい方がいたら私(石塚)まで連絡いただければ、インストール方法や使い方を説明します。私はeumoでアプリの設計などを担当しております。
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