定年後の夫の育て方(3)キャベツスライスから始めよう・・・・「え、本当に働かないの?」
定年後の夫の育て方、第3回です。
以前の話はこちら
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きっかけはブロッコリー
あつこの怒りの気配を感じた翌日のこと。
理科系夫、
たまたま長女のはるちゃんとスーパーマーケットで買い物をした。
はるちゃん「これ、ゆでるとおいしいから、また買おう」
ブロッコリをかごに入れた。
理科系夫(おいしいのか・・・)
まねをしてブロッコリをかごに入れた。
家に帰って、ネットでゆで方を調べた。
キャベツスライスに挑戦
こうして、ブロッコリーは、良い加減に茹で上がった。
理科系夫、そこで再び考える。
朝ごはんに欠かせないもの。
それはサラダという名のキャベツスライス。
健康が気になるお年頃なのだ。
キャベツスライスはあらかじめたくさん作って
大きなジップロックに入れて冷蔵庫に。
ミニトマトは野菜室に入ってる。
シンプルなサラダだ。
キャベツスライスをたくさん作るのは結構時間がかかる。
そこに挑戦した理科系夫。
スライサーの力加減が強くて力任せなので、
キャベツの1本1本があつこがやるものよりも太かった。
スピナーで水分を飛ばすと、細かいキャベツのかけらがいろんなところにくっついてしまって、回収するのが大変だった。
そんなこんなだったが、挑戦を続けた。
スライスといえども、ある程度のコツが必要だと
学んだ理科系夫なのである。
キャベツスライスをしてもらうようになったので、その部分は楽になったあつこ。
だけど、相変わらず不機嫌なままであった。
その理由は…。
フルタイムに気を使う
あつこは久しぶりのフルタイムで疲れていた。
パソコンや事務処理は嫌いではない。
しかし知識は日進月歩でブラッシュアップが欠かせない。
また年齢のせいか、単純ミスが連発。
情けなかった。過去のバリキャリだったわたしはどこ行った。
ひとつひとつ、よりていねいに取り組まなければダメだ。
そのほか、年下の派遣仲間との仕事は結構気を使うものだった。
スーパーバイザーとの相性もある。
夕飯も出来合いの惣菜を買って帰っていた。
かえってお金がかさむ結果となり。
何のために働いてるのかよくわからなくなった。
キャベツスライスをしてもらうのはありがたいが、そのありがたさを感じるには疲れすぎていた。(もう少し時給が高かったらやる気になったのだろうが、このご時世、なかなかそこはまでは恵まれない)
以前の週三回程度のパートの感覚を思い出すようになっていた。
今から考えると、お気楽この上なかった。
やはり、家計を支えるだけの収入は大変だ。
あつこがどれだけ逆立ちをして頑張っても、
夫の収入にはまるで届かない。
何も収入がないよりは良い、そういうスタンスで働いている。
まだ働かないの?
夫は退職後1ヵ月半が経ち、夜も十分に寝られているようだ。
本当にこの人、このままずっと働かないつもりなのかしら…?
あつこの親友のご主人たちは、65歳を過ぎても働いている。
ふと周りを見回してみると、主夫がいなかった。
「ゆっくりして」と言ったけれども、
ちょっと経ったらきっとまた働き出すだろうなと思っていた。
でも、1ヵ月半たっても、この人全然働き出す気配がない。
そして、残業が終わって帰った晩のこと、ついに言ってしまった
あつこ「もう働くつもりはないの?」
理科系夫は、こちらはチラリと見てから答えた。
理科系夫「ハローワークの仕事はまぁいいなと思うものもあるんだけど」
あつこ「うん」
理科系夫「そういうものに限って月曜から金曜までの週5回出社だったりする。
もう週5回の働き方はしたくない」
あつこ(…………)
理科系夫「退職して1月半が経ったけれど、おそらくボクはすぐに働くことは無い」
あつこ「・・・・・・・本当に働かないの?」
理科系夫は、戸惑ったような表情でこちらを見返すだけだった。
後で音声配信を貼り付けます。