9月に読んだもの・見たもの
もう10月も下旬になりましたが9月分のコンテンツ月報!
ヘッダー画像がぎちぎちになりました。いいことです!
一覧は目次からどうぞ!
全体通してネタバレはしていないつもりで、どちらかというと読んでいない・見ていない方向けとして書いています。
9月はラノベを一気読みしたおかげで本の冊数的には10冊を超えましたね……。
小説:幸福な王子/オスカー・ワイルド
ヨルシカコラボカバー、読んだのは2冊目!
アイルランド出身の19世紀の作家、オスカー・ワイルドの童話集です。
英文学専攻だったのでオスカー・ワイルドは名前はもちろん知ってる、あとアイルランドに語学留学してたときに「まじめが肝心」の演劇を映画で見るやつを見たことがある、くらいの感じでした。テキストでちゃんと読むのは初めてだったかも。
童話集なんですが、まじで子供向けではないというか、悲しい、救われない、そういう結末が多くて、全体的に本当に暗かった。笑
表題作である「幸福の王子」は、幸福の王子と呼ばれる金箔で覆われた像と、羽休めの場所を求めてそこに辿り着いた、仲間から遅れて南に渡ろうとするツバメが出てくる物語です。
幸福な王子は、幸福な王子だと呼ばれていた頃は街の様子を知らず、像になってから実情を知ったけど像になってしまったからもう動けない。ツバメは王子の頼みを受けて、像の瞳や剣のつかに埋められた宝石を抜き取ったり、体を覆っている金を剥がしたりして、それらを貧しい街の人々に届けます。
ツバメは王子の頼みを引き受けているうちに王子のもとに残ろうと思い、でも寒さに耐えきれず亡くなる、宝石もなくなり金色でもなくなった幸福の王子の像は心ない為政者に笑われ、倒されてしまう。
清い心を持った二人を見ていた天上の神様が、二人を特別な場所に飾ろうと言ったところで終わります。
このね、終わり方が、二人は神様に見守られていた、二人の善性を見ている者がいた、と捉えることもできるけど、神様の意思によってまた自由を奪われる、というように私は読んでしまって、何とも言えない後味でした。
童話の語り口で訥々と悲しい切ない出来事が描かれるの、何だか胸がシクシクしました。でもつまりそれは心揺さぶられる読書体験だったということで、そういう意味で良い本でした。
ヨルシカコラボで読んだ1冊目は『老人と海』で、そちらは自分がいいなと思ったところとヨルシカ楽曲側に抽出されてるエッセンスが結構重なってたのもあって結構原案とした要素がわかりやすかった印象でした。
『幸福の王子』にインスパイアされた楽曲は「左右盲」ですが、こちらは『老人と海』ほどわかりやすく抽出してる感じではなかったかなという印象です。結構昇華して昇華して歌詞に起こされている感じ。
自己犠牲というエッセンスを抽出して、それを「君」と「僕」の関係性として描いたというか。原作の童話では王子は街の人々のために、ツバメは王子のために自己犠牲を払うので、ベクトルというか関係性は明らかに違っています。
でも歌詞が本当に詩的で好きな曲だな〜。結構何度も歌詞だけでも眺めてしまう。
残り2冊持っているのでそちらも早く読みたいな。
専門書?:翻訳教室 はじめの一歩/鴻巣友季子
これジャンルは実用書なのか専門書なのかエッセイなのかすごく分からないんですけど、実用書は日常生活に役立つハウツー、のようなのでちょっと違うかなと思い、エッセイと呼ぶには教える要素が強いのでちょっと違うかなと思い、「専門書?」という記載になりました。
小学6年生の翻訳体験授業をもとに、中高生以上向けとしてその授業の内容を本にまとめたもので、すごく読みやすかったですが読み応えはばっちりでした。言葉というものが好きなあらゆる人におすすめです!
まだ文法を習っていない、学校での英文和訳に触れていない小学生による翻訳は、単語や文脈の断片からどういうことを言ってるのか考えて、さらに自分の言葉であればどう表すか考える、というすごく能動的な読書になっていて、何だか胸が熱くなった……!
「読む」とは、「外国語を学ぶ」とは、「翻訳する」とは、ということを実践を通して教わるような感覚で、これを知れてよかったなあと思いましたし、まさに「はじめの一歩」というタイトルがぴったりでした。
キャリアの選択肢として翻訳を考えて始めているところなので、このタイミングで読めてよかったです。
小説:小暮荘物語/三浦しをん
これは移動中に読みました。
三浦しをんさんの連作短編集なんて絶対面白い。期待に違わず面白かったです。結構積んでたのもったいなかったな。
ぼろアパートが舞台で、登場人物たちはどこか足りていなかったり極端だったりして「普通」じゃないんだけど、でもこれくらいの人って全然いそうだなと思える生々しさ。じゃあどこからが「普通じゃない」んだろうと思わされて、「普通」の枠組みって何だろうと考えさせられる面白さでした。
三浦しをんさんはエッセイも小説も好きで、『きみはポラリス』という色々な恋や愛を描いた短編集が自分にとって特別な作品なんですが、『木暮荘物語』も『きみはポラリス』に見られるような人間の訳分からないほどの多様性だとか、普通とされてるところに妙に理屈っぽく疑問を持った視点もあって、いい小説でした。
小説:そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート/はやみねかおる
旅行中に持っていった1冊目(小暮荘物語)を割と早い段階で読み終わってしまったので、Kindle Unlimitedで何かないか探したら見つけました。懐かし〜!
もう当たり前に面白かったです。児童書だからめちゃくちゃ読みやすいし、どういうトリック、犯人、動機だっけ、とか思い出しながら考えながら読むのめっちゃ楽しかった〜。
もう20代も後半になってるので、今読むと亜依真依美依かわいいな〜って微笑ましく思ったり、そういう新鮮さもありました。
Kindle Unlimitedにはパスワードシリーズも1巻が入ってたので、時間ができたときはそっちも読みたいな。
小説:茉莉花官吏伝シリーズ/石田リンネ
コミカライズされた漫画を追ってたのですが、続きが気になりすぎて原作を読み始めました。原作も読もうと思うに至ったのは宝石商シリーズの辻村七子先生が読んでたのも大きいです。
そして14巻まで出ているので全然完結していると思って読み始めたら実は未完だったという。。。
中華ファンタジーの少女小説?っていうのがジャンルの説明になるのかな。ファンタジー要素は低いんですけど。少女小説っていうのも、女性に限らず色んな人に読んでほしいけど。
一度見たものは全て覚えていられる、という特技を持った平民出身の主人公・茉莉花は後宮の宮女として働いていましたが、その「物覚えの良さ」を推されて女官になり、そこで若き皇帝に能力を見初められて科挙を受けて文官になります。中華版シンデレラストーリー、というのがあらすじに書かれているキャッチですが、全然ゴリゴリに政治とか社会の話をしているのが読み応えがあって好きです。
茉莉花は自分の記憶力に対して「覚えられるだけで上手くできるわけではない」と自己評価が低く、事なかれ主義で目立たないよう生きてきましたが、皇帝に茉莉花なら平民の女の子が自分の能力を信じて官吏を目指せる社会を切り拓いていけるかもしれない、と夢を持たされて、自分の能力を全力で発揮して上を目指そうと能動的になっていきます。
そういう成長物語的な要素が胸アツで……。
冒頭の方で好きな場面は、科挙に受かりたての茉莉花に皇帝が先輩の女性官吏を紹介してくれたところです。
特別な大志がなく官吏になった茉莉花はそのことに対して引け目を持っていたのですが、先輩官吏に官吏を目指した理由を問われて「向いているから、です」と答えた茉莉花に、先輩は「向いているからなのね……!」と目を潤ませます。女性官吏は名家に生まれた勉強が好きな奇特な女が目指すものであってはいけないのよ、と先輩は続けるんですね。
科挙に受かったあと、物語は基本的に⚪︎⚪︎編、といった感じである事件や課題に対して茉莉花が解決策を探す、という流れで進みます。手柄を立てながら夢に近付いていくわけですね。
その解決策の見出し方とかもすごく納得感があって読んでいてずっと楽しいです。
割と説明は多め(読者に考えさせずに説明してくれる感じ)なのでするする読めて、でも内容は濃くて読み応えたっぷりで、本当に色んな人におすすめです。
コミカライズ版は「かわいすぎる男子がお家で待っています」の高瀬わか先生で、表情の描き方が良すぎる……。映えるシーンの映え方が素敵すぎる。
原作は既に15巻を数えていますが、コミカライズは8巻なので、ぜひ漫画からでも!
買った漫画リスト
え、今月は抑えめになったのでは……! と思ったけど先月26冊だったので全然普通でしたね。
7月が38冊、6月が49冊、5月が34冊、4月が27冊、3月が35冊だそうです。2月以前は冊数ちゃんと数えてなかった。まあでもやっぱり20冊台は少ない方みたいです。少なくとも過去半年くらいでは最少ですね。
今回抑えられたのは新刊が多すぎなかったのと、茉莉花官吏伝の原作読んでたからという気がします。時間があると読み物が欲しくなって、小説より漫画の方が手軽で手を伸ばしがち、という自己分析。9月は小説の方で何か読みたい欲を発散していた的な。
ピックアップ:裸足のせいめい/栄太
今月のピックアップは、上下巻の下巻が出た「裸足のせいめい」! めちゃくちゃよかった〜。
恋愛感情を持たないの主人公を中心とした男女4人の恋の話です。高校時代から10年後に集まって遊んでる場面から始まり、高校時代の回想へ。最後にまた10年後に戻ってきて、その10年間で変わったもの、変わらないものが描かれます。
割と作家買いで、この作家さんの「同居人の五杯目」っていうBLシリーズも3巻で完結してるんですけどよかった。絵柄が好きだし空気感が好きです。
誰も誰とも分かり合えない、それでも――みたいな要素を扱ってる作品が好きなんですけど、セクシャリティって絶対に分かり合えない感覚なので、セクシャリティをテーマにしてる作品は高確率で好きかもしれない。
連載も追ってたんですけど、単行本で番外編とあとがき読んで泣いてしまいました。
よかったって思える結末なのは物語だからかもしれないけど、だからこそ物語には意味がある、この物語が存在してくれてよかった、と思わせてくれる作品でした。
はじめの2話は試し読みできるのでぜひ!
ピックアップ:インターネット・ラブ!/売野機子
1巻完結のBLです! めちゃ楽しく読みました。
こちらも作家買いで、売野機子さんは「ルポルタージュ」とか短編集とかを持ってます。
主人公はネイリストをやってるバイセクシャル。日課は彼女におはようLINEをすることと、インスタでフォローしている韓国人男子のストーリーズを見ていくこと。
半ばネトスト状態とはいえ繋がることなんて有り得ないと思ってたのに、ネイルの写真に「Beautiful.」とDMをもらったところから繋がりが生まれて――というお話です。
当たり前に漫画が上手いし、ただただハッピーな終わり方で、楽しい読み物を浴びたいときにおすすめです。
1話試し読みはこちら!
映画:君たちはどう生きるか
見ました! 面白かった〜。いかにもジブリっぽい要素とファンタジー感に乗っかって楽しめました!
時空を超えた旅や冒険はやっぱりワクワクする。
謎の塔、半分人間みたいな人外のバディ、言葉をしゃべる・社会を構成する動物、逞しい船乗りのお助けポジション、空に向かう何か、時空を超えた冒険、異世界の主の素養を持つ主人公、元の世界へと繋がる扉、その他いろいろ……。
ずっとワクワクしながら楽しんで、時間経つの早かったなあ〜。
映画:特別編 響け! ユーフォニアム 〜アンサンブルコンテスト〜
「響け!ユーフォニアム」シリーズ、主人公が1年生から3年生に至るまでが小説だと学年ごとに1〜3冊で描かれる作品ですが、今回は3年生編のアニメ1作目!
主人公の久美子が部長になって初めての大きめイベントであるアンサンブルコンテストを描いたもので、90分なのであっという間でした。
ずっと楽しかったしやっぱり映画館で音を浴びるのは楽しい〜。
原作読み返したくなりましたね。春にまた続編?があるようなので楽しみです!
映画:赤と白とロイヤルブルー
周りで話題になっていたこちらも見ました!
アメリカ大統領の息子とイギリスの王子のロマンスコメディです。
犬猿の仲と思ってたけど、その仲の悪さからハプニングというか事件を引き起こしてしまい、仲良しアピールをするために親交を深める中で誤解が解けてさらに距離が縮まっていき……というお話。
アメリカ大統領は女性だったり、イギリス首相が黒人女性だったり、色んなエンパワメントがあったのも素晴らしかった!
英語好きなのでイギリス英語とアメリカ英語の違いも楽しめましたし、台詞回しも楽しかった〜。
「あなたの頭をブレグジットさせるわよ!」という罵倒が好きすぎましたね……。
小説も読みたいし、日本語字幕で見ましたが英語言い回しももっと気になるので英語字幕でも見たい。
イギリス王子のセリフで「僕に本気になるなよ」が I just can't afford for you to fall in love with meだったのがこの遠回しな言い方!!! と萌えました。
ずっと楽しくて元気が出るロマコメでした。BLとか関係なく色んな人に見てほしいな。
今月のアーティスト:Mrs.GREEN APPLE
好きなアーティストの好きなところを言語化してみようのコーナー。
今回はミセスにしました!
ミセスはいつ聴き始めたのか覚えてないんですが……多分YouTube Musicのおすすめに流れてきたのを気に入って、それを繰り返してたらよく聴くアーティストになりました。
初めてMVを見たのはたまたまYouTubeのおすすめに流れてきたVTuberの渡会雲雀くんのカバー「StaRt」から原曲の方を聴きに行ったときかな。あとONE PIECE FILM REDの「私は最強」、TOMORROW X TOGETHERの「Force」、そのメンバーが推していた「僕のこと」、あたりがきっかけを思い出せる曲たちです。
好きなところは伸びやかで力強い歌声とキャッチーなメロディー、あと割と高めで歌いやすい(口ずさみやすい)のもよく聴くようになった一因かも。
それからやっぱり、好きなアーティストって言えるようなアーティストは歌詞が好き、というのがあるので、歌詞も好きです。
特に好きな歌詞は「StaRt」と「僕のこと」かな。
「StaRt」は世界を前向きな眼差しで見つめよう、っていう感じのスタンスなのが好きです。これがデビュー曲なので、デビュー曲でこういう前向きな曲を出しているっていうのは好きだなと思えるポイントでした。
ただ前向きなんじゃなくて、前向きに捉えてみようっていう歌詞なのが好き。
あとは「ダンスホール」の「メンタルも成長痛を起こすでしょう/「無理をせず自分らしくいて」/それが出来たら悩んでないよ/まぁ明日こそ笑おう」とかも好きなんですけど、根が明るいわけじゃなくて、明るい方を見ようとしてるのが好きなんだと思います。
「僕のこと」はTOMORROW X TOGETHERの「Force」の楽曲提供に関するコメントでMrs. GREEN APPLEさんの曲他の曲も素敵で聴いてます! っていう流れのときにヒュンニカイが「僕のこと」めっちゃいいですおすすめです、ってちらっと言ってて、それで初めて知った曲だったんですけど、本当におすすめしてくれてありがとうの気持ち……。
もう全部好きなんですけど、サビが「ああ なんて素敵な日だ」から始まるんですよね。ゆったりした曲だけど力強くて、語りとか祈りを思わせる曲調・歌い方なのが歌詞にぴったりです。
最後がAメロということは初めと同じってことなんですけど、歌い出しも「僕と君とでは何が違う?」から始まるんですよね。全体もぜひ知ってほしいんですけど、上にあげたような歌詞を経て最後「愛しい事だ」と締めくくるのは、本当に、こんなに力強い肯定があるのかと……。
あとこれは8月の違国日記でも触れたんですけど、好きな接続詞が「それでも」で、やっぱりね、「それでも」が入っているフレーズはいいなって思います。
下を向きたくなることを認めた上で前を向こうとするとか、つらくなる側面・迷わせる側面があることを認めた上で光の方を見つめようとするとか、そういうときに使われる接続詞だと思っている。
嬉しい日々も辛い日々も全部肯定して尊いものだと歌い上げてくれている曲を知っている、というのは生きていく上でありがたいことで、いや、ほんと、ありがたい……。
ちなみにこの曲は羽生結弦選手がショーで踊った?のかな?彼のYouTubeチャンネルで演技が見れます。なんか祈りの舞みたいでね、いいものだなあと思えます。
あと「僕のこと」をおすすめしてくれたTOMORROW X TOGETHERはデビュー曲と「Force」でTHE FIRST TAKEに出ています。こちらもよければぜひ! 系統の違う顔の良さを持つ5人、全員歌が上手い……。「Force」はテヒョンの声が特にミセス楽曲に合う力強さで好きです。めちゃ甘い顔立ちなのに低音がかっこいいボムギュも好き。
*
というわけで今月はこんなところにしようかなと思います。
コンテンツ月報は休職中に始めたので初めて復職してからの投稿でした。来月はもうちょい早いうちに上げたいなあ〜!
まあ無理にならない範囲で頑張っていこうと思います。
10月は今のところ本2冊と、あと展覧会1回行きましたね。映画は行けてないや。
課題図書にしてる文芸誌系がまだ読めてないので持ち歩けるとき持ち歩こうっと〜。
それでは、引き続き色んなコンテンツ楽しんでいこうと思います!
ここまで読んでくださったあなたに感謝です! ありがとうございました。
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