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コーポレートファイナンス/バリュエーション

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【好評により若干値上げ】 財務モデリング、M&A、バリュエーション等について実務に触れたい人向けのCompleteガイド
財務分析/財務モデル(財務3表,LBO,DCF)について教科書的なものではなく実務に即した内容をマ…
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#買収

M&A|非公開化に関するコラム

M&A|非公開化に関するコラム

今回は上場会社の非公開化に関するコラムである。

昨今は東証によるガイドラインの見直しのほか、ファンドや事業会社による非常に非公開化案件が多く、特に2024年になってその勢いが加速している。

非公開化の背景としては、日本では人口の割に上場会社が多すぎるという問題のみならず、資本市場から忘れ去られてしまっているような会社(出来高が少ない、低バリュエーション、成長ストーリーが見えない)も相当程度ある

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M&A|財務DDのポイント/実務

M&A|財務DDのポイント/実務

前回は財務DDの概略を以下の記事で説明したが、今回は実際に財務DDのワークをする際にレポート作成時にどのような点が重要かイメージを持って頂くためにやや細かい実務面を中心に記載する。

財務DDレポートの作成は各ファームにより若干体裁は異なるものの、BIg4と呼ばれる大手会計系ファームであれば相当なナレッジとディールの経験があるので含めるべきコンテンツや分析の勘所は概ね決まっている。

以下はこれか

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M&A|財務DD

M&A|財務DD

M&A(企業の買収・合併)では、外部の専門家(弁護士・会計士・戦略コンサルタント等)を起用し必ずDDを行う。M&Aでは少なからず買手と売手の間に情報の非対称性があり、買手は買収したい企業のリスクや財務・ビジネス等の情報の入手が限定される可能性がある。

今回は財務デューデリジェンス ("Due Diligence" "DD")について分析のポイント等を踏まえて記載していく。

財務デューデリジェン

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アクティビストファンドによる株主提案

アクティビストファンドによる株主提案

はしがき
今回はアクティビストファンドがどのような視点で株主提案をするのか記載していきたい。2020年以降際立って存在感が資本市場で増してきているアクティビストファンドであるが、今回はその投資仮説について解説していきたい。

投資仮説投資仮説(Investment thesisという)は以下のようにまとめられる。

1. Financial
2. Business strategy
3. Exec

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M&A|英文LOIの書き方

M&A|英文LOIの書き方

以前は日本語でのLOI(意向表明書)の書き方を記載したが、今回は英文でどのようにドラフトしていくのかを記載していきたい。オークションプロセスであればプロセスレターに従った形でLOIを作成するが文章全体をどのように作成すればいいか迷う人もいると思う。

今回は英文のサンプルも付けているので理解のサポートになれば幸いである。

序文序文をどのように書けばいいかは悩むところである。投資銀行等のアドバイザ

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M&A|条件付き対価と財務モデル

M&A|条件付き対価と財務モデル

今回は財務モデリングのテクニカルな部分に関して解説していく。この記事でテーマにするのは買収案件でアーンアウトを行った場合の財務モデルへの反映方法である。会計処理を説明している記事等は多いがM&A実務で実際にモデルにどう落とし込むか解説したものは殆ど無いと思うので参考になれば幸いである。

条件付き対価とは条件付き対価とはM&Aの実務において一定の財務業績を達成した際に支払うアーンアウト等を指す支払

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LBOモデル作成ステップ|Path to Modeling Test|Step2

LBOモデル作成ステップ|Path to Modeling Test|Step2

今回は前回に引き続きLBOモデルの作成ステップのうち、Step2になる。今は、予測PLの作成である。まずは全体像を見てみよう。

上記のスナップショットでは一部行を隠しており、以下の3セグメント:Parts Selling, Maintenance, Otherになる。対象会社は自動車部品を販売する会社と仮定しており、Part sellingは単純に部品販売から生じる収益で、Maintenance

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LBOモデル作成ステップ|Step1

LBOモデル作成ステップ|Step1

今回はLBOモデリングテストや実務で使うレベルも視野に入れて下記の作成ステップを中心に記載していく。今回は下記のうちStep1のケースの前提について解説していく。

Step0:モデルの前提条件今回のケースの前提条件は、「製造業を営む非上場会社かつ、過去5年間の財務数値が入手可能な企業」に対するLBOによる買収であり、現金対価の株式譲渡とする。

モデル全体を通じた一般的な前提条件は下記の通りとす

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M&A|インフォメーションメモランダムの書き方①|概要編

M&A|インフォメーションメモランダムの書き方①|概要編

今回は会社売却時にセルサイドアドバイザーが作成するIM (インフォメーション・メモランダム)の概要を説明していきたい。

概略IMはCIM( Confidential Information Memorandum)やCIP (Confidential Information Presentation)ともいう。

M&Aのみならず資金調達時の投資家向けプレゼンテーション作成において自社の概要とエク

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M&A|意向表明書(LOI)について

M&A|意向表明書(LOI)について

今回はM&Aにおける意向表明書の書き方について一般論も交えて記載する。

概要意向表明書は会社を買収/出資する際に作成する文書である。英語ではLetter of Intent(LOI)とも言うので実務ではLOIという呼び名が目立つ。

ただ、ディールの状況次第でLOIの持つ意味合いは異なる。1次ビッドであれば、Non-Binding Offerと言いNBOと略されることもあるし、2次ビッド等法的拘

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バリュエーション(企業価値評価)の資料

バリュエーション(企業価値評価)の資料

今回はバリュエーション(企業価値評価)の資料作成について。

事業会社の経営企画/M&A担当の人でも外部アドバイザーを使わず社内である程度のM&Aアドバイザリー業務を遂行できるチームであれば、社内の経営陣や上層部向けにバリュエーションの分析資料を作成することは多々あるであろう。M&A案件を多くこなしている会社では自社内のリソースで賄えるところは賄うことも多い。

実際にどのように作成すれば分かりや

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LBO分析 | アドオン買収

LBO分析 | アドオン買収

今回はPEファンド関連でアドオン買収、すなわち追加買収に関して記載していく。

章末にサンプルモデルもあるので参考になれば幸いである。

アドオン買収の概要アドオン買収はプライベートエクイティファンドが買収後のバリューアップ戦略として行う手法の一つで、簡単に言うとある企業(セクター問わず、何らかのプラットフォームになりうる企業)を買収した後に、同業でプラットフォーム企業よりも規模が小さい会社を追加

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M&A|株式譲渡契約書(SPA)での価格調整

M&A|株式譲渡契約書(SPA)での価格調整


はしがき今回はSPA交渉における価格調整に関して記載していきたい。
価格調整にどのような方式があるのか(Locked boxかCompletion accounts方式なのか)、調整される会計上の項目は何か(運転資本、ネットデット等)については様々な媒体で記載されているのでここでは割愛したい。

M&Aの実務で売手、買手に立った際に実務ではどのような流れで進むのか実務寄りの目線での内容になる(一

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持分法の処理と財務モデル

持分法の処理と財務モデル

持分法の概要持分法は連結会計のうち一行連結と呼ばれるものである。端的に言うと、支配権を獲得していない会社(議決権の20% ~ 50%以下)を連結BSおよびPL上どのように表現するか規定した会計処理である。

*通常のマジョリティないし100%買収 (outright acquisition)は、支配権を獲得する行為なので会計上、連結財務諸表を作成する際には全部連結という方法になる。そのためPLとB

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