
ソニックフロンティア アンケート覚書兼レビュー(1/18大幅編集)
3行でわかる感想まとめ
ありがとうソニックチーム……よくやった第二CS研究開発部……
自分達なりにめちゃくちゃ頑張って結果を出したんだね…やっばりやればできるんだ…
初めてソニックを遊ぶ人にもオススメです。でもクライマックス時の難易度だけは絶対『スリル』にしてください。
はじめに
レビューとは書きましたが、これはセガ公式サイトのプレイ後アンケートに提出した文章をベースに、ついでに書き忘れた事や意図的に書かなかった事をつらつらと加筆・追記した記事です。なので口調や論調が安定していません。また当然の権利のようにネタバレを含みます。予めご了承ください。ちなみに筆者がプレイしたのはPS4版です。
ストーリー・世界観
ソニックについて造詣の深いイアン・フリン氏によって書かれたストーリーは進める度に先が気になる内容でとても楽しく、ここ10年の間リリースされたソニックのゲーム作品の中では最も優れているのは間違いない。メイン・サブストーリーの節々やエッグマンの音声ダイアリーなどで過去作からの設定や出来事が反映されているのも高評価。
気になった事と言えば、日本語版では他の言語のものから大幅にシナリオが改変された事だろうか。日本を始めアジア地域にはソニックシリーズ経験者が多くないため過去作からの要素を削る、文化的に伝わりづらいジョークの類を変えるなどといった意図は分かるし(ジョーク部分の改変はそれこそカラーズの頃からやってた)、それによってより良いものになった箇所も少なくない(特にエミーの見つけたやりたい事、真のラスボスの台詞など)が、同時にそれによって台詞とキャラの動き・表情が不一致な場面も多く、違和感を感じるところはままあった。また、キャラクターの心情描写が大幅に改変されているのはちょっとどうなんだろうと思った(メインストーリーだけだとエッグマンとセージの互いにどう思っているかが分かりづらくなっているなど)。何よりいくらアジアの客層、ないしファンに合わせたものにするためとは言え、ここまで大幅に内容を変えてしまうと、イアン氏が開発陣に良くない印象を持ってしまい最悪今後の様々な展開に悪影響が及ぶのではないかと(勝手に)(大袈裟ではあるが)危惧している。公式さんサイドにとっても我々にとっても貴重な存在であると思うし、彼のことはもっと大事に尊重してあげてほしいな……
後、オープニングでのテイルスの最後の台詞はさすがにやりすぎです。シリアス通り越してただの厨二病で笑っちゃうんすよね。でも全体を通してキャラはちゃんと守れてたと思います(サブイベントでソニックがエミーを一箇所だけ"キミ"呼びするとこ以外は。そこもまぁ大目に見たいと思う)。ついでにソニック特有の英語台詞がほぼ無かったのはかなり新鮮だった。でもやっぱあった方が良いなぁ…
(ストーリー周りについての解説・考察は他の方の記事が詳しいです。詳しくは記事の後ろの方で)
(英語が分かる人は英語音声・字幕でもう一周遊んでみるのも良いでしょう。後々紹介する記事にもありますが、両方の言語のシナリオで情報を得ることで見えてくる事実もあります)
グラフィック
(どの機種でもらしいが)フィールドを走っていると突然オブジェクトがパッと現れる不自然さ以外は概ね満足。技術的に難しいのはなんとなく想像できるが、可能であればアップデートで少しでも改善をしてもらいたい。
キャラクター
セージほんとすき。それに対してエッグマンが父性を持ち始めるのも本当に好き(だからこそ日本版だとここら辺も削られたのが本当に惜しい)。「お父さん……褒めて…くれる…?」からの最後の「お父さん…?」「良い娘じゃ」本当に本当に大好き。ああいう結末にしたからにはそういう事だと捉えていいんですね?!
サウンド
作風に合わせた事により従来の作品よりソニックらしいサウンドという印象はやや控えめだが、それでも相変わらず高品質なサウンドトラックである事には変わりない。巨神戦やエンディングのボーカル曲はいつもの安心感と高揚感に包まれるような印象。クエストや釣りのBGMは、特に前者はアドベンチャー1の頃のロック以外の(床井健一氏や熊谷文恵氏が作っていたような)ポップなサウンドで良いアクセントになっている。クエストクリア時のダンスシーンのBGM好き。発売前にはオケ調のBGM中心な雰囲気っぽいし小林秀聡氏も参加しないかなと個人的にちょっと期待を寄せていたが、プレイ後には「これは大谷智哉氏の仕事でも十分満足できたな」と感じた。後まさかのHiro師匠参加にはビビった。実にセガソニック(アーケードゲーム)以来。どのBGMだろう…(→サントラで作中のミニゲームBGMの一部を担当されていた事が判明。ピンボールBGMのイントロはそういう……関係だったのか…)
(ボーカル入りを除いて)一番好きなサウンドトラックは"I'm with you"。ソニックシリーズのラスボスと言えば、なボーカル曲やメインテーマのアレンジではないが、ボーカルの無い、だが静かで力強いエモーショナルな音色がストーリー展開やラスボスの台詞と相まって非常に印象に残った。真のエンディング曲と併せて、新時代のソニックの象徴と思っている。
それにしても熊谷氏は10年以上前に退社してから一体何処へ行ってしまったのだろう。まだそんなに年配近いわけでもないが……結婚とか?
ゲームシステム
広大なフィールドをハイスピードで自由に走り回れるというのはそれだけで素晴らしいし、それでいて走っていて気持ちのいいフィールドが実現できていると思った。時に足を止めて爽快感のあるコンボバトルを楽しむのも、小休憩がてらギミックを解いてマップを解放したりと、走る以外のアクセントになる要素も程よい難易度で思っていたよりもずっと楽しく遊べた。アドベンチャー1やワールドアドベンチャーを遊んでいた時の感覚に近い。
以下、気になった点を箇条書き。
・□ボタン(PSの場合)で発動のホーミングアタックのマーカーが三角なのはPSプレイヤー(特にソニック慣れしていないプレイヤー)にはかなり不親切なのではと思う。
・長老ココにココ達を大量に持っていった時、まとめてレベル上げできずチマチマ選択し続けるのは不便。
・夜にしか解けないギミックは単に待たされるだけでイライラにしかならなかった。
・ソニックがダメージを受けた後の無敵時間はやはりあるべき。これでダメージを連続で受けたりハメに近い状態になる事がそこそこあり、イライラさせられた。
・電脳空間だけでもいいのでやはりブーストで敵をふっ飛ばして倒したかった。
・電脳空間の世界観が4つ(しかも内3つがジェネレーションズでも遊べたステージ)なのは物足りなさ過ぎる。
・これについては書くかどうか少し悩んだが、真のラスボスが難易度スリルでしか遊べないのは(STG自体が難しいからという意図は何となく分かるが)やはり不親切だと思う。それこそ弾幕の濃さを変えるとかで難易度調整をした上で全員に遊ばせるべきだと感じた。今どき難易度選択によってプレイ体験自体が変わってしまうというのは時代遅れ過ぎるので…。後、どうせそうするのならスタッフロール後のあのムービーも難易度スリルクリアの特典にしてよかったのでは?とも少し思う。
操作性
ソニック経験者としては特に困る箇所は無かった。けどドリフト操作は過去作やレースゲームのようにL2R2でやらせてほしかった(そもそもドリフト操作ができる電脳空間は1ステージしか無いわけだが…。これも含めて電脳空間はギミックなどの実験的な要素のあるステージがちらほら見受けられる)。
難易度
バトルやギミックの難易度も電脳空間のレベルデザインも、シリーズ経験者でも楽しく何度も遊べる程よい難易度だった。他の3Dアクションを遊んでて3Dソニックが初めての人にも丁度いいのではないだろうか。(→感覚的にはスリルがノーマル相当、それ以下はイージー、ベリーイージーといったところか。スリルにしとけというのはそういう意味合いでもある。)プレイ開始時にこれまでの経験に合わせて大まかなプレイフィールを選択できたり、ゲーム中もこまか〜く設定できるのも◎。
ボリューム感
ソニックのゲームとして多すぎず少なすぎず、丁度いいボリュームだった。正直、島中の守護神を全部倒すとかココやメモリーなどを全部集めるといったこまか〜い収集要素が達成度やトロフィーに直結しなくて本当に良かったと個人的には思っている。でも5つの島があると見せかけて実質4つの島だったので、フィールドや電脳空間、ストーリーを追加するDLCが欲しい。(←追加アプデで新ストーリーが来るらしい。けどさすがにフィールドは無茶か……なんなら有料DLCでも買うから!)
総合評価
アジア向けのシナリオ改変の一部分やゲームの細かい箇所に少なくない粗は感じられるが、ここ10年の間では最高の出来の3Dソニックだったと思うし、裏テーマとして掲げていたというソニックチームの復権を本気で感じさせる出来栄えだった。願わくばこの作り込みの熱意を次作以降でも維持してほしい。時間はいくらかかってもいいから。
(→なんと無料アップデートで更に色々な要素が追加される事に。ソニックのゲームでは初めての事例なので、よっぽど反響大きかったんだなぁ……良かったなぁ……)
最後に(その他意見欄)
シェアが少ないにも関わらず日本のソニック好きの事を強く意識してくれた事、日本での広報などの展開を今まで以上に広く力を入れてくれた事、そしてそれに恥じない内容のゲームにしてくれた事に強く感謝と敬意を表します。
余談
・映画2作目に倣う形で(制作の時系列的には逆か?)ナックルズ族がエキドゥナ族になったのは良かったというか、ようやくか…という感じ。ナックルズ族じゃ締まり悪いなってずっと思ってたもん。
・結局ティザーの頃から出ていたあのマークはどういう意味なんですかね?(読解力不足)古代人の象徴(マーク)?
・カオスエメラルドが古代人と共に宇宙から来たという事は、それを治めるマスターエメラルドはどういう設定になるんだろう?今後の生放送やインタビューなどで回答があると助かる。(→これまた後述する『ウマコセ』の記事にて解説がありました。英語版からの情報か、ゲーム中に語ってたけど自分が忘れてただけか……)
・古代人があの姿であの設定(音声ダイアリー参照)という事は、カオスは(DNA的な意味で)割と純粋な古代人の成れの果てで、逆にその突然変異体がチャオって事なんですかね?今まで考えられていた説と実は真逆の関係だった!という展開嫌いじゃないよ。あるいは古代人のDNAの成れの果てがチャオで、それが突然変異で先祖返りしたのがカオスとも…
・フロンティアが出るまで出来が不安で不安で仕方なくて発売日直前はノイローゼ気味になるレベルだったが、フロンティアに満足&安心した今、今度は来月のソニックプライム(ネトフリ限定で配信予定の完全新作アニメーションシリーズ)が心配になってきた…。制作はそれなりに実績のあるところみたいだから質は安定だろうし最後までキッチリ出す事も確定してる(要は打ち切りの心配無し)けど、豊田栄太郎氏とかの公式監修は入ったんだろうか。(→初回は8話のみの配信で、やっぱり全体的にアメリカンなノリだけどちゃんと面白かったです。ナインかなり好き。監修もちゃんと入ってたようで。続きも大いに期待したい。)
ついでに話しとこう
フロンティア発売のちょっと前に、ソニック達の年齢設定が公式サイトのキャラ紹介プロフィールからオミットされるという出来事があった。✌️ファン界隈✌️から離れてる自分は当時の反応を知らないが(どうせマイナスに捉えてる連中ばっかなんだろうな)、個人的にこれは『ソニック達をより自由にするための変更』と前向きに捉えている。
ハッキリ言って(特に今作みたいに特にシリアスな雰囲気強めの作品だと)例えばソニックやテイルスがあの精神性で15歳や8歳はだいぶ若く見積もり過ぎてる節がある。かと思えば(全くの別世界ではあるが)映画のソニックは海外だとティーンソニックと公式でも呼称されている位には10代前半の年相応の精神性。体良く言えば近年のソニックは(別の世界観の個体を含め)『大人と子供を自由に行き来できる』最初期の設定を体現しているようにも見えるのだ。そんな彼に事細かな年齢設定など枷でしかない。
それと、ソニック並にメジャーな作品(特にアクションゲームで傾向が強い?)でキャラクターの年齢を(○○代の大まかな設定こそあれど)細かく設定している作品はあまり見受けられないように感じる。(自分の把握している範囲でもマリオ・スプラトゥーン・カービィ・ポケモン・ロックマンなど…)逆に細かく設定しない事で生まれるゆとりもあるのだろう。
つまるところ、制作側もファン側もより自由に、より動かしやすく、より動かしてもらいやすくするための変更ではないか…と自分は推測している。最初にそう決めて作られた以上、完全に無かった事にはしない(できない)だろうし、これから公式が従来から大きく逸脱させる事も無いだろう。要は裏設定みたいなものである。ちょうどソニックの『大人と子供を自由に行き来できる』設定のように。
どうでもいいが、改めてエッグマンの本名が"イーヴォ・ロボトニック"と公式で出したんだし、これは彼のプロフィールにも書き加えていいと思うんだ。…それともこれもやっぱり裏設定扱い?
クリア済なら必見!オススメ記事紹介
日本版・英語版のシナリオの違いや、ストーリー内の各設定の解説についてはこちらの記事が特に詳しいです。ストーリーでちょっと分からない部分があるんだが…という人は読んでおこう。
「英語版の『"LOVE"のニュアンスが強いシナリオ』は日本のゲーマー受けが悪い」(意訳)ってのはまぁその通りだよな……と納得したり、日本版は色々削ったとはいえそれでもシリーズ初心者に分かりづらいとこがチラホラとか、新たな視点を得られた。そういう意味でも大幅な改変はやっぱ間違ってはいなかったと思うな…。公式生放送で明かされた真ラスボスのある設定についても載っています。岸本ディレクターあれ絶対エヴァンゲリオンイマジナリー見て思いついたよね?
後これ読んでる国内の✌️ソニックファン✌️はこれの関連記事も読んで肝に銘じるように(まぁ海外勢も海外勢で別ベクトルにアレな民度だと自分は思ってるし、それ故に自分はあえて主語を極限まで大きくしてるわけだが…)(当然ながら"いい人"もいるのは理解の上です)。
『日本版シナリオの制作をほぼ一人で行った岸本ディレクターは、その中で何を表現したかったのか?』を考察する記事。岸本氏は各種インタビューや公式生放送の他、自身のTwitterに来た質問ツイートなどにもガンガンリプライして(↓一例)色々裏話を語っています(でもそんなに開発事情ボロボロ話したりあんまりファンとの距離を縮めすぎるのも個人的にはちょっと危ない気も…)が、それらを見ると結構的を得た考察なんじゃないかと思う。
ありがとうございます!
— Morio Kishimoto (@moq_46) November 16, 2022
この真のラスボス戦は賛否あるのを承知の上で、あえて私の生き様として、実装したモノです。
ラスボス戦中に語られるジエンドのセリフも私のこれまでのゲーム人生を暗喩しています。
このゲームに込めたメッセージにご理解いただき、感謝いたします!
ちなみに岸本氏はかつてカプコンなどの会社でアーケードゲームを作っていた経歴があるそうで、そこでのノウハウが今作の制作にも活かされてるとか(公式生放送参照)。
後これ読んでる国内の✌️ソニックファン✌️はこの人の他の記事も以下略。
主に海外も含めた広範囲からの情報収集役として、Twitterではいつもお世話になっているシンソニくんの記事。それ故か英語力もかなり優秀で、それを活かして英語版シナリオとのより詳細な違いをまとめてくれている。いつも助かってます。たまに距離感バグって迷惑かけてしまうのは本当に申し訳ない。
英語音声で遊んでいる人が日本語音声で遊び直す時とかに役立つと思います。
こちらもガッチリしたストーリーや各要素への考察中心。これまでも鬼滅やP5(R)についてのクオリティの高い考察をされている方なので内容は保証します。ソニックのゲーム自体が初体験で、なおかつ色んなゲームへの造詣が深い方がこのゲームに好意的な感想を出してくれた事、そして何より自分以外にもこの作品とトレジャー(というか井内ひろし氏)製STGを絡めて話す記事が出てきた事がとても嬉しかったので、更に追加で紹介させていただきたい。下記の考察ですらない考察もどきを読むよりも、こっちを読んだ方が絶対有意義です。後恐らくゲームそのもののテーマをゲームプレイのみで見抜けたのはマジで凄い(サントラのタイトルが完全一致なのでほぼ正解だろう)。
※ここは読まなくてもいいです。(旧:今回一番話したかったこと)
(当時は自信満々に書いたけど、こういう類の考察の域にも入らないうっすい考察ごっこを堂々と晒すのは見苦しいと気づいた事、前述の通りこの話題について完全上位互換の記事が出た事により見出しを変更しました。面倒なので自分への戒めとして書いた文章はこのまま残します。ゆるして)
今作のハッキングクエスト(STGミニゲーム)、及び真のラスボス戦(特に日本語版シナリオ)には、とある作品達の血が色濃く流れていると感じた。そもそもハッキングがSTGって時点でニーアオートマタなのだが、それよりも進んだところの話だ。
まず基本システムの『同じ色の弾で相殺・ゲージを貯めてボム発動』というのは分かりやすく『斑鳩』だ。今は各コンシューマ機やPCで配信しているので、知らない人はとりあえずストアページから紹介動画を観るか実際に遊んでみてほしい。そしてもうひとつ、日本語シナリオでの真のラスボスの台詞の節々に『斑鳩』の前作、『レイディアントシルバーガン』のコンシューマー版(セガサターン・XBOX360(次世代機の後方互換にも対応)・Switch)ストーリーモードのクライマックスのオマージュがかなり露骨に仕込まれている。これも実際に遊んでもらうか動画を見てもらいたい。
ちなみにどちらもトレジャーという会社が開発した作品。トレジャーはかつて、名作『ガンスターヒーローズ』などのセガの作品を手がけていた過去がある。岸本氏はそこ繋がりでこの作品達にも思い入れが深かったのだろうか…というのは安直な憶測でしかないが、氏が多大な影響を受けたものの中のひとつであるのは間違いないだろう。
前述したが、英語音声で遊んでいるという人もラスボス戦だけはぜひ日本語でもプレイしてみて頂きたい。
コレハ ハジメカラ キマッテイタ コト…
ソウ イクドトナク クリカエサレテ イル コト…
俺の夢はね…この宇宙の中にあるんだ
わたしのこと、愛してる?