日常生活の行動や言葉と性格の関連を研究する
性格は，日常生活のどのような行動に関連するのでしょうか。いやそもそも，関連するものなのでしょうか。
占いや性格診断でよくあるのは，性格と行動を1対1で対応させるやり方です。たとえば，「○型の血液型の人は××な性格なので，△△な行動をする」という言い方です。この言い方だと，あたかもある性格の人が必ずある行動をする，という
経験サンプリング法
普段の生活のなかで調査を行う手法のひとつに，経験サンプリング法があります。これは，毎日研究者が指定したタイミングで，想定された時間内の行動や発言などを記録していく調査手法です。
最近では，生態学的経時的評価（Ecological Momentary Assessment）とか，生態学的サンプリング法（Ecological sampling methods）と呼ばれることもあるようです。
院生時代の粗大ゴミ
院生時代，大学の大掃除をしたことがあります。その時に，この経験サンプリング法と思われる手法で使う道具を見たことがあるのですよね。大掃除で捨てられようとしていたのですけれども。
腰につけるポーチくらいの大きさの箱で，外側は革製でしょうか。腰につけたりベルトにつけたりする形になっているようです。電池式でしょうか，モーターが動くようになっています。中にはロール紙が入っており，スイッチを押すとロール紙がもう片方のロールに巻き取られていきます。そして，箱の外側にはいくつかのボタンがついており，そのボタンを押すと，中のロール紙にボタンに応じた印が記入される……そんな機械だったように思います。
当時は「へえ，そんな機械があったんだ」と思った程度でしたが，今思えばその機械は経験サンプリング法に使えるものだったのでしょうね。本当，当時捨てられていたもののなかに，「あとで粗大ゴミ置き場から拾っておけばよかった」と後悔したものがたくさんあります。Apple社の昔のパソコンとか（Apple IIなどが何台も捨てられていました）。
日常行動と性格
では，経験サンプリング法で得られた日常的な行動とパーソナリティ特性は，どれくらい関連するものなのでしょうか。ここでのポイントは，日常生活の「どのような行動」かという点と，パーソナリティのうちの「どの特性」かという点です。
日常生活の行動と言っても，さまざまなものが含まれていますし，どのような発言をしたのかという内容も含まれます。また，パーソナリティ特性といっても，たとえばビッグ・ファイブ・パーソナリティのどの側面が関連するのかという問題もあります。
では，実際に関連を検討した研究を見てみましょう。こちらの論文です（‘Personality in Its Natural Habitat’ Revisited: A Pooled, Multi‐sample Examination of the Relationships Between the Big Five Personality Traits and Daily Behaviour and Language Use）。
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