
イタリアでマフィアについて考えるとき
「マフィア」というのは,イタリアのシチリア島を中心とした犯罪組織集団です。1992年の段階で,186のグループと4000人の構成員がいたとのことです。さらに,イタリアのマフィアには,シチリア島,カラブリア,ナポリ,ブッリャ州に代表的なマフィア組織があるそうです。
そうそう,アメリカに進出したマフィアも知られていますね。映画にもよく登場します。
マフィアの影響
イタリアのマフィアは,絶えず経済や政治のシステムに影響する力を行使してきました。地域を支配し,政治的影響力を拡大するために,暴力を用いて積極的に介入していきます。政治的暴力としては,政治家の暗殺や暴力が,選挙の前後で著しく増加することに表れるそうです。
マフィアは力を行使して,違法取引を支配し,経済活動から不正な利益を手にし,民間の経済活動の中にも浸食しています。違法な活動から得た多額の利益は,違法な市場と合法的な経済の両方に投資されて,政治的な支配をさらに拡大していきます。
ダークな性格
マキャベリアニズム(自分の利益を優先して他者を利用する),サイコパシー(冷淡で倫理観が薄い),ナルシシズム(自己中心的で特権意識を抱く)というダーク・トライアドは,暴力的な集団の構成員では高くなるのでしょうか。
ダーク・トライアドは,組織の中での残虐性や非生産的な職務行為,いじめにも関連するという研究があります。過去の研究では,同様の犯罪で逮捕された人びとでも,マフィアに所属していた人たちは所属していなかった人たちよりも,ダーク・トライアドが高くなるという研究結果が報告されているようです。
一方で,マフィアの被害を受ける側は,マフィアに対してダークなパーソナリティを感じるものかもしれません。よりマフィアをダークな存在だと感じると,より強い脅威を抱くことにもなりそうです。
グレイ・モデル
マフィアのようなダークな組織や構成員に直面すると,脅威に対してうまく対処することが求められます。ジェフリー・グレイのBIS/BASモデルは,脅威に対する反応をうまく説明するモデルのひとつです。
◎BIS(行動抑制システム):恐れや不安などのネガティブな刺激に対する反応を制御し,危険を避けるためのシステム
◎BAS(行動活性化システム):報酬や快楽などのポジティブな刺激に対する反応を制御し,目標達成や報酬を得るための行動を促進するシステム
対マフィア
マフィアに相対する人びとは,ダーク・トライアドのような特徴をマフィアの構成員に感じる可能性があります。マフィアに相対する人びとはBISやBASが活性化することで,行動上の防衛メカニズムへとつながる可能性があると考えられます。
実際にイタリアでマフィアについて尋ねるような研究が行われていますので,こちらの論文を見てみましょう(Unveiling the influence of the Italian mafia as a Dark Triad threat on individuals’ affective states and the power of defense mechanisms)。
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