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不安は集中力の低下を招く
社交不安障害(Social Anxiety Disorder; SAD)という言葉があります。自分自身が低く評価されてしまうのではないか,その場に合っていないのではないかといったことを,過剰に心配してしまい,人間関係を十分に営むことが難しく苦痛を抱いてしまう傾向のことです。
似たような症状や傾向のことを,色々な言葉で表すこともあります。シャイネスとか,対人恐怖とか,社会不安とか……使う言葉によって微妙にニュアンスが違っていたり,困難の程度が違っていたりするのですが,おおよそ同じような方向性の特徴に使われる言葉だとは言えるのではないでしょうか(もちろん,細かく見ればそれぞれ互いに違うのですが……)。
学業成績
対人場面や社会的場面で強い緊張に襲われてしまったり,人間関係がうまくいかないのではないかと不安に感じる傾向があまりに強くなると,学校の中の活動もうまくいかなくなってしまうことが予想されます。
実際に,これまでの研究では社交不安の程度が強くなると学業成績が良くない傾向が見られるという研究があるようです。しかしその一方で,あまり関連はないとする研究もあるそうで,一貫しない結果が報告されるけいこうもあるようです。
うまく行かないのはどこか
問題は学業成績そのものというよりも,社会的な不安が強くなると何に問題が生じてくるか,ではないでしょうか。先行研究を見ると,社会的な不安が学校の欠席につながるとか,宿題をあまりしないようになりがちだとか,複数の学業成績に関連する行動にかかわってくることが示唆されています。
もしかしたら,勉強そのものではなく,学業成績には関連しつつも人間関係的な側面を介して,全体的な成績に関与するということが言えるのかもしれません。
集中力
その可能性のひとつに,集中力の問題があります。集中力というのは,ある課題に注意を向け続けるということを指します。勉強の時には,その課題に長い時間,集中する必要がありますよね。
そして不安が強いと,あまり物事に集中できなくなってしまう傾向があることが,これまでに報告されているそうです。不安に関する障がいをもつ人々が,実際にあまり集中できないことを報告するという研究があるようです。また,不安を喚起するような場面を用意した実験課題では,やはりあまり集中できないという結果を招くことが報告されています。
ということは,社会不安の強さが集中力の低下を経由して,全体的な学業成績の低さに影響する,という道筋を考えることができるかもしれません。
実際は?
では,実際にそのようなプロセスは見出されるのでしょうか。こちらの論文で検討されていますので,見てみましょう(Is concentration an indirect link between social anxiety and educational achievement in adolescents?)。
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