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日々是好日・心理学ノート

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2022年8月の記事一覧

2022年8月のまとめ

今年の夏は暑かったですね。東京にきてから10年弱になりますが,こんなに暑い夏は初めてなんじゃないか,というくらいに暑かったです。 私が住んでいる場所は都心から離れているので,夏でもほとんどエアコンを使わない都市もあったのですが,今年の夏はこれまでとは少し違った雰囲気でした。 さて,今月も記事を更新してきました。8月に投稿して,アクセスが集まった記事を第5位から見ていきましょう。 第5位第5位は「サディズムはダークな何に近いのか」です。最近,ダーク・トライアドにサディズム

年齢とともに物質主義はどうなっていくのか

物質主義とは何でしょうか。あらためて尋ねられると,なかなかこうだとは言いにくいように思うのですが,「幸福などの望ましい最終状態に到達するために必要な,あるいは望ましい行動様式として,人が所有物そのものやそれを得ることに置く重要性」といったように定義されるそうです。 物質主義が高い人というのは,ものを所有することやその取得を生活の中心に置いていきます。また自分の成功や他の人の成功を,どれくらいものを得ているかで判断しがちです。そして,ものを得ることが幸福には不可欠だと考える傾

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スマホアプリの助けを借りると性格は変わる

性格(パーソナリティ)特性を変えるためのスマホアプリがあるのを知っていますか? そもそも「性格は変わるのか?」と疑問に思う人がいるかもしれません。これまでの研究から,それほど急激に変化するわけではないのですが,成人期を過ぎてからでもパーソナリティ特性は変化していくことがわかっています。 また年齢とともに徐々に変化していくこともわかっていて, ◎自尊感情の平均値が上昇していく ◎協調性の平均値が上昇していく ◎勤勉性の平均値が上昇していく ◎神経症傾向の平均値が下降していく

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ターマン博士の天才児研究が始まった頃

今回も昔の論文を見てみましょう。『ターマン教授の優秀兒研究計畫』という論文(記事?)です。1922年に発行された,心理研究第22巻に掲載されています。 この論文では,アメリカでスタンフォード・ビネー知能検査を開発したターマンによる,天才児を集めて追跡調査をした研究が紹介されています。 日本でもこのプロジェクトは教科書に書かれていたりして知られています。しかし,この論文ではちょうど研究が始まった当時(1921年開始)に,このプロジェクトの紹介をする記事となっていますので,こ

若いと思わせる要因

主観的年齢とは,年齢そのものではなく,自分自身が「感じる」自分の年齢のことです。自分で年齢どのように考えているか,また自分をどのようなレンズを通して見ているかを表していると考える研究者もいるそうです。 実際の年齢よりも,主観的年齢には社会的な意味,心理的な意味,そして個人的な意味などさまざまな意味が含められています。 高齢者研究が中心自分のことを「若々しいと思うかどうか」は,特に高齢の方々の中心的な関心となりがちです。高齢者を対象としたサプリメントや運動器具,健康食品など

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映画の中で描かれる食べ物の特徴

映画やテレビの中で描かれる「食事」は,見る人びとにさまざまな影響を及ぼしています。また時にそれは,不健康な行動を描き出します。たとえば過食,不健康で偏った食事,ファーストフードやジャンクフードを好むことなど,さまざまです。 食事だけでなく,スクリーンで描かれる不健康な行動を視聴することは,青少年たちの行動も変容させるのではないかという指摘もあります。映画のキャラクターの不健康な食事の描写を見るだけで,子どもたちも不健康な食事を選択する傾向が高まるという研究結果もあるのだとか

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もし知能指数が変わらないなら

今回も,昔の論文を紹介したいと思います。1923年に公刊された,心理研究第23巻に掲載された論文『若しI・Qが恒常ならば』です。著者は,京都府師範学校附属小学校の辻本延二先生です。 精神年齢IQというのは,ビネー式の知能検査では「精神年齢の生活年齢に対する比」のことであり,ヤーキースたちによる検査では,「個人の得点数のその年齢における一般標準点に対する比」のことを指すと最初に書かれています。1920年代当時はまだ,ウェクスラー式の知能検査は開発されていませんので,偏差値に基

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運命か自己責任か偶然か

以前,遺伝と環境と運命論と自己責任論について記事を書いたことがあります。 才能や犯罪行為,美しさなどについて,私たちは「何が原因なのだろう」とあれこれ思いをめぐらせてしまいます。犯罪が起こると必ずと言っていいほど「遺伝なのか」「親の育て方なのか」「どう育ってきたのか」と追求が始まるものです。 しかし,いま私たちが「こう考えることが当たり前」と考えていることは,常にいつの時代でも「当たり前」ではありません。 格差という虚構今回は,『格差という虚構』(筑摩書房)の中に出てき

肥満と抑うつとの関連

肥満は,世界中の多くの国で採り上げられる問題です。ただし,日本は世界的に見ても肥満率が低い国の一つです。先日も海外からきた研究者が「日本は本当に太った人が少ない」と言っていました。 肥満の基準肥満の程度はBMIを算出することで目安とされます。BMIは,自分の体重(kg)を身長(m)の2乗で割ることで求められる値です。先ほどのwebサイトでも取り上げられていたのですが,BMIの目安は次のようになっています。 ◎過小体重:18.5未満 ◎健康:18.5以上25未満 ◎過体重:

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他者依存と自己批判は自殺につながるのか

日本では,20歳から40歳までの死因の第1位は「自殺」で,死亡原因の30%から50%を占めています。若い世代の死因の大きな割合を自殺が占めているというのは,ほかの国でも同様です。たとえばアメリカ合衆国では,20歳から34歳までの死因の第2位が自殺だということです。 自殺には自殺を完遂する(最後までやり遂げる)ことの他に,自殺未遂(試みたが死に至らなかった),自殺企図(なんらかの死を目的とした行動を行ったが死に至らなかった),自殺念慮(自殺のことを考える)など,さまざまなかた

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いいねを300集めるとパートナーよりも正確に性格を推定できる

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上のふるまいを見れば,あなたの性格がわかる,という研究があるのをご存じでしょうか。 たとえば,Facebookでどの記事に「いいね」をクリックしたかで,本人の性格を推定する研究があります。実に7万人以上のユーザーのデータを利用した分析です。 「いいね」皆さんはFacebookユーザーでしょうか。では,どんな内容に「いいね」をつける傾向にありますか?……と言われても,困ってしまいますよね。タイムラインやニュースフィードには,次々と

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広く薄く予測することに意味がある

今回は,多くの人から注目を集めるようになる心理特性(性格特性や認知特性など)にはどんな条件があるのかを考えてみたいと思います。 これまでいろいろな心理学的な概念が考えられてきましたが,その概念が注目される(つまり世の中でブレイクする)条件の一つは,それが「役に立つ」と判断されることです。あるいはその逆もある(悪影響を与えると考えられる),のですけどね。 予測ある心理学的な特性が高いことが「役に立つ」とされるための判断というのは,研究の中で「社会的によいとされることを予測す

性格と人と人との間の距離

初めて会った人と,どれくらいの距離で接する方でしょうか。すぐに近づいていきますか?それとも,なかなか近づけない方でしょうか。 また,近づきたい相手と,あまり近づきたくない相手もいるのではないでしょうか。どのような相手の性格を認識した時に,近づこうと思うのでしょうね。 初対面の相手今回紹介する研究は,実験室の中で初対面の相手と課題を行い,その後でソファに並んでアンケートに回答する時の「距離」を測定するものです。なかなか面白そうですよね。どのようなパーソナリティの持ち主が相手

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内向的な人ほどコロナ禍で社会的距離をとる

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,すっかり日常のなかに溶け込んでしまったと言えるでしょうか。毎日の感染者数が報道されても,「まあそういうものか」といった受け止め方が増えているようにも感じます。パンデミック初期の頃はどうなるんだろうと思っていたのですが,時間が過ぎれば日常になっていくのは歴史を考えてもそうでしょうし,とはいえなかなか予想できないこともであります。 パンデミックの研究パンデミックのごく初期,早くも2019年12月に中国で心理学や疫学の観点からの研究

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