
映画の中で描かれる食べ物の特徴
映画やテレビの中で描かれる「食事」は,見る人びとにさまざまな影響を及ぼしています。また時にそれは,不健康な行動を描き出します。たとえば過食,不健康で偏った食事,ファーストフードやジャンクフードを好むことなど,さまざまです。
食事だけでなく,スクリーンで描かれる不健康な行動を視聴することは,青少年たちの行動も変容させるのではないかという指摘もあります。映画のキャラクターの不健康な食事の描写を見るだけで,子どもたちも不健康な食事を選択する傾向が高まるという研究結果もあるのだとか。
ハリウッド映画に描かれる食事
今回紹介する研究は,ハリウッド映画のなかで,どのような文脈のもとで,どのような登場人物の特徴や行動が,描かれる食事の健康さとどのように関連するのかを明らかにする,というものです。
文脈というのは,食品が登場する設定(国,都市か地方か,お店か家庭か,など)や,社会的な他者や儀礼(友人といるのか,パーティなのか,など)を明らかにすることです。また登場人物の行動は,実際に食事を食べるかどうか,その際に言葉をしゃべるのか,表情はどうかなどを検討します。そして属性としては,性別,年齢,人種・民族,体型などが含まれます。
7つの仮説
研究を進めるにあたり,7つの仮説が設定されています。簡単に見ていきましょう。
(1)アメリカの文脈で描かれる食品は,アメリカ以外の文脈で描かれるよりも不健康になりやすい
(2)1人でいるときよりも誰かと一緒にいるときの方が不健康な食事をとりやすい
(3)パーティの中で描かれる食事は,より不健康になりやすい
(4)画面の中心や最初の画面に出てくる食品は,より不健康になりやすい
(5)登場人物が実際に口に入れた食品は,そうではない食品よりも健康的なものになりやすい
(6)登場人物が肯定的に評価した食品は,より不健康なものになりやすい
(7)男性の登場人物が口にする食品は,女性の登場人物よりも不健康なものになりやすい
さて,果たしてどのような結果となるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Psychosocial context and food healthiness in top-grossing American films)。
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