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アトリエ・タニュ
2024年4月8日 18:25
そんな大仰なものではない。少しばかりキナ臭い話がネットワークを通り過ぎ、他人事のような災害の隅っこに立つ自分に時々気付いてしまうだけなのだ。楽天的に過ごすには肩に重く、人生を悲観するほどには生きるに困らない、渇いた時間が流れていく。それが何千年も続く今という時間である。乗り合わせたその時代はどこへ向かうのか?夏の終わりの写真を眺めながら、それでも何も変わらない回転木馬のような時間
2024年3月24日 16:04
誰もがもう終わりだと言い出せないまま降り続く雨と誰かが決心しないまますれ違い続けるいつもの朝とが誰もが思い出そうとしない街の時計を動かし続ける束の間の晴れ間に昨日まであった日陰を探す自分と青くなった膝に張り付く湿った昨日を思い出す僕とが前を歩く誰でもない誰かを追う私を動かし続けるあなたが次に向かおうと歩き出した水溜りの歩道とあなたが気にも留めない青色の驟雨を足急ぐ赤い傘とがあな
2024年2月12日 14:26
ゆっくりと漂うコーヒーの微かに甘い香りを今日ときっぱりと切り分ける冷え切った歩道を、今日に無関心な爪先を靄のかかったような曖昧な黒革で締め付ける紐靴で急ぐ朝。踏み降ろす爪先の1ミリ下で、整然と敷き詰められた灰色の四角いコンクリートブロックの隙間が不安に震え、昨日の埃っぽい倉庫で単調に動き続けた右腕に後生大事に抱える赤茶色のバッグを持ち直す。すれ違う空色のジョガーパンツを身につけたポニーテールの