【おすすめ図書】理系アナ桝太一の 生物部な毎日 (岩波ジュニア新書)
STEAM教育おすすめ図書ということで、
「理系アナ桝太一の 生物部な毎日 (岩波ジュニア新書)」を紹介します。
こちら、皆さんご存知、人気アナウンサー 桝太一さんの著書です。
生き物大好き少年だった枡さんが、中高で生物部、大学では農学部に進んだ背景にある考え方、生き物たちから学んだこと、理系という進路から学んだことなどを、クスッと笑える面白おかしいタッチで紹介してくださっています。
私自身、生き物大好き少女(むしろほぼ少年)から生物学の道に進んでいるため、まことに僭越ながら自分とすごく似ているものを感じてしまい(しかも年齢も同じ!)、個人的にはもう書いてあること全てに共感しかない本です。
この本を読んでわかること
✔︎ 枡アナの生物オタクっぷりと生物への愛
✔︎ 一見すると無意味に思えることに情熱を注ぐ意義
✔︎ 理系の進路で身に付く力が社会でも役に立つということ
以下、私が特に共感した部分を3つに絞って紹介します。
【共感ポイント①】虫と文学が大好きだったという少年期
程々に自然が残る千葉県のベッドタウン育ちの枡さんは、小さい頃から虫が大好きだったそう。
本書の中では、生き物の生態から感動を受けた出来事や、蝶を捕まえるコツなど、枡さんと生き物にまつわるエピソードが多数紹介されています。
枡さんの虫好きエピソードと同じくらい興味深いのが、枡さんが通っていたという麻布中学校の教育方針。麻布といえば、中学受験では男子御三家と呼ばれる名門中の名門。
でも、そういう学校に限って、生徒に勉強ばかりさせていないんですよね。好きなことに”とことん”向き合わせる教育方針の中だからこそ、突き抜けた生徒が育つのだろうというのが分かる内容です。
ちなみに私も、昆虫をはじめとする生き物が大好きな子供でした。1人で何時間も飽きずに生き物を見ていられました。自然の中には、不思議と感動が溢れています。自然の中にいるだけで、好奇心がむくむくと膨らんでくるのです。
おそらく、本書から伝わってくる枡アナの飽くなき好奇心・探究心も、幼少期に自然と戯れる中で育まれたのではないかなと思うのです。
【共感ポイント②】「で、それってなんの役に立つの?」と聞きたくなることの中に意味がある
枡さんが、東京大学の農学部で取り組まれていた研究は
・アナゴの耳石からアナゴの誕生日を当てる(学部)
・アサリの成長線から、その砂浜にやってきた時期を当てる(大学院)
といったもの。
普通の人がテーマだけ見たら「で、それやって何の役にたつんですか?」って絶対聞くと思うんです。
私なんかはもうこの辺りのエピソードはニヤニヤせずにはいられません。私も大学院時代は、カエルから採血して、ひたすら赤血球数をカウントする、ということを繰り返しており、幾度となく友人・知人から聞かれました。
「で、それって何の役にたつの?」と。
はたから見て一見何の役に立つのかわかりにくいのが基礎研究。でも、その基礎研究なしには応用研究は成り立たないのです。
枡さんが取り組まれていたというそれぞれの研究にも、壮大なロマンが秘められています。
【共感ポイント③】理系の進路で身に付く力は、理系の仕事じゃなくても役に立つ
生物系の大学院まで進んだ枡さんですが、研究の道は自分に向いていない、でも伝えることは好き、という自己分析から、アナウンサーの道へと進まれます。
せっかく理系に進んだのに、、、と思う方も多いかもしれません。が、枡さんは研究を通して身に付けた力でアナウンサーとして直面した困難も次々に乗り越えていきます。
ひとつひとつの課題をクリアしながら、大きな目的に向かっていくその過程は、まさに研究と同じものでした。(抜粋)
私が、この本をおすすめしたい最大の理由は、理系の進路で身に付く力がその後どんな道に進んでも役に立つ、ということを知ってもらえる点にあります。
「で、それって何の役にたつんですか?」
この質問に対する最大の答えは、研究の成果そのものにではなく、研究を通して身に付く力にあるのです。
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