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読書感想文⑴ 人新世の資本論

2021年掲げた目標はいくつかあって、(それは数年前から予定していたものもあるのですが)そのうちの一つが『読書感想文を書く』というもの。

2020年年末は、漠然とこのままではいけない!思いが強くて…色々考えた結果とりあえず勉強すべきタイミングなんだろうと。読書は好きなのですが、私は読むのが大変遅い…(水星牡牛座なので)読み切る前に別の本を読み始めてしまったり、一冊を読了するのが得意ではないのです。

なので、1ヶ月に一冊なんでも良いから読み切ることを目標に、さらに達成したらnoteに感想文を書くことでお勉強を深めようと思いました。好き・関心のあるジャンルがnote読んでくれる人と同じだったら嬉しいし、違うくても知ってくれるきっかけになると良いな〜。

そんな目標を掲げた矢先、敬愛する人形作家の井桁裕子さんからいただいたのがこちら『人新世の資本論』

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ちょっと、著者の写真が表紙にデカデカある系は胡散臭いな〜と思って普段手に取らないんですけど井桁さんはカバー付きでくださったので読み終わるまで気付かなかったです!それで良かった笑

資本論という括りにはなっているのですが、基本的に環境問題を基点に論じられている本です。

私は10代で一番激痩せした時、『世界には沈みそうな島で生きる人も雨の降らない砂漠で喘いでいる人もいるのに、人並みのことさえできない私は電気水道ガスを使ってモノを食べる資格なんか無い…』と本気で思っていたので、グレタさんには共感を感じています。グレタさんのクラスメイトに生まれたかった。

でも資本主義の国で生まれて今も恩恵を受けている私ではどうにもできない、せめてサクッと滅びて人類…と、結果的に資本主義を肯定している(諦めている)立場だったのですが、まだ諦めるには早いということを感じられました。

身近な問題として環境負荷のことや貧困のことを思うと絶対今のままではいけないのに。私が環境省の大臣だったら二酸化炭素排出量を一人当たりに割り振ってそれを売買できるようにする!とか思っていたのですが、そもそも資本主義を否定しない限り環境負荷は比例していくことが丁寧に書かれていました。私の↑のようなアイディアは既に貧しい南半球の国に負担がかかる形で起きているし、そもそも無限の数字であるお金に対して地球の資源は有限だった…こんな簡単なことに気付かなかった自分がちょっと恥ずかしい。

じゃあ社会主義が良いのか、と言われるとうんとも言えない。理屈としては環境には良い気がするしマリアナ海溝くらい深い貧富の格差断絶は解消されるべきと思うけど、社会主義になった国の成功例と言えるモノを私は知らない。ソ連や中国というとアレルギー反応が出たみたいになる大人もたくさん見てきたので社会主義のことを上手に話題にもできない。だから漠然と社会主義はナシっぽいというくらいしかわからなかった。

著者の斎藤幸平さんは私より3才年上の学者さんで、インタビューの中で自分の世代は天安門事件なども目にしていないから社会主義に対してのアレルギーが上の世代より薄いということをおっしゃられててとても安心させていただきました。それに、豪雨の中避難所に入れてもらえなかったホームレスの事など…SNSで知って胸を痛めた出来事も多く言及されており、同じ感性を持って今を生きる同世代の方で尚且つ深く経済哲学について研究されている方がいるという驚きと喜びが読了まで私を励ましたと言って過言ではありません。笑

話を戻します。でも斎藤さんは今こそ社会主義だ!と言いたいのではなくて、晩年のマルクスが思い描いたビジョンは資本主義か社会主義かという枠さえ超えていたというもの、それを現代の問題を前に解釈するという主張をされています。

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スクショ載せるのあんまり良く無いかな…?とは心配だけど良い図なので!😅

これは既に野蛮に帰るという3択目がありますが笑、もちろん斉藤さんが目指そうとしているのはXの部分。これを斉藤さんは民主的な社会として、みんなの資源=コモンをみんなで管理しましょうと説明しています。

かつて海や山、川は誰のものでも無かったしみんなが食べたいモノ・必要なモノを必要なだけいただくという世界でした。

(余談ですが、日本語の"幸"の語源はさ=境目、ち=乳や血、生命の源、が組み合わさって"境目から来る命の源"という意味だったそうです。ここで言う境目は多分人と神の領域の境目のこと。まさに海の幸・山の幸)

でも、資本主義は資本をどんどん大きく成長させようとするシステムです。本来値段のつけれないものに値段をつけるために所有や賃貸の対象にします。そして大きな富を所有する人と、最低限生きながらえる水さえ手に入らない人が生まれているのが現実です。儲けを念頭に資源を採取するので大きな食品ロスも生まれます。

これをなんとか市民の手に取り戻そう、自分達の必要なモノは自分達で作ろう…これが実現できたらどんなに良い事でしょうか。コモンというみんなの宝の領域が増える流れになれば希少生物の多く住む水源が大企業にダムにされることもなくなるし、今より小さい単位で管理するから雇用もたくさん生まれるんじゃないかな。

紹介されていた中で、私が特に美しい!と感じたエピソードはコペンハーゲンの街路樹の多くが果樹である、というものでした。しかも、それは誰でも好きな時に食べて良い果樹らしいです!もちろん食べなくても良いわけです。でも食べるに困った時死なないで済むライフラインになります。

しかも、そうなるとみんな排気ガスを浴びた果物を食べたくないから…車を減らそうとか、自転車道を増やそうという運動に繋がったようです。なんて美しいんだろう。

実は、私が個展の時に書いた『星を迎えた姫君』の話はこの時代を憂いての内容でもありました。どん詰まりの世界。たった一つの椅子を奪い合うことが日常の世界。自分なりに考えた答えとして、星を迎える=精神的な次元の変化、或いは物理的によその星から手に入る資源、をイメージしていたのですが自分の創造力の貧しさを恥じました。それでは一番幼い姫君=未来の子供に過酷な旅をさせることになるのです。(その点については人間が根源的に持つ幼い者への過度な期待への批判も込めたつもりですが)

そうじゃなくて、今大きくなり過ぎた資本の支配を抜け出してそれぞれが自分達の玉座・城を作るべきなのかなと思います。

多分数万年も続いた縄文時代には、それが多少上手くいっていた共同体がいくつかあったでしょう。詳しくは省きますが本の中にも色んな過去のコミューンについて説明があります。

個人間や国家間、地域で緩やかにそれぞれがそれぞれの文化や宝、人格を尊ぶことができたなら…それが本当の意味でワンワールドなのかもしれないと思いました。

主観的に胸が熱くなったことを書きました。読書感想文なので!

そうは言っても人類滅ぶでしょ、と思うニヒリストさんにこそ読んでみてほしいです。滅ぶにしても、その方が多分面白いので笑

なんだそれはおかしい、破綻している、と思った博識な方もぜひ読んでみてください。だって私は無知でひたすら感動しているだけの素直な30歳です笑

NHK100分で名著に出演された斎藤さんも、Twitterのアカウント批判待ってますっておっしゃってたので議論できそうでしたよ!ステイホーム舌戦が見れると私も嬉しいです👀✨

来月は何を読もうかな、昨年の今頃中途半端に読んでそのままにしちゃったエリアーデか或いは借り物の眼球譚…忙しかったら素直に漫画読みます◎

ここまで読んでいただきありがとうございました!引き続き頑張ります!



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