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フランス人とフリット【木曜日はモグモグ食べること・フランス家庭の食卓から】

フリット」とはフランス語でフライドポテトのこと。

フライドポテトというと何となくアメリカっぽくて、それはファストフードからくる印象だけれど、まさか、まさか、この美食の国フランスでそれが国民食のような存在だったなんて。

今日はこの「フリット」にまつわる話をしたいと思います。


みなさま こんにちは。あとりえ・あっしゅです。

フランスに住み始めて、留学時代などすべて含むと、もう四半世紀、25年以上の時が流れました。

住み始めた頃は、フランス人家庭にホ-ムステイをし、(2か月の予定が結局8か月滞在)その後はパリのアパルトマンで一人暮らしの自炊生活。
その後、様々な地方に移り住み、ずっと自炊をしていました。

結婚してからは、こちらの風習で自宅に知人、友人を招いてランチやディナーをしたり、逆にお呼ばれしたりと、いろいろな家庭のおもてなしやお料理をいただいてきました。

またいろいろなイベントへ出かけたり、文化的な催し物に呼ばれたり、参加したり。

そのたびにバラエティ-に富んだフランスの「食」に出会ってきました。

あっ、今日は「フリット」ことフライドポテトのことをお話するんでしたね。


それは、私がパリ16区のアパルトマンに住んでいた時のことでした。

アパルトマンといっても当時私が住んでいたのは最上階のいわゆる屋根裏部屋で、大昔、そこは階下に住む家主さんの召使いが住んでいたところでした。

日本で言う、こじんまりとしたワンルームのお部屋。
アパルトマンの住民は映画にでてくるような古い蛇腹式のエレベーターで部屋まで上がることができるのですが、召使いたちは屋根裏部屋へ行くためには階段しかなく、6階まで買い物したものを持って行くのは少し辛かったのを覚えています。

私の家主さんご夫婦は日本に仕事で数年住んだことのある親日家で、時々、その豪華なお部屋に呼んでくれてお話したり、お茶をご馳走してくださいました。

お子さんが6人もいらして、時々子供たちの顔を見に遊びに行っていました。

ある日、いつものようにお宅にお邪魔すると、一番下のお子さんが体調を崩したらしくベットで横になっていました。

ひとしきりマダムとの会話を楽しんだ後、帰り際にお子さんの部屋をマダムといっしょに通り過ぎた時の彼女のひと言が未だに忘れられません。

そのひと言とは、

アメリちゃん、まだ具合いがよくならないわね、可愛そうに。
食欲がないみたいだから、今日はフリットね」


えっ、いま、フリットって言ったよね…


具合が悪いのに、フリットって、フライドポテト?揚げ物だよ-


って思いました。


食欲がなくても食べられるものが、フリットなのか、フランス人は!


って思いました。


それから数年後、パリで仕事をするようになり、その会社の社食で出会った光景。それは大きなお皿の上に山のように盛られた「フリット」だけを食べる社員たち。たくさんの人の中に必ず数人はこのような方達がいました。

普通はメインである肉や魚に添えられる「フリット」ですが、「フリット」をメインにして食べる人々がいた…。

この社食には日替わりのメニューに加えて定番の「ステ-ク・フリット」というものがありました。

「ステ-ク」とは牛ひき肉をハンバーグの形にして焼いたもので、「フリット」が添えられている一品。

これが定番として一年中あって、みんなよく食べていました。

注文のカウンターでは、

「今日はあんまり…だから、フリットだけにしとく」

なんて言っている人がよくいました。

この…が気になりますね。

どうやら、気に入ったメインがないのか、あまり食欲がないのかみたいなんです。

でも「フリット」なら問題なく、いや、美味しく食べられる、という感じ。


そして、数年後、こんな光景に出会います。

今の田舎に引っ越してきて、春から初秋まで毎週末のように行われる
「ヴィッド・グルニエ」(フリ-マーケット)にてフランス人がお昼に食べるもの、それが、

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「ソシス・フリット」

「ソシス」とは豚肉のソ-セ-ジ。このほかに「メルゲーズ」というスパイシ-なソ-セ-ジがあり、共に「フリット」が添えられています。

「フリット」だけでも注文することができて、お昼にみんなはこれを食べるんです。

フリマが行われる村では、その村のボランティアの人たちが外にテントをはり、「ソシス」を焼き、「フリット」を揚げる。

野外で食べられるように長方形の大きなテ-ブルと数人掛けのベンチが設置されていて、訪れた人々はこの「ソシス・フリット」又は「フリット」を食べる。メニューにはこれしかないんです。

でもみんな美味しそうに食べている。

夏になると毎週のように行われる「ヴィッド・グルニエ」で飽きもせずに毎回同じものを食べる。フリット、フリット、フリット!

そう、「フリット」が嫌いだというフランス人に未だに会ったことがありません。

老若男女、みんな、み-んな「フリット」が大好きなんです。

日本で言う「おにぎり」みたいな感覚なのでしょうか。

まさに国民食です。


ここ2年のあいだ、ずっと中止になっていたこの国民的催し「ヴィッド・グルニエ」も今年の夏はどうやら開催される様子です。

今から「ヴィッド・グルニエ」で色々なものを物色しながら、お昼に「ソシス・フリット」を食べるのを楽しみにしている、あっしゅです。



日本は今、新じゃがの季節ですね。

みなさまはどんな風にしてジャガイモを食べるのが好きですか?

私はフランス人ではないけれど、やっぱり「フリット」です!


今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
感謝です。


あとりえ・あっしゅ









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