焦りと不安と恐怖と決断/あたしらしく物語 Azusa #21

1年前の2021年
会社員を辞めて起業して走り始めた春
新しい体験の連続で第一歩目でつまづいて

二歩目も三歩目もヨチヨチ歩き

人生の中で2021年ほど
葛藤した事も
苦しかった事もないし
傷ついたことも、ない
こんなに細かく
目の前の現状と自分の感情に
向き合った事も、ない

だから
しんどかったけど、自分の中で
譲れないモノや強みもわかったし
結果的には良かった

でも、相当甘かった

【起業の第一歩目】
事業計画を練る！
創業支援融資を受ける！！

会社員時代には縁のないこと
使ってなかった片方の脳みそが
沸々とし始める

初めてのことに対する
漠然とした恐怖が
常につきまとっていて
思考と感情が大きな波にのまれて
浮いたり沈んだり
前向きだったのが
急に後ろ向きになったり…

焦りや不安がひとつひとつの決断に
重くのしかかる
こんなに身体は重かったかな…

石橋を叩いて渡るどころか
石橋を叩き割る震える子犬と化してしまいました

やってみようで踏み出したのに
やってみたい気持ちを抑えるようになりました
それでも勇気を出して
『やってみる』を選択して
進んではみるものの
途中で怖くなって引き返し
ひび割れした石橋もろとも
沼に落ちるという
非常にかっこ悪い有様

このままではダメだと思い
深呼吸して整えて
朝日を浴びて瞑想してヨガをしたり
運動をしたり
色々試してみました

余計な思考を整理したくても
常に追われているような感覚で
何をしてもすぐに
また不安に駆られてしまう

不安というものは
エネルギーをたくさん使う感情だ

心身共にバランスを崩し始めた夏
長引くソーシャルディスタンスで
人との繋がりが途絶え
一気に孤独感に苛まれる

私の持ち味って
密なコミュニケーション力…
それが発揮される場が、ない…
オンラインで伝えられる力も、ない…

周囲の支えもあり、なんとか踏ん張って
『荒川区ビジネスプランコンテスト』
という大きな挑戦の切符を手にしました

このチャンスを糧に変わりたい
このままくたばってたまるか

ブラッシュアップに
プレゼンテーションの練習に
無我夢中で取り組みました

10月30日 最終審査会
審査員の方の前で発表もするも記憶が全くない（笑）

そして数日後、激しい腹痛に襲われて
緊急搬送、緊急手術を経験するという衝撃の展開

幸い命に別状はなかったものの
片方の卵巣の摘出と
入院と1ヶ月の自宅療養

2週間後にはファイナリストによる
公開プレゼンテーションが
控えていました

お腹に力が入らないため、声が出ない…
覚えたはずの台詞が出てこない…

顔面蒼白で迎えた本番
顔色はメイクで誤魔化し
昨日まで寝たきりだった身体は
式典で座っているだけでも辛くて苦しくて
冷や汗が止まらず
落ちた体力と練習不足による焦りと
大勢の人の前での緊張感
震える手足と浅い呼吸
吹き飛ばしたはずのいつかの恐れが
再び襲ってくるのを感じました

プレゼンテーションの13分間
耐えられるのだろうか…
自分の言葉で伝えられるのだろうか…

目を瞑って呼吸を整えて
音楽を聴いてマインドセット
何事もないように装って
全集中して挑みました

今思えば異常な精神状態でした

プレゼン中は会場を見渡し
最後尾のずっとずっと先を見つめて
未来を語りました
直前の焦りとは真逆で
びっくりするほど冷静でした

最優秀賞・オーディエンス賞と
信じられないような賞をいただき
プランが認めてもらえた嬉しさに包まれ、
これまでの活動に自信が湧きました
恐れと一転、新たな希望で満ち溢れました

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しかし、またやってくる恐れ
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受賞後は慣れない取材に苦労して
うまく伝えられなかったな
受け答えができなかったな
と自己嫌悪ばかり
いや大丈夫、誠意が大事
と自己肯定で跳ね除ける

気分が上がったり下がったり
まるでジェットコースター

［一体この正体はなに？］

勝手にプレッシャーを感じて
取り繕って等身大を演出していた
本当は明日さえ怖いのに
大きな夢を語るなんて
心がチグハグだ

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年が明け、取材記事やメディアが公開
華々しく取り上げていただくが
心は沈んだまま
身動きがとれない

理想と現実の心の違いに
耐えられなくなっていく

なんとか立っていた状態で
心がポキッと折れる出来事が次々と襲う

ちょうどコロナも重なり
長く続く後遺症で
精神と身体に大ダメージ

「このままじゃ、だめだ」

一緒に歩んでいた仲間にも
心を閉ざしてしまいました

物作りがしたくて起業したのに
土台を考えることに精一杯で
次々と現れる新しい物事に
一喜一憂して
判断力を失い
課題が山積みになっていく

目の前の意思決定も
次のアクションも
決められない

なんて情けないんだろうか

区切りをつけて
ペースを掴んで
立て直したい

思う存分ミシンが踏めないことにも
心底、苛立っていた

会社を辞めてちょうど1年
2度目の春
決意を固めたのは同じ日でした

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5月31日をもって
創業支援拠点イデタチ東京を
旅立つことにしました

Atashirashikuは継続し
地域活性化活動の視点を変えて
取り組んでまいります

受賞したビジネスプラン
【日暮里クリエイティブタウン創出事業】は
塩漬けにして熟成へ

これを機に3人での活動を終了し
それぞれのクリエイションへ

私は拠点をアトリエに移し
物作りと向き合います

私に起きたこと
私が感じたこと
それら全てが今の自分を作ってくれた

この経験は何らかの形で
必ず誰かを
未来の自分自身を
勇気づけるものになる

だから今
立ち止まって
しっかり自分で地に足をつける

全てに感謝して手放す
これは前進の決断です

長々とお読みいただきありがとうございました
辛かったこと吐き出しちゃった

つづく