21.05.10 聖域
戦争みたいな毎日が勝手に過ぎていくのです。
僕はとにかくもう立ち上がりたくなんてなくて、キッチンの壁にもたれて拳いっぱいの乾いた赤い実をただ口に運び続けています。
夜の底は罪の味がします。
ヘッドフォンからはあの人の音楽が聴こえます。
最近なんだか僕はあの人の音楽を聴いていないと生きた心地がしないのです。
目を閉じて、もう明日なんてこなければいいのにと祈ります。
僕はただずっと、甘酸っぱいのを噛みしめて優しい詩を聴いていたいだけなのです。
それなのに、毎日が僕を巻き込むのです。
上を見ろだとか。
前を向けだとか。
僕は好きなだけ落ち込んでいたい。
宇宙が無限にあるみたいに、どんなに見上げたって終わりがない。
殺したつもりの感情はうまく死ねなくて、
いつかまた僕を襲いにやってくる。
僕は僕の手の中の綺麗なものを見つめていたい。
僕は僕の感情が息をしなくなるまでをじっと眺めていたい。
世界を憂いてはいけなんて誰が言った。
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