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源氏物語はどうして「源氏の物語」なの?

遅い昼食をとったあと、急に寒気がして葛根湯を飲んだ。
今月末で解約するので、惜しんでしばらくオンデマンドのドラマを見ていたのだけど、どうにも気分がよくない。
熱があるか、これから出そうな感じ。

インフルは予防接種をしてあるけど、コロナは打ってない。
でも、最近、人混みに行ってない。
調べてみると、マイコプラズマは潜伏期間が2~3週間というのでビビった。
それなら、激混みハロワでゴホゴホされているし十分あり得る。
20年くらい前、マイコプラズマに罹ったことがあるが、そのときもどこでうつったか見当がつかない。

先んじて解熱鎮痛剤を飲んでベッドに入った。
珍しく昼間に暖房をつけているのに、寒くて、腕を出してkindleを読むこともできない。

咳は出ないが、おでこが熱いので冷えピタを貼った。
30分くらいウトウトしたら、気分はだいぶ良くなったけれど、大事をとってそのままベッドにいることにした。

不意に、「『源氏物語』はどうして源氏の物語なのか?」という疑問が頭に浮かんだ。
これは、ずっと昔「いずれの御時にか」を暗誦させられたときから、私の胸の底の澱に埋もれていたもの。

布団に腕を入れたままスマホを操作して確認すると、果たして史実上の「源」は814年、嵯峨天皇が身分の低い女性との間にもうけた子供を臣籍に降下させた折に与えた姓とある。
藤原道長が生まれる150年ほど前のことである。

「光る君へ」では、道長の依頼によってまひろは「源氏物語」を書いたことになっているが、そうでなくても、同時代に評判になったものを道長が聞きつけて彰子の女房にしたというのが通説となっている。

でも。
でもさ。
物語の光源氏は、須磨から呼び戻されたあと、帝をしのぐ栄華を極めるのだ。
格下の扱いだった源氏が、藤原摂関家に勝つ物語なのだ。
道長は、それでいいの?

話は飛ぶが、アメリカのテレビドラマで「ブリジャートン家」というのがある。
物語の舞台はロンドン社交界。

ここにレディ・ホイッスルタウンという謎の物書きが登場し、社交界のゴシップを新聞に投稿し続ける。
ゴシップの内容は、そこにいなければわからないような内輪の話。
シャーロット王妃は怒り狂って、この正体を暴いて罰しようと躍起になるし、書かれた当人も傷つく。

いくつかのシーズンを経て、正体が明らかにされるのだが、それによって親友同士、恋人同士の関係性が激しく揺らぐ。
まあ、ある意味、暴露本だからね。

まひろは女房として彰子に仕えながら、見聞きしたことごとを物語に反映させる。
ドラマでも、女官たちの陰口の場面があるけれど、「源氏の物語」をみんなが読んだとしたら「これはこの人がモデルじゃないの?」とか「あの事件のことよね」とか絶対話題になったと思う。

弘徽殿の女御は、生霊になったりして悪者に描かれているけれど、このモデルが詮子(道長の姉)じゃないかという噂話は囁かれなかったのだろうか。
噂されていることを知ったら、吉田羊さんは激怒して化けて出ると思うのだが。
そういうことを書いちゃったまひろは許されるの?
人間関係は損なわれないの?
それでも、帝が彰子のもとに通ってくれればいいの?
藤原家を繁栄させるために、源氏が藤原氏より繁栄する話を書かせるのはおかしくない?

私の中では鳥籠のオチ?がついたところで、すべてはまひろの想像が生んだ話として、一応の決着はついているのだけれど、ここにこだわるとどうにも腑に落ちない感覚がある。

ドラマ自体は楽しく完走した。
ただ「源氏の物語」は、藤原氏が権勢を失い、実際に源氏が繁栄する時代になってから書かれたか、または流行ったのではないかと、そんな気もした。
それもこれも、急な発熱のせいである。
私もまた妄想の翼で遊んでいるだけとご容赦いただきたい。

熱は下がったので、19時過ぎに起きて、シチューを煮た。
もう遅いので食べないでまた寝るけれど、Silent Nightは静けさが一番のご馳走。

みなさま、平穏で健康なクリスマスイブをお過ごしください。


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風待ち
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