アリストテレスについて、アベラールは女と酒についてテオドシウス・マクロビウスのサトゥルヌス祭から引用

アベラールとエロイーズの中でアベラールはアリストテレスを引用する。
男よりも女の方が酒に強いと考えられており、その理由をテオドシウス・マクロビウスの孫引きでアリストテレスの説として述べています:
女には水分が多い。
 理由1:皮膚の円滑と光沢がこれを証明する。
 理由2:身体から過剰な水分を排除する定期的浄化作用がこれを証明する。
それゆえ
豊かな水分の中にまじってその力を失い、その強さが弱められて容易に頭に影響しない、としています。

「女の身体はしばしばの浄化作用で清められ、またその身体は多くの孔から成っていて、水分ははけ口を求めてそこからでる。この多くの孔を通して酒の蒸気は速やかに飛散する。」

となるとこの出典先が知りたいと思うわけです(ラテン語は後述)。すると、マクロビウスのサトゥルヌス祭についての文書は

にあります。アベラールは第7部、エロイーズは第4部と言うのですが、翻刻でも違ってくるので、ここでは手っ取り早く、Aristoteles と検索しましょう。すると一つしか出てきません

そこをChatGPTにかけましょう

日本語に、学術的に逐語的に翻訳お願いします。アリストテレスについては詳しく注釈ください。1 Haec quae de Apolline diximus possunt etiam de Libero dicta existimari. Nam Aristoteles, qui Theologumena scripsit, Apollinem et Liberum patrem unum eundemque deum
p169
esse cum multis aliis argumentis adserat, etiam apud Ligyreos ait in Thracia esse adytum Libero consecratum ex quo redduntur oracula: sed in hoc adyto vaticinaturi plurimo mero sumpto, uti apud Clarium aqua pota, effantur oracula. 2 Apud Lacedaemonios etiam in sacris quae Apollini celebrant, Hyacinthia vocantes, hedera coronantur Bacchico ritu. 3 Item Boeotii Parnasum montem Apollini sacratum esse memorantes simul tamen in eodem et oraculum Delphicum et speluncas Bacchicas uni deo consecratas colunt:
p170
et Apollini et Libero patri in eodem monte res divina celebratur. 4 Quod cum et Varro et Granius Flaccus adfirment, etiam Euripides his docet:

以下は、提示されたラテン語の文章を日本語に学術的かつ逐語的に翻訳したものです。特にアリストテレスに関する部分には詳細な注釈を付記しました。

1. 「アポローンについて述べたことは、同様にリーベル(ディオニューソス)についても述べられるべきであると考えられる。というのも、
アリストテレス(『テオロゴウメナ(神学的事項)』の著者)は、多くの他の論拠をもってアポローンとリーベル・パテル(リーベルの父、すなわちバッカス)が一つにして同じ神であると主張している。また、彼はトラキアのリグュレイ人の間にリーベルに捧げられた神殿が存在し、そこから神託が発せられると述べている。しかし、その神殿では、予言を行う者が豊富な純粋な酒(ワイン)を飲み、クラリウムの神殿で水を飲んで予言するのと同様に、神託を告げるのである。」**

• 注釈(アリストテレスについて)
アリストテレス(Aristoteles, 紀元前384年–322年)は、古代ギリシアの哲学者であり、プラトンの弟子、アレクサンドロス大王の教師である。ここで言及されている『テオロゴウメナ』は、彼の現存しない著作で、神々や宗教に関する事柄を扱ったものと推測される。彼が「アポローン」と「リーベル・パテル」(通常、ローマ神話でディオニューソスまたはバッカスに関連付けられる)を同一視している点は、ギリシア神話とローマ神話の同化を反映したものであり、また、古代における宗教的シンクレティズム(融合)の例とも考えられる。

2. 「また、ラケダイモン人(スパルタ人)の間でも、アポローンに捧げられる祭儀において、ヒュアキンティア祭(Hyacinthia)と呼ばれるものがあるが、そこでバッカスの儀式に従って常緑樹(ヘデラ、アイビー)の冠をかぶる。」

3. 「同様に、ボイオティア人は、アポローンに捧げられた山としてパルナッソス山を崇拝しているが、同時に、その山にはデルフォイの神託所と、バッカスに捧げられた洞窟が存在し、両者を一つの神に捧げられたものとして崇めている。」

4. 「そしてアポローンとリーベル・パテルに対する宗教儀礼が同じ山で行われることについては、ヴァッロ(Varro)やグラニウス・フラックス(Granius Flaccus)がこれを支持し、またエウリピデス(Euripides)もこれを証明している。」

• 注釈(アポローンとリーベル)
この文脈では、アポローン(ギリシア神話の太陽神、音楽や予言の神)とリーベル(ローマ神話での豊穣・ワインの神、ギリシア神話のディオニューソスに対応)が一体化して解釈されている点が注目される。古代地中海世界では、異なる文化圏の神々が類似の機能や属性を持つ場合、それらを統合・同一視する傾向が見られる。ヴァッロやグラニウス・フラックスは、共和政ローマ時代の学者で、神々や宗教儀礼に関する考察を多く残している。

この後を読み進めても、女の方が酒に強い云々という話は出てこない。
 全文翻訳かけて読めば見つかるかもしれません。次は酒について調べてみましょう。検索はvinumです。
すると12巻が見つかります

23 Sunt qui dicant hanc deam potentiam habere Iunonis, ideoque regale sceptrum in sinistra manu ei additum. Eandem alii Proserpinam credunt, porcaque ei rem divinam fieri, qui segetem quam Ceres mortalibus tribuit porca depasta est: alii Χθονίαν Ἑκάτην, Boeoti Semelam credunt. 24 Nec non eandem  p103 Fauni filiam dicunt, obsititisseque voluntati patris in amorem suum lapsi, ut et virga myrtea ab eo verberaretur, cum desiderio patris nec vino ab eodem pressa cessisset: transfigurasse se tamen in serpentem pater creditur et coisse cum filia. 25 Horum omnium haec proferuntur indicia, quod virgam myrteam in templo haberi nefas sit, quod super caput eius extendatur vitis qua maxime eam pater decipere temptavit, quod vinum in templum eius non suo nomine soleat inferri, sed vas in quo vinum inditum est mellarium nominetur et vinum lac nuncupetur, serpentesque in  p104 templo eius nec terrentes nec timentes indifferenter appareant. 26 Quidam Medeam putant, quod in aedem eius omne genus herbarum sit ex quibus antistites dant plerumque medicinas, et quod templum eius virum introire non liceat propter iniuriam quam ab ingrato viro Iasone perpessa est. 27 Haec apud Graecos ἡ Θεὸς Γυναικεία dicitur, quam Varro Fauni filiam tradit adeo pudicam, ut extra γυναικωνῖτιν numquam sit egressa nec nomen eius in publico fuerit auditum nec virum umquam viderit vel a viro visa sit, propter quod nec vir templum eius ingreditur.
以下は学術的な翻訳です。

23. 一部の人々は、この女神がユーノー(Juno)の権能を有していると考え、それゆえに彼女の左手に王笏が与えられたと述べる。また、別の人々は彼女をプロセルピナ(Proserpina)と信じ、豚が彼女への奉納物として捧げられるのは、ケレス(Ceres)が人間に与えた穀物を豚が食べ尽くしたという伝承によるとする。他の人々は彼女を「冥界のヘカテー」(Χθονίαν Ἑκάτην)と見なし、またボイオティアの人々は彼女をセメレー(Semele)と考えている。
24. 同様に、この女神をファウヌス(Faunus)の娘とし、父が彼女に対する恋情に駆られたとき、それを拒んだとされる伝承もある。その結果、彼女は父からマートルの枝で打たれたという。父は彼女の拒絶に屈しなかったが、ワインによる誘惑にも失敗した。その後、父が蛇の姿に変身し、娘と交わったと信じられている。
25. これらの話の証拠として以下の事実が挙げられる。すなわち、彼女の神殿ではマートルの枝を持ち込むことが禁じられていること、彼女の頭上には父が彼女を騙そうとしたブドウの木が飾られていること、ワインはその神殿ではそのままの名で持ち込まれることはなく、ワインが入れられる容器が「蜂蜜壺(mellarium)」と呼ばれ、ワインそのものは「乳(lac)」と呼ばれること、そして蛇がその神殿で恐れられることもなく、また人を恐れることもなく姿を見せることが挙げられる。
26. ある者はこの女神をメデイア(Medea)と見なしている。それは彼女の神殿にあらゆる種類の薬草が備えられており、それらは祭司たちがしばしば薬として使用するからである。また、彼女が恩知らずな夫イアソン(Iason)から受けた仕打ちゆえに、その神殿に男性が入ることを許されていないからである。
27. この女神はギリシャ人の間では「女性の神」(ἡ Θεὸς Γυναικεία)と呼ばれる。ウァロ(Varro)は彼女をファウヌスの娘であり、非常に貞淑であったと述べている。その貞淑さゆえに、彼女は婦人の部屋(γυναικωνῖτιν)を出たことがなく、その名が公の場で語られることもなく、男性を見たこともなく、また男性から見られることもなかった。それゆえ、男性は彼女の神殿に入ることが許されない。

この翻訳は原文のニュアンスを尊重し、学術的な文体でまとめています。

これも目当ての内容ではありませんが,興味深い内容です。旧約聖書を彷彿とします。旧約聖書も新約聖書も当時の他の神話の要素が流れ込んで作られたと言われてますので、これもそうかもしれません。
他にfemina 女で検索してみました。8箇所ありましたが成果なし。

 はじめに戻ってアベラールの原文を見ておこう。後日のヒントとして。

Constat tamen ex eorum documentis qui de physica scripserunt, multo minus feminis quam viris virtutem vini praevalere posse. Cujus quidem rei rationem inducens Macrobius Theodosius IV Satumaliorum libro sic ait: "Aristoteles: Mulieres, inquit, raro inebriantur, crebro senes. Mulier humectissimo est corpore. Docet hoc et levitas cutis et splendor, docent praecipue assiduae purgationes, superfluo exonerantes corpus humore. Quum ergo epotum vinum in tam largum ceciderit humorem, vim suam perdit, nec facile cerebri sedem ferit, fortitudine ejus extincta." Item: "Muliebre corpus crebris purgationibus depuratum, pluribus consertum foraminibus, ut pateat in meatus, et vias praebeat humori in egestionis exitum confluenti. Per haec foramina vapor vini celeriter evanescit."

https://www.abaelard.de/050214br08l.htm

ChatGPTにお願いしよう。

とはいえ、自然哲学について書き記した者たちの文献によれば、女性に対する酒の効力は男性に比べてはるかに弱いのだという。これについて、マクロビウス・テオドシウスは『サトゥルナリア』第四巻において次のように述べている。

「アリストテレス曰く、女性は滅多に酔わないが、老人はしばしば酔う。女性の体は非常に湿潤である。それは、皮膚の柔らかさや光沢、さらには頻繁な月経などによっても示されている。これらは余分な水分を排出し、体を湿気で満たしているのだ。したがって、飲んだ酒がこれほど大量の湿気に吸収されれば、その力は失われ、容易に脳に達することはない。酒の力はそこで打ち消されてしまうのである。」

また次のようにも述べている。

「女性の体は頻繁な月経によって清浄化され、体内には多くの小さな孔があり、それが水分を排出するための通り道を提供している。この孔を通じて、酒の蒸気は速やかに消え去ってしまうのだ。」

女性はfeminaでなくMulieresであるので検索をかけて調べ直したが、このような内容のものはなかった。あとはアベラールはポルフュリオスのアリストテレス範疇論序説などもみていたらしいが一旦ここまで。
 テオドシウス・マクロビウスのラテン語は日本語訳で出ていないようです。ChatGPTで調べているとローマの成立などが書かれておりこれはこれで面白そうです。またいずれ。


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