5行思考文×2 (375) - 食べる生きる -
(1本目)
死にたい。僕はテーブルの上のパスタ越しに、親友へそう呟いた。
「・・・そう、死にたいなら食べなきゃいいのに。食べ物が勿体ない」
親友の辛辣な一言は、僕を煽る事で励ましているようにも聞こえた。
「生きる意味って何?」僕は更に暗い声でそう尋ねた。
「意味?知らない。私は美味しいものを沢山食べたい。だから生きてる」
(2本目)
死にたい。いや、僕には"生きたい"という気力がもう沸かなかった。
なら、僕は死にたいのだろうか? それすらもよく分からない。何をする気にもなれず、無気力にベッドに倒れ込むと、胎児のように体を丸める。
音も立てず、ただ息をするだけ。そうしているうちに次の朝がやって来た。
不意にお腹が鳴った。その音は "生きたい" という僕の叫び声な気がした。