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第3回 信頼関係を築くカウンセリングの基礎スキル
キャリアコンサルタントやカウンセラーとの面談は、ものすごく話しやすいんです。なぜなら、カウンセラーは信頼関係構築するために、意図的にカウンセリングスキルを使っているから。今回はそんなカウンセリングスキルについてご紹介します。
1.クライアント観察技法
クライアント観察技法とは、相談者の言語・非言語によるコミュニケーションを観察すること。
カウンセラーからの質問に対する相談者の応答と表情・態度との間の矛盾点や変化を観察することで、相談者の心情の手がかりを得ることができる。
観察のポイント
①言語的側面
会話の具体性、抽象性など。
②非言語的側面
しぐさ、視線、表情、態度など。
③矛盾や葛藤
混乱した会話内容、言葉と行動の不一致など。
いちばん大切な考え方
私がキャリアコンサルタントの養成講座を受けているときに、先生から教わった言葉です。
「耳」と「目」と「心」を使って「聴く」。
目の前の相談者に全神経を注ぐ。
2.はげまし
はげまし=会話の促進。
×「がんばれ!」と応援すること
○相談者の語りを促すこと
<具合的には>
・うなずき
・あいづち
・繰り返し
・相談者を待つ沈黙の姿勢
上記を用いることで、相談者の語りを促します。
3.いいかえ
相談者の発言内容に対して、その本質のみを言語化して返すこと。相談者の言葉に、少しだけカウンセラーに言葉を加えます。
例)
相談者>
「最近、育休から復帰したけど、周りの雰囲気が変わったような気がするんです。後輩も”おかえりなさい”と言ってくれるんですけど、なんだか違うなぁと感じていて…。」
カウンセラー>
「復帰前と職場の雰囲気が変わったように感じて、居心地が悪いんですね。」
4.要約
長時間の相談内容をまとめること。キーワードやテーマを捉えて、話の流れを明瞭にすること。
要約するときは、カウンセラーの価値観や経験などのフィルターで歪曲しないように注意すること。
例)相談の終盤で
カウンセラー>
「今までのお話をまとめますと、○○で△△で……ということでよろしかったですね。」
5.感情の反映
話の根幹にある相談者の感情を汲み取り、言語化して返すこと。
ポイント
①感情の命名
言語・非言語通して伝わってくる感情を、感情用語を用いて言語化する。
例)ワクワクしたのですね。
②情動を指摘する
相手の感情を確認する。
例)そのことについて、あなたは腹立たしくおもっていますか?
③「今ここ」の感情に働きかける
例)今でもお辛そうですね。
6.まとめ
全てのスキルに共通するのは「相談者に寄り添う」というスタンスです。
これらのスキルやスタンスは、キャリア相談以外の場面でも応用できます。
部下や後輩の相談に乗るとき。
友人の相談に乗るとき。
取引先の営業に行くとき。
あらゆる場面で「話を聴く」ときに役立ちます。
スキルを駆使することで、相手との信頼関係構築や会話の促進に繋がります。
みなさんも実践してみましょう。